[4.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 2-0 鳥栖U-18 エスプラットフジスパーク]

　膠着した展開を静岡学園高の新ストライカーが打破した。0-0の後半開始直後、静岡学園はGK中村圭佑(2年)がロングキック。タイミング良くDFの前に抜け出したFW神田奏真(2年=大阪東淀川FC出身)がファウルで止められてPKを獲得した。

　PKはエースFW高橋隆大(3年)が蹴るかと思われたが、神田はボールを離さずにペナルティスポットへ。特別PKを得意としている訳では無い。また相手DFが退場したことで、PKを獲得してからキックするまで3分もの時間を要していた。

　それでも、神田は「きょうのPKの時は決めることしか頭になくて」と集中したまま右足シュート。ゴール右へ流し込み、ガッツポーズでゴールを喜んだ。「五分五分の試合をしていて自分、FWなんで一発決めたいなと思っていた。トップチームで初めてのゴールだったので、ああいう場面で決めれたことは自信が付くと思います」。昨年、Aチームで結果を出す前にU-16日本代表候補へ選出された注目ストライカーにとって、この1点は量産へのきっかけになりそうだ。

　昨年はRookie League関東Aリーグで得点王とMVPの2冠。Aチームの選手権メンバーにも入り、先輩たちの姿から学んできた。「パススピードとか、トラップとか、1年生と全然違っていた。プレスはやらないと一人だけ置いていかれると思ったので守備の意識は変わりました」。この日はなかなか思うようにボールが届かなかったが、それでも前線で身体を張り、守備で貢献。そして1本のチャンスを逃さず、得点に結びつけた。

　昨年、静岡学園にはFW持山匡佑(現中央大)、FW松永颯汰(現流通経済大)という全国トップレベルのCFがいた。昨年に匹敵する戦力を持つ今年、2年生ストライカーは持山、松永同等以上の活躍が求められる。

　この日、川口修監督は「体を張れるし、守備もできる。DFが下がっている中でFWらしいグッと行くプレーもあった」と評価していた。フィジカル面で鳥栖U-18に苦戦していた静岡学園だが、神田は彼らに負けないレベル。「学年とかは関係なく自分が鼓舞したり、点獲って、後ろの選手が頑張ってくれているので応えたい」と語るFWが、目標のチーム一のゴール数を挙げ、「もう一回行きたい」という年代別日本代表への切符も勝ち取る。

(取材・文　吉田太郎)

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