beacon

数的不利の後半に輝き増した鳥栖U-18MF坂井駿也。1人でCBとアンカー2人分の働き

このエントリーをはてなブックマークに追加

サガン鳥栖U-18MF坂井駿也は後半、数的不利のチームを助ける働き

[4.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第2節 静岡学園高 2-0 鳥栖U-18 エスプラットフジスパーク]

 サガン鳥栖U-18は後半開始直後のプレーで守りの要・188cmCB竹内諒太郎(3年)が退場。数的不利になったことに加え、PKも決められてビハインドを負ってしまう。ここでチームは新たなCBを投入するのではなく、ボランチとして先発していた坂井駿也(3年=ソレッソ熊本出身)を最終ラインへ落とす判断をする。

 ここで静岡学園ベンチは鳥栖U-18がバタつくことを想定したというが、ここからペースを掴んだのは10人で戦う鳥栖U-18の方。坂井は流れの中でCB、アンカーの役割を一人でやって見せていた。

 静岡学園は、同点ゴールを目指して前がかりになった鳥栖U-18からボールを奪うと素早く前線、サイドへボールを入れようとしていた。だが、坂井が出足速くスライディングでカットし、読み切ってのインターセプトも。また、最終ライン中央からパス交換で大きく前へ出たり、サイドチェンジしたりするなどゲームメーカーとしても抜群の動きを見せていた。

 鳥栖U-18は後半、各選手がギアを上げて数的不利を全く感じさせないような戦い。特に「どこのポジションでもできるというのがウリ」という坂井の存在は大きかった。身長171cmと特別なサイズはないものの、年代別日本代表でCBも経験済み。鳥栖U-18らも今シーズン、CB起用の可能性を示唆されていたという。チームのバランスを維持しながら、個の強みも発揮していた。

 この日は緊急事態だったが、「準備はしていたので冷静にできたかなと思います。起点にもなれたし、負けちゃったけれども収穫もある」。静岡学園ベンチもその抜群のセンスに驚いていたが、年代別代表常連、今年のルヴァンカップでトップチームデビューもしている才能はさすがのプレーをだった。

 ただし、田中智宗監督が「彼も2種登録していて後半のパフォーマンスは良かったけれど、前半はまだまだ物足りないところがあったと思います」と指摘したように、やや守備に追われた前半は反省点。坂井はより自分のレベルを引き上げる考えだ。

 ルヴァンカップでの出場時間は8分間。「交代で入るってところが今の自分の立ち位置。本当に上を目指すのであれば、ルヴァンもスタメンで出ないといけないし、Jリーグもメンバー入りして試合に出ることが大事。もっと努力してトップの選手たちを追い越さないといけないと思うので、もっともっと、貪欲に頑張らないといけないと思います」。プロの戦いを体感しているMFは、トップチームの選手たちを上回ることに視線を向けて1年間を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP