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桐光学園が関東大会出場権獲得。選手権8強超えのために磨く崩しと堅守で1-0勝利:神奈川

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桐光学園高が関東大会への出場権を獲得

[5.7 関東高校大会神奈川県予選準決勝 桐光学園高 1-0 湘南工科大附高]

 令和4年度第65回関東高校サッカー大会神奈川県2次予選は7日、準決勝を行い、桐光学園高湘南工科大附高に1-0で勝利。2大会連続の関東大会出場を決めた。桐光学園は8日の決勝で日大藤沢高と戦う。

 1月の全国高校選手権8強の桐光学園は、昨年度を超えて国立4強、それ以上を目指す一年。この日は納得の内容・結果ではなかったものの、準備してきた崩しで先制点を奪い、伝統の堅守で湘南工大附を上回った。

 3-6-1システムで戦う桐光学園はGKが山田啓太(3年)、3バックは右から川口泰翔(2年)、ゲーム主将のU-17高校選抜DF豊田怜央(3年)、平田翔之介(2年)。右WB杉野太一(1年)、左WB齋藤俊輔(2年)、ダブルボランチに小西碧波(2年)と菅江陸斗(3年)が構え、2シャドーが松田悠世(2年)と野頼駿介(3年)、1トップを宮下拓弥(2年)が務めた。

 一方の湘南工大附はGKが永山航世(3年)で右から小島大和(3年)、主将の三浦翔遼人(3年)、{小川源生}}(3年)の3バック。右WB高橋陽翔(3年)、左WB伊藤大輔(3年)、中盤中央で三觜真生(3年)、村岡遊(3年)、中山陽輝(2年)がトライアングルを形成し、橋山翔太(3年)、岩崎由磨(3年)が前線に構えた。

 立ち上がりは、湘南工大附がセットプレーや中へ潜り込んだ伊藤のシュートでゴールへ迫る。だが、桐光学園は切り替え速い守備で相手のミスを誘い、簡単には前進することを許さない。

 また、小西がボール奪取力を発揮し、菅江や野頼を活用しながらのビルドアップと、サイドからの崩しにチャレンジ。11分、右クロスのこぼれに反応した菅江が胸コントロールから右足シュートを放ち、その2分後には左サイドからのドリブルでDF2人を剥がした齋藤が逆サイドへ振り、杉野がクロスを上げ切る。

 湘南工大附は最終ラインの中央で三浦が高さを発揮していたものの、相手を警戒しすぎた面があったか、全体的に後ろに重い守備となるなど、攻守とも後手に回ってしまう。一方の桐光学園は、ロングボールのこぼれ球を高い位置で回収するなど流れを崩さずに試合を進める。そして、前半23分に鮮やかな崩しから先制点を奪った。

 桐光学園は、敵陣中央の野頼が相手に厳しいチェックを受けながらも右サイドへ展開。スルーした松田の外側からオーバーラップしていた杉野が、グラウンダーのクロスを入れる。これをニアの宮下がフリック。最後は展開後にゴール前へ動き直していた野頼が左足1タッチでゴール左隅へ流し込んだ。

 桐光学園の鈴木勝大監督は、相手の守りを崩し切っての得点を称賛。「去年の選手権の反省がやっぱり4試合で得点が獲り切れなかったので(計3得点)、前のタレントはそんなに変わらないか、今年の方が良いので、1つ獲られたとしても2点、3点獲れるようなことは日頃から意識してはやっている」。練習でデザインしてきた崩しで見事なゴール。桐光学園が先制に成功した。

 湘南工大附は、失点直後に岩崎がスピードでDFを剥がして右足シュート。また、積極的にボールを受けてマークを外す2年生10番MF中山が、相手ゴールを脅かすシーンもあった。狭いスペースを活用しながら反撃し、橋本が連続でシュートへ持ち込んでいたが、「もっと動かせたかなと。もうちょっとチャレンジしても良かった」(室井雅志監督)という前半になってしまった。

 それでも、後半は湘南工大附が桐光学園を押し込む。後手になっていた守備の部分を修正し、前に出て桐光学園のパスワークを制限。また、三觜や中山がボールを引き出し続けるなど、アグレッシブなポゼッションで相手DFラインをPAまで押し込んだ、そして、ワンツー、スルーパスに幾度もチャレンジ。だが、桐光学園は豊田を中心としたDF陣が引き出されることなく、一つ一つの攻撃に対応し、確実に弾き返していく。

 11分、湘南工大附はワンツーで三觜が抜け出すが、カバーした桐光学園DF川口がストップ。16分には切り返しでDFを外した中山の右足シュートが枠を捉えたが、GK山田が好反応で阻止する。

 桐光学園は15分に菅江をMF大高颯斗(3年)へチェンジ。17分にはその大高のインターセプトを起点とした攻撃から宮下が後半唯一のシュートを打ち込んだが、前線の選手の運動量が落ちたこともあってボールを運べず、なかなか攻め切ることができない。湘南工大附もPA手前から幾度もコンビネーションにチャレンジしていたが、桐光学園の守りは揺るがず。終盤に掛けて両校ともにメンバーチェンジを行った。

 湘南工大附は、27分のFW大木啓汰(3年)投入を皮切りに、右WB前田蓮(3年)、MF崎井圭(3年)、FW川崎廉(3年)を相次いで投入。桐光学園もFW金岡樹(3年)をピッチへ送り出した。湘南工大附は35分に奪い返しから伊藤が右足シュートを打ち込むが、GK山田が再び好セーブ。また、湘南工大附は川崎のスピードを活かし、ゴール前のシーンを作り出したが、桐光学園は「サイドをやられても真ん中でクロスはしっかり守り切る」(豊田)ことを徹底。伝統の堅守を維持し続け、1-0で勝利した。

 関東大会出場を決めた桐光学園の鈴木監督は「ゼロで抑えたことは良しとしても、追加点を獲れなかったのは課題かなと思います」と指摘。指揮官が「彼のストロングと彼の良さはきょうのゲームは良い方向に出たのかなと思います」と讃えた1年生DF杉野や2年生MF小西の活躍など前向きな材料も得たチームは、この日上手くいかなかったことを整理して、成長に繋げる。

 また鈴木監督は「(昨年度を超えるという)目標を獲得できるように、しっかり子どもたちとやっていきたい」と語り、豊田は「去年はインターハイ(予選で)負けてしまって選手権もベスト8で終わってしまったので、インターハイ出場、優勝目指してやっていきたいし、選手権はベスト8を超えて国立で戦えたらなと思っています」。連戦となる決勝、関東大会、インターハイ予選と厳しい日程が続くが、どの相手でも複数得点を獲り切る強さを身につける。

(取材・文 吉田太郎)

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