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[MOM3820]興國MF千葉大舞(2年)_注目ストライカーが「大きな決断」経て、新ポジションで輝く

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興國高MF千葉大舞はインサイドハーフのポジションで攻撃をコントロールし、1ゴール2アシスト

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.30 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第5節 興國高 4-2 報徳学園高 J-GREEN堺 S3]

 攻撃面で違いを生み出し、3得点に絡んだ。MF千葉大舞(2年)は昨年9月にC大阪U-18から興國高(大阪)へ加入。C大阪U-15時代に1歳年上のU-16日本代表へ選出されている才能は現在、ストライカーからコンバートされてインサイドハーフで輝きを放っている。

 この日は絶妙なポジショニングでボールを引き出し、何度も前向きの状況を作り出した。そして運ぶドリブルや剥がすドリブル、サイドへの展開と思い通りのプレー。内野智章監督も称賛するボールを失わない力を発揮し続け、攻撃の中心になっていた。

 前半3分、千葉の左足シュートをゴール前のFW小林嘉人(2年)がコースを変える形で1アシスト。前半19分にはパス出しのタイミングが遅れて珍しくロストすると、その流れから同点ゴールを決められてしまう。

 それでも、直後に汚名返上の勝ち越しゴール。DFの寄せよりも一瞬速くサイドへボールをはたき、MF宮原勇太(2年)からの折り返しを左足でゴールへねじ込んだ。世代屈指のストライカーとして注目されていた千葉が、その得点能力の高さを中盤のポジションでも見せつけた。

 チームは再び追いつかれたものの、後半3分に左中間から放ったミドルシュートが再び小林のゴールに直結。個でボールを奪い取る力を見せるなど、背番号11は攻守で存在感を放った。ただし、後半は味方のサポートに追われて体力を削られ、怪我明けということもあって20分に交代。「後半セカンドボール拾えなくなって守備の課題が出た」。失点に繋がるミス、また切り替えの速さを欠いたことも猛省していた。

 千葉は新たなポジションでの挑戦に前向きだ。「中学時代はゴリゴリ行けていたけれど、みんながデカくなって行けなくなったので。ポジションを変えるというのは大きな決断でしたけれど、自分は身長がないので、ペドリ選手やチアゴ・アルカンタラ選手のような点とか絡んでなくても目立っている、『アイツ、えぐいな』という選手を目指しています」という。

 興國加入後、大きな壁となったのが、止める・蹴るなどの技術力と認知など個人戦術の部分。「少しずつ足下がついてきた。寮生なので、(朝練習から)いっぱいできて追いつけるようになって、一つ一つ課題をクリアしていくごとに(内野)監督からのミッションもあるので壁を乗り越えられていると思います」。注目されていた過去にとらわれず、自分と向き合って進化を続けてきた。

 ただし、ボールを受ける位置、セカンドボールの予測などまだまだ課題が多い。貪欲に取り組み、前任の11番、MF永長鷹虎(現川崎F)のように、チームを勝たせるゴールも求めていく。

 6月と7月には海外クラブへの練習参加を予定。「海外の人から目をつけられるように。ただ行くだけでなく、自分の実力を見せつけるために行きます」と自身を奮い立たせている。世界で活躍し、成長を加速させることも目標。「プリンスで得点王になってもう一回有名になりたい。僕は選手権に憧れているので、まず大阪のてっぺん獲って、全国に2年生で出て、注目浴びて、高卒海外を決めたい」と野心を口にする千葉が新ポジションで進化を続けて再びその名を轟かせる。

(取材・文 吉田太郎)
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