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年々選手層に厚み。前線、両翼に並ぶ“4人のFW”躍動の日体大柏が関東大会へ

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日体大柏高が関東大会への出場権を獲得した

[5.8 関東高校大会千葉県予選準決勝 暁星国際高 1-3 日体大柏高]

 令和4年度関東高校体育大会サッカーの部千葉県予選準決勝が8日に行われ、暁星国際高日体大柏高が対戦。日体大柏が3-1で勝ち、2大会連続の関東大会出場を決めた。日体大柏は10日の決勝で専修大松戸高と戦う。

 前回大会優勝の日体大柏は4-4-2システム。GK原田眞透(2年)、右SB寺村啓志(3年)、CB神野匠斗(2年)、CB古金谷悠太(3年)、左SB中村駿輝(3年)。ダブルボランチが植木笙悟(3年)と佐藤伸哉(2年)、右SHがキャプテンの吉田眞翔(3年)、左SH古谷柊介(3年)、2トップは平野伶(3年)と注目の190cmFWオウイエ・ウイリアム(3年)が構えた。

 一方、昨年のインターハイ予選で準優勝している暁星国際はGK大瀬晴暉(3年)やDF坂本向陽(3年)ら昨年からの先発を複数残す。4-3-3システムのGKは大瀬、右SB坂本、CB平林拓(3年) 、CB宮武遼(3年)、左SB桒田哲英(2年)。アンカーが日向野遼(3年)、インサイドハーフが坂口愛弥(3年)と浦野陽大(3年)。右FW鶴田航生(3年)、左FW浅野哲(3年)、CFをU-20チャイニーズタイペイ代表というFW劉炫緯(3年)が務めた。

 先にチャンスを作ったのは暁星国際だった。前半3分、日向野が左サイド後方から入れたクロスを劉がヘディングシュート。直後のCKこぼれを浅野が左足で狙う。ワイドを活用し、馬力のある浅野や劉の仕掛けからゴールへ迫った。

 だが、日体大柏が先制点を奪う。11分、平野を起点としたカウンターから植木がスルーパス。PA左へ抜けた古谷が切り返しでマークを外してクロスを上げると、暁星国際DFの手に当たり、PKを獲得する。PKキッカーを志願した古谷が、右足で左隅に決めた。

 日体大柏は中村と寺村の両SBがボランチの位置に入るような形でビルドアップ。前線のオウイエが自信を持つファーストタッチで浮き球を次々と収めて相手を押し込む。24分には、平野の展開から俊足MF古谷がカットインシュート。25分にはオウイエがワンツーで一気にPAへ抜け出す。

 リズムよく攻めていた日体大柏だが、前半の飲水後は暁星国際の前からの守りにビルドアップを制限され、苦しいパスをインターセプトされてしまう。暁星国際は27分に浦野のインターセプトから劉が左足シュート。32分にも奪い返しから日向野が右足ミドルを打ち込んだ。また、好守と運ぶ動きも見せていた成長株・平林や中盤で存在感を高めた浦野らが小さなスペースを活用しながらボールを繋いで前進し、ラストパスまで持ち込んでいた。

 寺村の突破などチャンスも作った日体大柏だが、ビルドアップが消極的になって苦戦。それでも、根引謙介監督が「そこは我々の強みだと思いますし、組み合わせは色々あるので」と自信を見せるアタッカー陣、“4人のFW”がゴールをこじ開けた。

 後半5分、左中間からオウイエが柔らかいラストパス。これに逆サイドから走り込んだ吉田が右足ダイレクトで狙う。これは枠を外れたものの、11分、オウイエが右中間から逆サイドへ展開。左からカットインした吉田が右足コントロールショットを鮮やかに決めて2-0とした。

 日体大柏はオウイエ、平野の2トップと吉田、古谷の両SHがいずれもFW登録のストライカー。オウイエも「全員トップ経験がある人で、前の4枚がストロングかなと」語る4人が組み立て、崩し、個の力も示して相手との差を生み出した。

 暁星国際は、失点直後に投入されたMF佐藤勇悟(2年)がいきなりドリブルでチャンスメーク。17分にはMF羽石海優(3年)、28分にはMF南部佑成(2年)と打開力のある選手たちを送り出す。

 一方、攻守で安定感を取り戻した日体大柏は21分に右SB中原奏(3年)を送り出し、28分にはMF相原大翔(3年)とMF大和田琉星(2年)を同時投入。後半に存在感を増した植木がインターセプトを連発し、その配球や前線の個を活かした攻撃などから追加点を目指した。

 だが、暁星国際は31分、南部が獲得した左FKから日向野が右足を振り抜くと、ボールはゴール前を横切り、ファーサイドのゴールネットへ。1点差とした暁星国際は、セットプレーの流れから平林が右足を振り抜くなど日体大柏ゴールを脅かす。

 それでもMF大江颯太郎(3年)を投入して攻め返す日体大柏は39分、縦パスに反応した古谷が右足ダイレクトでシュート。強烈な一撃をゴールに突き刺し、再び2点差とした。最後はMF片野拓久(2年)を投入して逃げ切った日体大柏が関東大会への出場権を獲得。僅差で敗れた暁星国際の内藤雅也監督は「向こうの方が試合巧者だった。ウチは(ボールを)転がしてやりたいので。その中でも良いシーンで奪ったけど次繋げなかったり、あと1本繋げていたら1点入っていたなというところがあるので、基礎のところをもっと突き詰めてやらないといけない」と課題を口にしていた。

 一方の日体大柏は、自分たちからアクションできない時間帯があるなど課題も出る試合だったが、根引監督は「トーナメントなので内容よりも勝ちを取ることも大事なので、色々ありますけれども、しっかり勝ててというところは良かったですね」と前向きに捉えていた。

 日体大柏は15年に柏レイソルと相互支援契約を締結。柏から指導者が派遣されるなど環境面が向上し、年々力を高めている。19年にインターハイ出場を果たし、昨年はDF土屋巧が柏とプロ契約を結んだ。選手層も向上。この日はいずれも先発を外れたCB柴田光琉(3年)や右SB中原、左SB岡田ナミト(2年)が、昨年の先発組を押しのけてポジションを奪取するなど競争も激しい。

 全国屈指の激戦区・千葉から全国へ出場するために、今大会不在の流通経済大柏高、市立船橋高などライバル以上の、一番のトレーニングをすることを意識。根引監督は「自分たちの練習が一番強度の高いものを作っていこうと言っている」。インターハイ予選や選手権予選で千葉を制し、「今年は全国優勝です」(古谷)という目標を達成するために、白星を重ねながら貪欲に力を磨く。

(取材・文 吉田太郎)

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