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澤登正朗監督も「抜群」と評するルーキー。MF矢田龍之介は積み重ねて清水の「10」に相応しい選手へ

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プレミアリーグで堂々のプレーを見せている清水エスパルスユースの1年生MF矢田龍之介

[5.1 高円宮杯プレミアリーグWEST第5節 清水ユース 4-0 大津高 アイスタ]

「矢田は抜群です」。Jリーグ創世記から活躍し、05年まで清水エスパルスの10番を背負い続けた名手が、教え子を「抜群」という言葉で評した。U-16日本代表MF矢田龍之介(1年=1FC川越水上公園出身)が、クラブのレジェンドである澤登正朗監督の下、清水エスパルスユース(静岡)での3年間をスタート。プレミアリーグWEST開幕戦で先発デビューを果たした逸材は、この日も堂々の動きで快勝に貢献した。

 ダブルボランチの一角として先発した矢田は、指揮官が「彼は間違いなくボールを怖がらずに受けれる」と頷く力を発揮。運ぶドリブルやショートコンビネーションを得意とするMFは、雨中でもミスなくボールを動かして攻撃をコントロールし、チャンスの起点や前に出て決定機に絡む動きもしていた。

「ボールを持って詰まったら、逆サイドを常に冷静に見ておいて、逆に展開したら、安藤(阿雄依)選手とかいるので。そういうところは常に意識しながらプレーできていたので、まあ落ち着いていたかなと思います」と矢田。交代直前のプレーで放った右足ボレーはクロスバーをヒットし、「いや、本当に、最後決めれたら良かったんですけど。イメージ通りに(飛び込めたけど)。ミートも良かったんですけど、バーに当たっちゃいましたね。結構、がっかりしましたね」と苦笑したが、ボール奪取の部分を含めて強豪のレギュラーに相応しいプレーをしていた。

 近年次々と好選手を輩出している埼玉の街クラブから、王国・静岡の名門へ加入し、早くもスタメン定着。矢田は「(開幕戦からスタメン起用は)全然思ってないです。思ってなかったですけど、選ばれたからにはやるしかないので、切り替えて試合に臨んでいます」。覚悟を決めて、出られない上級生の分もピッチで躍動している。

 昨年は1歳年上のU-16日本代表候補に選出され、初招集から強みを発揮。将来、清水ユース、トップチームの10番を背負う可能性も十分にある才能だ。矢田は「もちろん、背負えるなら背負ってチームの中心となってゲームをコントロールしたり、ゴールを決めたり、自分の中で10番はゲームをコントロールしながら自分で決定的な仕事をするというイメージなので、そこに自分もなれるように頑張っていきたいと思っています」。現在は課題を改善しながら積み重ねている毎日だ。

 矢田がより突き抜けるための課題。澤登監督は、「ボランチとして最終的にスルーパスとか、サイドチェンジとか、決定的なパスを出せるとか、それが本当に怖い選手。それを常に要求しています」という。矢田は「練習からサイドチェンジのボールの質やタイミングは、常に要求されているところ。(澤登監督は)スルーパスのところの質とか。スピードじゃなくてタイミングとか。そういうことを教えてくれます」。キックの部分などはまだまだ。この日も決定的な仕事をするまでは至らなかった。自分に厳しく求めて、努力するだけ。偉大な10番だった澤登監督の指導の下、「10」に相応しい選手、清水を勝たせる選手になるために、こだわって進化し続ける。

 今年の目標は、「まずプレミアで目に見える結果を残して、これから課題とか克服して、さらに成長して、1年だけど、感じさせないように堂々とプレーして、さらに成長していきたいと思っています」。15歳はすでにトップチームに2種登録され、その練習も経験。2日からのU-16日本代表ルーマニア遠征でまた学び、結果を残し、自身を成長させる。

(取材・文 吉田太郎)
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