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最後まで無失点、勝利にこだわった東海大大阪仰星がプリンス関西首位・阪南大高を1-0撃破

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後半32分、東海大大阪仰星高がMF岩井遼斗(右端)の決勝点を喜ぶ

[4.30 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第5節 東海大大阪仰星高 1-0 阪南大高 J-GREEN堺 S2]

 東海大仰星が上位対決を1-0で制す――。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関西1部は30日に第5節2日目を行い、首位・阪南大高(大阪)と3位・東海大大阪仰星高(大阪)との上位対決は、MF岩井遼斗(3年)の決勝FKによって東海大仰星が1-0で勝った。

 前節初黒星を喫していた東海大仰星が今節、阪南大高に初黒星をつけた。CB森田敬太朗主将(3年)は、「先週、興國に負けてしまったので、ここから阪南、桐蔭、サンガでどれだけ勝ち点を積み重ねるかだとチームでも言っていた。1試合通して絶対に身体を張るというのはチームで意識して、最後は全員で声を掛けて身体を張りました」という。1点勝負のゲームで走り、戦い、身体を張り続けて勝ち点3をもぎ取った。

 東海大仰星は4-4-2システムで試合をスタート。GKが森本真幸(2年)で4バックは右SB大濱匠功(3年)、CBが森田と高橋哲也(3年)、左SB加賀美諒(2年)。中盤は竹村龍太郎(3年)と中山蓮(2年)が中央に入り、右SH中本昇(2年)、左SH大島羽瑠(3年)、そして前線は岩井と山本青英(3年)が2トップを組んだ。

 一方、前節まで3勝1分の阪南大高はともに昨年の経験者である右SB今西一志(3年)やMF宮崎悠大(2年)が怪我などで欠場。4-4-2システムのGKは松本健汰(3年)、右SB 上村蓮太(2年)、CB八木陸斗(2年)、CB満永拓実(3年)、左SB孫崎和久(3年)、ダブルボランチが主将の川口将仙(3年)と榮迫龍征(2年)、右SH藤井樹(3年)、左SHがU-17日本高校選抜の注目MF保田成琉(3年)、そしてFW田中心斗(3年)、FW山内颯太(3年)の11人でスタートした。
 
 前半は東海大仰星の岩井が「前が身体を張れなかったので押しこまれました」と振り返ったように、阪南大高が押し込む形で試合を進める。相手の時間が続く中で東海大仰星は14分に中山を高山陸(2年)へスイッチ。一方の阪南大高は保田と孫崎のポジションを入れ替えて相手の堅い守りを攻略しようとする。

 アクションの数と精度で押し込んでいた阪南大高は、川口らがセカンドボールを回収して連続攻撃。保田が高い位置を取り続けて左サイドからの崩しや八木のロングスローで相手に圧力を掛ける。だが、東海大仰星はこの日空中戦で高さを示していた高橋と接点で強さを発揮する森田、中盤のキーマン・竹村を中心に無失点を継続。奪ったボールを岩井と山本の2トップへ素早く入れて、セットプレーの獲得に繋げていた。

 阪南大高も保田が空中戦で強さを発揮するなど、インテンシティの勝負で互いに譲らず、試合は0-0のまま後半へ。阪南大高はハーフタイム明けからMF池久保絢斗(2年)、12分にMF笹野大樹(3年)をそれぞれワイドへ投入し、東海大仰星は11分に左SH玉山樹(3年)をピッチへ送り出す。

 東海大仰星はその玉山や、後半に存在感を高めた岩井の仕掛けによってFKの数を増加。21分には大濱の右クロスから玉山が右足シュートを打ち込むなど、攻め切る回数も増やしていく。阪南大高は24分にMF脇田大和(3年)とFW福井旺(3年)をピッチへ。だが、勢いを増していた相手に得点を許してしまう。

 後半32分、東海大仰星は左中間の位置で玉山がFKを獲得。キッカーの岩井が右足で狙うと、カベをかすめたボールが左隅へ決まる。「めちゃくちゃ嬉しくて、最高でした」と笑顔で走り出した10番中心に歓喜のイレブン。阪南大高は直後にMF玉井把玖(2年)を投入し、前への意識を強める。

 阪南大高は八木のロングスローやCKでボールをゴール前に入れ続ける。だが、東海大仰星は各選手が責任感を持って一本一本弾き返していく。シーズン開幕当初のこの時期でも、各選手が最後足を伸ばして身体に当てることやチームのために走れることはチームの強み。また、森田は「力が例年に比べるとないかもしれないですけれども、その中でどれだけ身体を張ったり点にこだわったり、失点しないことにこだわったりするのが今年の良さだと思います」という。FW水永直太朗(2年)を投入したアディショナルタイムもこだわって戦い抜いた東海大仰星が、勝ち点3を勝ち取った。

 紙一重の勝負を制した東海大仰星だが、中務雅之監督は「もう少し現状を把握して正しい歩み方をしていかないと。サッカーってどう転ぶか分からないスポーツなので。まだまだオフのところで良い準備ができていない部分があります」と指摘。そして、「例年真面目なんですけれども、スタンダートを色々な部分を上げていかないと。それはこれから彼らに期待したい部分」と加えた。

 東海大仰星は18年に優勝するなど過去5年間、プリンスリーグ関西(20年はスーパープリンスリーグ関西)でいずれも4位以内。今年はプレミアリーグ昇格と夏冬のトーナメント戦で全国舞台に戻ることが大きな目標だ。岩井は「まずはプリンス優勝してプレミアへ上げること。そして、インターハイ、選手権でタイトルを獲ることを目指して頑張っていきたい」と力を込めた。昨年度夏冬全国16強の阪南大高との戦いで感じたことをチームへ持ち帰り、日々スタンダードを高めながら目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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