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好勝負は後半45+1分の決勝点で決着!FW熊田直紀ハットのFC東京U-18が前橋育英に4-3で撃ち勝つ!

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後半45+1分、FW熊田直紀の決勝点をFC東京U-18イレブンが喜ぶ

[4.17 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 FC東京U-18 4-3 前橋育英高 東京ガス武蔵野苑多目的グランド]

 レフティーエースがハット!FC東京U-18が撃ち合いを4-3で制す――。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EASTは17日、第3節2日目を行い、FC東京U-18(東京)と前橋育英高(群馬)が激突。FW熊田直紀(3年)のハットトリックの活躍などによって、FC東京が4-3で逆転勝ちした。

 ここまで1勝1敗のFC東京は4-3-3システム。GKは西山草汰(3年)で、右SB岡崎大智(2年)、CB石堂純平(2年)、ルヴァン杯でトップデビューのCB東廉太(3年)、左SB伊藤ロミオ(2年)。主将のMF土肥幹太(3年)がアンカーに入り、インサイドハーフがルヴァン杯出場の熊田と初先発のU-16日本代表候補MF佐藤龍之介(1年)、右FW今野光希(3年)、左FW松本愛己(3年)、CFに田口輝一(3年)が入った。

 一方、前節のプレミアデビュー戦で市立船橋高を5-1で破っている前橋育英はGKが雨野颯真(2年)、4バックが右SB井上駿也真(3年)、CB齋藤駿(3年)、CB杉山陽太(3年)、左SB山内恭輔(3年)。中盤は右SH山田皓生(3年)、左SH大久保帆人(3年)、中央はU-17日本高校選抜の徳永涼(3年)がアンカー気味にポジションを取り、1.5列目の青柳龍次郎(3年)とFWに近い位置で構えるU-17日本代表MF小池直矢(3年)をサポート。最前線にU-17日本高校選抜候補の高足善(3年)が入った。

 試合は前半2分に早くも動く。前橋育英は左FKをファーの杉山が折り返し、小池の放ったヘッドが右ポストの内側を弾いてゴールイン。前橋育英は日本高校選抜の注目ボランチMF根津元輝(3年)が離脱中だが、特に前半は互角以上の戦いを見せる。

 FC東京U-18にポゼッションされる時間が増え、独特のリズムから柔らかいドリブルを繰り出す松本と繰り返しアタックする今野の両翼に仕掛けられたほか、熊田や佐藤にシュートまで持ち込まれていた。FC東京の強度高い守備の前にボールを失い、ショートカウンターを食らうシーンも。だが、タイミングの良いインターセプトやビルドアップで印象的な動きを見せるSB山内やCB齋藤らDF陣が対人守備で健闘し、SHのプレスバックなども含めて安定した守備を見せる。

 また、失わない力と視野の広さ、守備でも存在感放つ徳永が「自分たちが(ボールを)持てるのは分かっていたので、そこは自分たちの強みだし、自信を持ってプレーできているところかなと思っています。人数を掛けられていても、テンポでも崩せるし、逆にも行けるサッカーは自分たちやっていて充実しているところがある」と語ったように、攻撃面でもボールを保持し、テンポの速いパスワークで相手のプレスを攻略するなど強豪と渡り合う。杉山の絶妙な縦パスを起点とした攻撃から、突破口になっていた大久保のクロスが上げたほか、井上のくさびのパスから小池がターンして左足シュートを打ち込むシーンもあった。

 だが、FC東京は1チャンスを得点に結びつける。33分、岡崎の右クロスをPAの田口が後方へ落とす。これを熊田が左足ダイレクトで撃ち抜いて1-1。だが、前橋育英は高足がゴール前での限られたスペース、時間の中でシュートを打ち切って見せるなどFC東京ゴールを脅かす。

 そして45分、前橋育英は山田が中央で粘ってキープ。高足の左足シュートはDFにブロックされたが、こぼれ球に反応した高足が左中間から右足シュートをねじ込み、2-1で前半を折り返した。

 だが、後半立ち上がり、FC東京は前橋育英のプレスが緩んだ隙を逃さない。6分、松本のグラウンダークロスがファーに届き、熊田が左足ダイレクトでゴールを破る。前橋育英は怯まずに攻め返すが、FC東京は9分に今野がPA右外でFKを獲得。キッカーの伊藤が左足を振り抜くと、ボールはニア上へ突き刺さった。

 熊田は今年のFC東京U-18について、「一番目指しているのは繋ぐこともできるし、どんな相手にも対応できるチームになることを全体の目標にしています。身長がデカイので、セットプレーなどで点を狙って、ショートカウンターなどでも獲れるチームにしていきたいです」と説明する。完全に崩し切れなくても、ゴールやチャンスに結びつける攻撃力を発揮。守備では前橋育英に仕掛けられるシーンが増えていたものの、東と土肥中心にゴールから遠ざけることを徹底することで相手との差を生み出した。

 前橋育英は3失点目直後に磯村陽軌(3年)を右SBへ投入し、井上を右SHへ押し出す。その前橋育英は、SB山内や徳永がPAまで飛び出すなど厚みのある攻撃。シュートやラストパスまで持ち込んでいた。一方、リードするFC東京はチーム内で「ちょっとずつ、ちょっとずつ」と声が飛ぶなど、慌てずに小さく刻みながら前進しようとする。

 24分にはFC東京がアンカーに永野修都(1年)、左SBに宮崎奏琉(3年)を送り出し、土肥のポジションをCBへ下げる。前橋育英も同じタイミングで左SHに福永竜也(3年)を送り出し、大久保を右サイドへ移行。前橋育英がその交代策をゴールに結びつけた。26分、徳永の展開から左SB山内が前方のスペースへパス。福永が左足クロスを上げると、小池が背中側からDFに寄せられながらも右足で合わせて、3-3となった。

 FC東京は35分に前線へMF田邊幸大(2年)を送り出し、43分にはFW吉田綺星(2年)も投入。前橋育英もMF茂木碧生(3年)を中央へ投入して逆転を目指したが、やや細かなミスが増えてしまう。迎えた45+1分、FC東京は相手を押し込み、PAの混戦で田邊がPKを獲得。これを熊田が左足で決める。

 熊田は「めっちゃ嬉しかったし、一番はチームのために点を獲って勝つことができて嬉しかったです」。そして、「一番は先制点獲られて苦しい展開になって、逆転まで持って来れたのが今後への収穫だと思います」と加えた。

 一方、プレミアリーグ初黒星の前橋育英・山田耕介監督は「リーグ戦なのでこれで終わりじゃないので負けをプラスにしていきたい。スタッフ選手一丸となって分析して次に繋げられていければ」とコメントし、徳永は「こういう競ったゲームを勝てるチームが年間通して勝って行けるチームだと思う」と競り勝つチームへ変わることを誓っていた。強度高い中で個性とチーム力をぶつけ合った好勝負は紙一重の差でホームチームが勝利。ともに今後の戦いへの収穫を得る90分間でもあった。

(取材・文 吉田太郎)
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