beacon

[MOM3793]静岡学園DF行徳瑛(3年)_GKカバーや左足フィードで成長の跡。昨年の悔しさも糧に「何もやらせない」CBへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

静岡学園高の注目CB行徳瑛主将は成長の跡を示して完封勝利

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.3 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 大津高 0-4 静岡学園高 大津町運動公園球技場]

 プレミアリーグ復帰戦となった大津高戦で4-0と快勝したものの、静岡学園高の川口修監督からは浮かれた様子は見られない。課題として挙げたのは守備面で、「去年の学園と比べると、まだまだ足りない」と口にしていたのが印象的だった。

 一方で、「守備はまだまだ足りないけど、要所を締めて失点ゼロで抑えられたのも収穫。ロングスローも、相手のCKも身体を張れば失点ゼロで抑えられるというものを体感出来たのも凄く大きい」と続けた通り、上手く行かない場面がありながらも崩れなかったのは価値がある。完封の立役者となったのは、キャプテンマークを託されるCB行徳瑛(3年=静岡学園中出身)だ。

 清水エスパルスやFC岐阜での監督経験を持つ浩二氏を父に持つ行徳は、2年生から定位置を掴み、昨夏はインターハイベスト4入りに貢献。しかし、選手権予選の3回戦で左足の内転筋を痛めてからはピッチから遠ざかり、同全国大会は3回戦の残り2分で出場したのみとなった。

「怪我をしている期間はずっと悔しい気持ちがあった」と振り返る行徳は、怪我をせず年間を通してプレーし続けられる身体を作るため、肉体強化に着手。食事の見直しと体幹トレーニングによって、昨夏は72kgだった体重を77kgまで増やした。

 久しぶりの公式戦となったこの日は、そうした成長を示すには格好の舞台。相手には2月にU-19日本代表候補に選ばれたFW小林俊瑛(3年)もいるため、腕が鳴る。「小林は最近、1個上のカテゴリーで代表に入り、強度が高い中でやっているので、マッチアップしながら意識していました」。ポストプレーと背後への抜け出しでターゲット役となった小林と対峙する機会があったが、ハイボールの跳ね返しや球際できっちり対応し、ほとんど仕事させなかった。

 それでも、試合後に「1試合通して何もやらせない事を意識している。でも、今日は1本、ロングボールで抜け出される場面があった。1本もないようなCBになりたい」と口にするあたりに、逞しさを感じる。

 そうした働きとともに大きかったのは1-0で迎えた前半24分のプレーだ。ロングボールでFW山川柊(3年)に背後をとられ、GKの股下を通すシュートを打たれたが、行徳がゴールカバーに入ってクリアした。

 これまではGKが前に出た際に足を止める事が多かったが、1歳上の先輩のプレーを参考に、今年に入ってからゴールへのカバーリングを意識してきたという。ギリギリのところでリードを保てたのが、試合の流れを大きく左右したのは間違いない。

 もう一つ成長の跡を感じさせたのは左足でのロングフィードだ。DF伊東進之輔(現・ギラヴァンツ北九州)と組む機会が多かったが昨季は、右CBが定位置だったが、今年に入ってからは左CBでプレー。左足で蹴らなければいけない場面が自然と増えたため、自主練で猛特訓を積んできた。取り組んでから間もないが、飛距離はすでに十分。後半32分には、自陣から繰り出した大きな展開で、MF西井大翔(3年)の2点目をアシストするなど、両足でのキックは大きな魅力になっている。

 テクニカルな選手が多く、華麗な攻撃に目が行きがちだが、攻撃陣が力を発揮できるのも行徳のような安心してプレーできる選手がいるから。今後の試合でも静岡学園の後方を逞しく力強く支えてくれるだろう。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP