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「道標」の兄追って明秀日立進学。2年生FW石橋鞘が印象的な攻守披露し、2アシスト

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前半28分、明秀日立高の2年生FW石橋鞘が右サイドから先制アシスト

[5.30 関東高校大会Aグループ決勝 桐光学園高 1-4 明秀日立高]

 先発起用され始めたのは茨城県予選後でまだ間もない。だが、練習試合などでアピールして関東大会から先発奪取。その2年生FWが、ブレイクの可能性を感じさせるプレーをして見せた。

 明秀日立高(茨城)FW石橋鞘(2年=SCH出身)は、関東大会決勝で2アシスト。前半28分、右中間での競り合いを制してマイナスのラストパスを通す。これをMF阿部亮介(3年)が右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。

 さらに後半2分には敵陣PAでボールを奪い返し、MF村田楓太(3年)のゴールをアシストした。「プレスは自分の武器だと思っている」という石橋は前線で巧みな駆け引き。「(GK、DFは)ゴール前なので下手なプレーはできない」相手の心理を突く動きで一気に距離を詰めて苦しいクリアをさせたり、ボールを奪い取ったりもしていた。

 一瞬のスピードと馬力を活かした動きは、攻撃面でも異質だ。この日は桐光学園高のU-17日本高校選抜DF豊田怜央(3年)と対峙。フィジカル能力の高い豊田は立ち上がりから抜群の存在感を放っていたが、そのDFをしても石橋に対してはボールを奪い切れずに入れ替わられるようなシーンがあった。

「前向きにボールを持ったら絶対にかわせる自負があるので、そこは自信持って、最後のフィニッシュの精度は課題を持ってやっていきたい」。関東大会決勝で輝いた原石は、「道標」の兄を追って神奈川から明秀日立へ進学したアタッカーだ。

 兄・DF石橋衡(中央大2年)は、明秀日立のOBで下級生時からレギュラー。萬場努監督は石橋兄弟について、「性格が全然違いますね。どっちも勉強できるし、話も全然良く聞くんですけれども、お兄ちゃんは石橋を叩いても渡らない感じですけれども、弟は叩かないで渡るみたいな。(弟は)良くなってきましたね。駆け引きが賢いので。徐々にできるようになってきた感覚がある」と説明する。

 普段それほど連絡し合うことはないそうだが、石橋にとって兄の存在は大きいという。「常に僕の『道標』。常に自分の上にいてくれるので、逆にお兄ちゃんがそのくらいのレベルだと自分も引き上げられるので良い存在だなと思います」。兄は2年時にレギュラーとして選手権出場。自分よりも「マジメ」だという兄に負けていない部分について「ガッツ」と答えた石橋は、そのガッツと攻守両面での鋭い動きで関東大会初優勝を果たし、一つ兄を超えた。目標は明秀日立の最高成績である全国ベスト8更新、そして日本一。そのために、決定力やポストプレーでの強さなども磨き上げ、明秀日立を勝たせる。

(取材・文 吉田太郎)
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