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プレミアWESTの高体連対決は東福岡が勝ち点3奪取!我慢我慢の後半を耐え凌ぎ、終了間際に劇的V弾!

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後半45分、東福岡高MF落合琉鴻が劇的な決勝点

[5.15 高円宮杯プレミアリーグWEST第7節 東福岡高 2-1 履正社高 東福岡高G]

 我慢強く戦った東福岡が劇的な決勝点で勝ち点3奪取! 15日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022WEST第7節2日目で東福岡高(福岡)と履正社高(大阪)が対戦。後半45分に交代出場のMF落合琉鴻(2年)が決勝点を決め、東福岡が2-1で競り勝った。

 4月23日以来のリーグ戦となる東福岡はこの日、昨年から先発のMF榊原寛太(2年)と選手権で先発を経験しているGK戸成晃大(3年)がともに怪我から復帰し、今季初出場。4-1-4-1システムのGKは戸成で、4バックは右SB村上龍之介(3年)、CB山下裕太郎(3年)、CB吉田大晃(3年)、左SB田中大輝(3年)。中盤は西田頼(2年)がアンカーに入り、2シャドーが田中晃誠(3年)と榊原寛太(2年)。右SHがJクラブ注目の高速MF浦十藏(3年)で左SH竹下悠(2年)、1トップを野田昂希(2年)が務めた。

 一方、昇格組ながらここまで2勝1分2敗と健闘している履正社は4-4-2システム。GKが湯地駿介(3年)、4バックは右SB森田夢生(2年)、CB東尾大空(3年)、CB加藤日向(3年)、左SB岡田誠也(3年)、中盤は徳山亮伍(3年)と中鉢大翔(2年)のダブルボランチで右SH川端元(3年)、左SHが注目のU-17高校選抜MF名願斗哉(3年)、2トップは古田和之介(3年)と寺地健心(3年)がコンビを組んだ。

 前半は東福岡が両ワイドの攻撃力を活かした戦いで優勢に試合を進める。10分には相手FKからのシュートをキャッチしたGK戸成が、切り替え速くスロー。ボールを受けた竹下が一気に左サイドから中へ運んでPAへスルーパスを通す。最後はGKをかわした田中晃が左足シュートをゴールへ流し込み、東福岡が先制した。

 東福岡は右サイドの浦が圧倒的なスピードで違いを生み出していた。浦はオープンスペースへのボールに対し、相手DFの後方からでも追い付いて仕掛けに結びつけてしまう。そして、1対1で主導権を握り、深くえぐってラストパス。縦に速い攻撃を続ける東福岡は浦のロングスローも含めてゴール前のシーンを作り出す。42分には村上のアーリークロスから野田がヘディングシュート。対して、履正社も前半から注目10番が躍動する。

 履正社は積極的にボールを引き出す名願が左サイド、中央からドリブルを連発。1対2でも止まらない名願は中央から3人抜きしてゴールに迫るシーンもあった。東福岡DFは何とかファウルで食い止めるのがやっと。ただし、履正社はボールを支配して攻めたものの、なかなかテンポが上がらない。前線で泥臭くボールに絡む古田や名願が奮闘していたが、ゴール前まで持っていく回数が少なく、逆にカウンターを受けてしまっていた。

 後半開始から、東福岡は野田に代えてFW鈴木亜門(3年)を投入。履正社も徳山と寺地に代えてMF小田村優希(3年)とFW河野朔也(2年)をピッチへ送り出した。前半、シュート1本に終わった履正社の平野直樹監督は「当たり前のことを当たり前にやり続けないと。相手に100出させないようにやらせないように。構えていたら100%パンチを出されてしまう。前半は(履正社が)構えてしまっていたよね」と振り返る。

 そして、「もっとゴール前のチャンスを作って行こうという話があった」(名願)。交代出場の小田村が推進力のある動きでPAへ切れ込むなど攻撃を活性化した履正社は、相手ゴール前に迫る回数を大きく増加する。

 履正社が押し込み続けるが、東福岡はチームメートに厳しく要求しながらゴールを守る吉田と、対人の強さとシュートブロックでチームを支えた山下を中心に崩れない。履正社は後半4分、左CKから古田がシュートを放ち、7分にも小田村の突破から古田がゴールを狙う。15分に田中晃をMF楫山拓磨(3年)へチェンジした東福岡は、右サイドから攻め返そうとするが、寄せの速い履正社の前にシュートはおろか、クロスまで持ち込めない時間帯が続いた。

 履正社は名願が東福岡SB村上に密着マークされる中、キープ力高い川端のドリブルも効果を発揮。繰り返し攻めて東福岡ゴールを破ろうとする。そして29分、敵陣中央でボールを持った川端が4回、5回と判断を変えて、DF裏へのループパスを選択。これに走り込んだ名願が胸トラップからの右足シュートでゴールをこじ開けた。

 畳み掛ける履正社は30分、左サイドから仕掛けた名願を起点に川端がPAへラストパス。これに走り込んだ古田が右足を振り抜く。直後には左FKから平尾がヘッド。東福岡は32分に浦と落合を入れ替えるが、我慢の展開は変わらない。それでも、森重潤也監督が「(戦うことや走る、守るという)ベースになかったら、ウチなんかは(プレミアリーグで)戦えない」と語るように、苦しい展開の中でも走ること、身体を張って戦うことを継続する東福岡は戸成の安定したキャッチングや各選手の好守もあって崩れない。

 東福岡は43分、竹下をMF對馬陸人(2年)へスイッチ。履正社は44分、名願のスルーパスで左中間を抜け出した小田村が中央へ折り返し、古田が右足で狙うがシュートは右へ外れてしまう。

 その直後、東福岡は左スローインから榊原が左ゴールライン際を突破。そして上げたクロスをプレミアデビュー戦の落合がダイビングヘッドで押し込んだ。粘り強く戦って奪った1点に大興奮の東福岡イレブン。浦は、「我慢強くやれ、とチーム全体で話していました。履正社も上手くてずっと我慢する時間が続いていたんですけれども、2点目を与えずに終われたのは良かったと思います」と胸を張った。

 東福岡は4月23日のC大阪U-18戦で0-7の敗戦。修正を施さなければならない時期に活動がストップし、この日選手たちは思うようなボールタッチや身体を動かすことができていなかった印象だ。それでも、各選手が求められたテーマに全力で取り組んだ。森重監督は「コンディションを戻して、ちょっと動ける状態でやるしかないのかなと言いながらも、何かの形を残しながらゲームに入っていかないと」。名願のドリブルに苦戦し、失点シーンは反省点。それでも、諦めずにできることをやり通した東福岡が大きな、大きな勝ち点3を勝ち取った。

 浦は「高体連には負けられないので、勝って良かった」。試合終了直後、苦戦で勝ち切った東福岡の選手たちは喜び合い、敗れた履正社はピッチに倒れ込んで悔しがっていた。勝った東福岡だが、選手たちは反省することも忘れない。吉田は「点数だけみるとシュートたくさん打たれている中で守っていると思うんですけれども、個人個人やられた場面が多かったので、そこを修正しないと次は勝てない」。次戦も高体連勢の昇格組、静岡学園高との戦い。まずは課題を抽出して改善し、よりコンディションを向上させて2連勝を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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