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[MOM3802]駒澤大高MF徳永薫(3年)_コンバートから1か月のトップ下が「普段はやらないプレー」で好アシスト!

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駒澤大高の新トップ下、MF徳永薫

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.23 関東高校大会東京都予選準決勝 国士舘高 0-2 駒澤大高]

「正直メッチャ嬉しかったですね。自分が普段はやらないプレーですけど、今日はやろうと凄く意識していたプレーでゴールが生まれたので、シンプルにメチャメチャ嬉しくて、ゴールを決めた岩下(和磨)に一番に抱きつきに行きました(笑)」。

 新境地を開拓しつつある、赤黒軍団のハードワーカー系トップ下。駒澤大高MF徳永薫(3年=三菱養和SC調布ジュニアユース出身)の『普段はやらないプレー』が、チームに大きな追加点と勝利をもたらした。

 コンバートされて、まだ日は浅い。もともとは「結構スピードに自信があって、そこを生かして仕掛けていくというプレースタイル」と自ら分析するサイドアタッカーだったが、「チーム事情もあって、真ん中で縦横無尽に走り回ってボールを拾うというところをやらせたくて」という亀田雄人監督の意図もあり、先月末から最前線に位置するフォワードの下に構えた“トップ下”へと居場所を移す。

 迎えた関東高校サッカー大会東京都予選準決勝。国士舘高を相手に、徳永は強い決意を携えてピッチへ向かっていた。「国士舘高校も絶対戦ってくるチームだと思っていたので、今日はもういつもより気合が入っていて、セカンドボールも普段はそんなに拾うのが得意な方ではないんですけど、『相手が嫌なことをやって、絶対にチームを勝たせてやる』という気持ちでやっていました」。勝つためなら何でもやってやる。気合十分。鼻息も荒い。

「最初は予想以上に相手の熱量が高くて、押され気味になってしまいました」と徳永も振り返る序盤を強いられたものの、前半26分にMF松原智(3年)のファインゴールで先制すると、以降は落ち着いたゲーム運びで相手の攻撃を凌ぎつつ、機を見て追加点を狙い続ける。

 その時がやってきたのは、試合終盤の後半37分。相手のビルドアップに振り回されかけたが、瞬時に1週間前の反省を頭へ思い浮かべる。「後ろにボールが出て、ちょっと出足が遅れてしまったんですけど、先週の日大豊山戦は自分のところで相手を掴み切れない部分があって、それを結構コーチや親から指摘されたので、『一歩ボールに食い付く』というところが今日の自分の目標だったなって」。

 粘り強いプレッシャーで食らい付くと、必死にカットしたボールがFW岩下和磨(3年)の足元へ。冷静にマーカーを外しながら放たれたシュートが、きっちりとゴールネットを揺らす。その直後。殊勲のスコアラーに、殊勲の“アシスト”を記録した徳永は全速力で駆け寄り、抱きついた。

「最後の最後に今日の目標ができて、結果的にアシストという形に繋がって、それは自分的に凄く満足しています」と話しながら、続けた言葉がなかなか強気で面白い。「今まではトップ下にしっくり来ないところがあったんですけど、今日のようにこうやって結果に繋がると、もっと究めたくなりますよね。でも、正直最後は自分で決めて決着を付けたかったので、関東大会では絶対にゴールを決めます」。

 亀田監督もその成長を実感しているようだ。「サイドアタッカーをずっとやっていたんですけど、あのポジションをやったら結構良いところが出てきたので、それは彼も新しい発見だったんじゃないかなと思いますし、新しい活路が出てきたところがあるのかなと。走れますし、深くタックルに行けるので、そこは良いところですね」。

 もちろん徳永も、指揮官に信頼を寄せている。「自分たちは新チームになった当時は練習でも声が出ないし、走らないし、戦わないというチームだったんですけど、そこで亀田先生にしつこいぐらいに毎日言われて、新チーム立ち上げ当初は全然勝てなくて、『大丈夫かな?』と思っていた中で、亀田先生の雰囲気や熱量にみんなも背中を押されて、試合ごとに大きく伸びている印象です。やっぱり結果が付いてくると楽しいですね」。結果が信頼を加速させる好循環。チームの歯車はがっちりと噛み合いつつある。

 今年の目標を問われ、言い切った口調が清々しい。「今シーズンは高校最後の年ということもあって、全国大会に出たいですし、いろいろな大会で優勝もしたいので、ただ優勝するだけじゃなくて、個人賞も全部かっさらってやろうと思っています!」。

 虎視眈々と主役の座を狙っていることは間違いない。黒子系ハードワーカーにとどまらないような、明確な結果を出し続けることを真剣に目指して、徳永はこれからも日々のトレーニングに向き合っていく。

(取材・文 土屋雅史)

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