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広島皆実が米子北を1-0撃破!伝統の「堅守強攻」取り戻し、復権へ

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広島皆実高(左)が粘り強い戦いで1点を守り抜き昨年優勝の米子北高に1-0勝利

[4.16 高円宮杯プリンスリーグ中国第3節 米子北高 0-1 広島皆実高 どらドラパーク米子陸上競技場]

 高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2022 中国は16日、第3節を行い、米子北高(鳥取)と広島皆実高(広島)が対戦。前半に先制点を挙げた広島皆実が、そのまま1-0で勝利を収めている。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、広島皆実の選手たちは雄叫びを挙げて勝利を喜び、何人かはピッチに倒れ込んだ。前半に先制したものの、後半は一方的に攻め込まれる苦しい展開。それでも最後までゴールを割らせず、1点を守り抜いて勝ち点3をもぎ取った。

 冷たい強風が吹く中で始まった一戦は、前半は風上に立った広島皆実のペースで進んだ。6分には右CKをニアサイドでDF島田琉輝(3年)がヘッドで合わせたが、ボールはファーサイドのポストに当たって決まらず。14分には再び右CKを得ると、ニアサイドでフリックしたボールがファーサイドに流れたところに、FW岡本敬大(2年)が飛び込んでヘッドで合わせるも、わずかに左に外れた。

 米子北も左サイドを起点とした攻めで押し返そうとするが、22分に広島皆実が先制点を奪う。岡本と米子北DF野田徹生(3年)の競り合いから、自陣左サイドに戻ってこぼれ球を拾った野田が、岡本のプレッシャーを受けながら中央につなごうとしたパスが乱れ、ボールはゴール正面の誰もいないスペースに。これに反応した広島皆実MF杉原優希(3年)が、難なく蹴り込んでネットを揺らした。

 そのまま1-0で折り返した後半は、逆に風上となった米子北が主導権を握る。フリックやワンタッチパスをうまく使って中央を突いたり、ロングパスやサイドチェンジで両サイドからの侵入を狙ったりしながら広島皆実の守備網を破りにかかるが、10分にMF上原颯太(2年)、11分にFW福田秀人(3年)が左サイドから放った右足シュートは、どちらも左に外れて決まらない。

 なおも攻め立てる米子北は16分、右からのセンタリングをMF仲田堅信(2年)がファーサイドからヘッドで合わせたが、たたきつけてワンバウンドしたシュートを、広島皆実MF立通岳(3年)がゴール方向に戻りながらヘッドでクリアし、何とか枠外へをかき出す。26分には右からのセンタリングを、ファーサイドでフリーとなっていた福田がヘッドで合わせたものの、力んでしまったシュートはわずかに左に外れた。

 選手交代も交えてチーム全体が前へのエネルギーを最後まで持続した米子北は、4分と表示された後半アディショナルタイムも攻め続けたが、広島皆実の堅陣は崩れず。カウンターからの2点目のチャンスこそ生かせなかったものの、広島皆実は貴重な1点を守り切って勝利をつかんだ。

 開幕2連勝で首位に立っていた米子北は、最後まで1点が奪えずに初黒星。大社高(島根)相手にシュート25本を放った第1節は11-3で大勝したものの、サンフレッチェ広島ユースセカンドと対戦した第2節は、シュート29本を放ちながら1-0勝利。この日もシュート18本の猛攻を見せながら無得点に終わった。

 中村真吾監督は「最初の2試合も、そんなに良くはなかった。攻撃が前の4枚(2トップと両サイドハーフ)だけでやっていて、後ろからの押し上げがなく、薄っぺらくなってしまうのが気になっていた」と振り返った。結果的に課題を露呈しての敗戦で、「やられてみないと分からない」と評した選手たちの今後の奮起を促していた。

 一方、広島皆実は第1節でファジアーノ岡山U-18に3-2で勝利し、延期となった第2節を挟んで、この日の勝利で開幕2連勝とした。全国高校総体と高校選手権の出場権を、どちらも瀬戸内高に譲った昨年度の課題は、仲元洋平監督が「1年間を振り返ったとき、失点の多さが響いた」と語る守備力。今年度は簡単に失点しないことをテーマに掲げて強化を進めており、この日は成果の一端を見せての勝利となった。

 3月末のフェスティバルでは思うような結果が出なかったが、「やっと、こういう勝ち方ができた」と仲元監督も選手たちの踏ん張りを評価。その仲元監督が「プリンスリーグが始まってから、チームが一つになりつつあると感じている」と語る一体感も武器に、伝統の『堅守強攻』を取り戻し、全国の舞台に返り咲くための挑戦が続く。

(取材・文 石倉利英) 
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