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[MOM3824]流通経済大柏DF岡本亮太郎(3年)_CB起用に応えたエアバトラーが果敢なタックルで決定機阻止!

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強さを発揮して無失点に貢献した流通経済大柏高DF岡本亮太郎

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.1 プレミアリーグEAST第5節 市立船橋高 0-0 流通経済大柏高 グラスポ]

 一番勝負したいと思っているセンターバックでのスタメン。この巡ってきたチャンスを逃すわけにはいかない。ポジション争いのライバルたちとも、この日ばかりは気持ちを1つに合わせて、絶対にゴールを守り抜いてみせる。

「自分はセンターバックが好きなので、楽しかったです。4バックはセンターバックが2枚しかいないので、冷静にやろうと思うことが多いんですけど、今日は3バックでしたし、真ん中に萩原(聖也)がいるので、自信のある前へのパワーを生かしながら、強く行くことを意識しました」。

 リーグ4試合目にして、初めてのクリーンシートを目指す流通経済大柏高(千葉)で3バックの一角を任されたエアバトラー、DF岡本亮太郎(3年=COSPA FC出身)の強さと高さが、永遠のライバル相手の一戦でその威力を発揮した。

 前節の柏レイソルU-18(千葉)戦は、後半アディショナルタイムの失点でまさかの逆転負け。「試合内容は悪くないんだけど、勝ち点を落とすことが続いていましたし、ちょっと気分転換にもなるかなって」と考えた榎本雅大監督は、市立船橋高(千葉)とのゲームで3バックに舵を切ることを決断する。

 その柏U-18戦ではボランチとしてスタメン起用され、「『ボランチとしてやってやろう』という発想はまったくないんです。正直足元がメッチャあるわけではないですけど、試合に出ることが一番大事だと思うので、やることはセンターバックと変わらないです」と口にした岡本だが、今回は3バックの左CBがその立ち位置。いわゆる“本職”で挑む大一番に意欲を燃やしていた。

 前半はやや押し込まれる時間が長い展開の中で、「全体的に繋ぐというよりは蹴ることが多かったですけど、弾き返すのは自分も得意なので、そこは良さが出たかなと思います」と自ら振り返ったように、基本的には平川と2人で積極的に競り合いに打って出ながら、萩原とチャレンジアンドカバーを繰り返す。

 岡本に訪れた“見せ場”は後半26分。自分たちの右サイドから市立船橋のエース、FW郡司璃来(2年)がドリブルで仕掛けると、2人で挟みに行った平川と萩原がぶち抜かれる。「アレは2枚行っていて、そこが抜かれてしまったんですけど、2人が抜かれてしまった時に、少しトラップがつまづいていたように見えたので」、懸命に戻った岡本はタイミングを見計らってタックルを敢行。ボールは間一髪で掻き出され、失点の危機を回避する。「ディフェンダーとしては気持ち良かったですね」。会心のワンプレーにCBとしてのプライドを覗かせた。

 結果はスコアレスドロー。「市船には勝たないといけないので、悔しいのが一番ですね。同じ千葉の高校としても勝ちが欲しかったです」と言いながらも、「プレミアでは初めて無失点に抑えられたので、そこは次に繋げられるかなと思います」とも口にした岡本にとって、確かな手応えのある90分間であったことは間違いない。

 兵庫出身の岡本だが、そもそもこの高校に来るつもりはなかったという。「流経がどんなスタイルのチームかも全然知らなかったですし、自分は来るつもりはなかったんですけど、練習会に行ったら受かってしまって(笑)。でも、『強いところに行きたいな』とは思っていましたし、『一番プロに近いかな』とも考えて、流経を選びました」。

「最初はみんなのレベルが高くて、素直に『マジで凄いな』と思いました。正直周りの人たちからは『行っても無理なんじゃない?』と思われることが多かったと感じていたんですけど、実際にやってみて通用する部分もありました」。2年時からプレミアで出場機会を得ると、今シーズンは背番号も4に変わり、ボランチとセンターバックで存在感を示している。

 楽しみにしている“再会”がある。今年からプレミアに昇格してきた桐生一高(群馬)でキャプテンを務めるMF諏訪晃大(3年)は、中学時代に所属していたCOSPA FC時代のチームメイトだ。

「キャプテンで10番を付けているので、実際に対戦したらマジで潰したいです。ポジションもマッチアップするところですし、絶対に負けたくないので、そこは意識していますね。結構仲が良いので、しょっちゅう電話していますよ。『今はどういう感じ?』とか、くだらない話が多いです(笑)」。もともと組まれていた桐生一との開幕戦は延期に。2人は少し先に延びた“再会”を楽しみに待っている。

 高校生活最後の1年。覚悟はとっくに決まっている。「3年生になって、もう高校生活も短いですし、本当に1試合1試合を大事にしていかないと、すぐ終わってしまうので、そういう意識を大切にしていきたいです。個人としては今から全試合ゼロで抑えたいですし、それが自分の役目だと思っているので、まずは絶対に点を決めさせないようにやっていきたいなって。その上で自分の力を全部出して、絶対に三冠を獲って、チームとして最後に笑って終わりたいです」。

 強烈なライバルであり、最高の仲間と切磋琢磨しながら、岡本はこのチームのみんなと成し遂げるべき歓喜を見据えて、自分の武器を磨き続けていく。

(取材・文 土屋雅史)

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