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Jユース勢相手にも強さ示す昌平が浦和ユース撃破!プリンス関東の無敗と暫定首位をキープ

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前半2分、昌平高FW鄭志錫(15番)が先制ゴールを喜ぶ

[6.25 高円宮杯プリンスリーグ関東1部7節 昌平高 3-2浦和ユース 昌平高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関東1部は25日、第7節1日目を行い、暫定首位・昌平高(埼玉)対同3位・浦和レッズユース(埼玉)戦は昌平が3-2で勝利した。

 ここまで3勝2分と無敗の昌平は、主将のCB津久井佳祐(3年)が出場停止。4-2-3-1システムのGKが上林真斗(3年)、右SB田中瞭生(2年)、CB今井大翔(3年)、CB石川穂高(2年)、左SB武村圭悟(3年)、中盤は佐藤海空斗(3年)と土谷飛雅(2年)のダブルボランチ、右SH荒井悠汰(3年、FC東京内定)、左SH篠田翼(3年)、トップ下が長準喜(2年)、1トップを鄭志錫(1年)が務めた。

 一方、ここまで3勝3敗の浦和ユースはGK根山翔伍(3年)、右SB稲垣篤志(3年)、CB滝瀬健太郎(3年)、CB植竹優太(2年)、左SB瀬山航生(2年)、中盤中央に堀内陽太(3年)と萩元雅樹(3年)、右SH清水星竜(2年)、左SH早川隼平(2年)、前線は新城愛斗(3年)と岡本岳(3年)がコンビを組んだ。根山、稲垣、早川がトップチームの2種登録選手。両チームともに年代別代表候補歴を持つ選手が複数先発した。

 この日の埼玉県の気温は37度超。キックオフ時間の午後4時でもまだまだ暑さの残る中でスタートした一戦は、昌平がシュートチャンスを確実にゴールへ結びつける。前半2分、昌平は前線から鋭くボールを追った鄭が左CKを誘発する。そのCKを土谷が右足で蹴り込むと、ニアの鄭が体を捻りながらのヘディングシュートで決め、早くも先制点を奪った。

 さらに8分には、自陣左サイドでのボール奪取から篠田が40mもの距離をドリブルで独走する。味方の動きを利用する形で相手DFの足を止め、その逆を取って1、2人とかわして行く。そして、敵陣中央までボールを運ぶと、ここでラストパス。右中間でパスを受けた荒井が中へ持ち出してからの左足シュートを鮮やかに決めて2-0とした。

 止まらない昌平は16分、相手のビルドアップを読み切った篠田がCBとの距離を詰めてそのパスを引っ掛ける。相手と入れ替わった篠田が左中間を独走。最後はPAからGKの脇を抜く右足シュートを決める。ゲーム主将の佐藤が「失点が減って点が取れるようになってきたのは継続してしきたい」という昌平は、シュート3本で3-0。浦和ユースは決して圧倒されていた訳では無いが、少しずつの差が3点差というスコアになってしまう。

 難しい試合展開となってしまった浦和ユースだが、焦れずに1点を目指していく。早川を左SBへ下げて相手エースの荒井に対応。まだ篠田、長のドリブルに手こずる部分こそあったものの、3失点を引きずらずに立て直して見せた。前半2度目の飲水タイム以降は、ペースを掴んで攻撃。そして37分、右ハイサイドを取ると、クロスが流れたところを瀬山が折り返し、岡本と萩元が飛び込む形でゴールを破る。

 浦和ユースは後半開始から滝瀬、新城に代えてCB土橋公哉(3年)とFW照内利和(1年)を同時投入。昌平も鄭をFW平叶大(2年)と入れ替える。後半立ち上がりは1点を返して勢いに乗る浦和ユースがプッシュ。8分にCKのこぼれ球から堀内の放った右足シュートがポストをかすめ、10分にはその推進力でチームを活性化していた照内が瀬山のスルーパスに反応する。

 昌平は仕掛けを繰り返すよりも、ボール保持の時間を増やしながらゲームコントロール。この日、試合を通して利いていたボランチの佐藤が、奪い返しの部分やビルドアップの部分でも存在感を示す。また、藤島崇之監督が「アイツの経験は大きい」と評した石川が復帰戦の不安をプレーで払拭。今井や田中とともに安定した守りを続ける。攻撃では土谷がボールを落ち着かせながら前進し、長がインターセプトから個人技で一気にゴールへ近づくシーンもあった。

 だが、藤島監督が「能力は非常に高い」と評した浦和ユースは、特に右SB稲垣が1対1の守備で圧倒的な強さ。篠田、武村の強力な相手左サイドの前に立ちはだかり、その上で抜群の跳躍力や攻撃での迫力を表現していた稲垣と、交代出場の俊足右SH桐山龍人(3年)が昌平にとって怖い存在になっていた。

 浦和ユースは後半19分に瀬山、清水に代えて桐山と左SB山野悠(2年)を同時投入する。22分に昌平は篠田のスルーパスで平が強引に抜け出して左足を振るが、ボールはサイドネットへ。直後の24分、浦和ユースは右サイドから押し込み、稲垣のパスを受けた桐山がクロスを上げ切る。これを岡本がダイレクトで右足シュート。ボールは左ポストを弾き、ゴールラインを越えた。

 これで1点差。昌平は29分に平をFW上野旭陽(3年)へスイッチ。浦和ユースも直後に堀内とMF松坂芽生(1年)を入れ替えた。浦和ユースはボールを繋ぎ、サイドチェンジ含めて正確なキックを連発する左の早川や右の桐山からチャンス。37分には右サイドでのパス交換で桐山が再び抜け出し、クロスに岡本が飛び込む。

 ただし、昌平は上野がスピードを活かして相手DF、GKにプレッシャーを継続。佐藤は「相手のクロスの質とか枚数が良かったのでそこは見習うべきところ」と振り返るが、昌平も「(苦しい時間帯で)ゼロで行けるのが今年の良さ」(藤島監督)という強さを発揮する。

 終盤、GK上林がセットプレーで強さを示し、競りながら大きくパンチング。また、指揮官が「大事なところで取られない」と評した荒井が右サイドで収まりどころになり続けるなど、浦和ユースの勢いに飲み込まれることなく試合を進める。最後はFW伊藤風河(3年)を投入して逃げ切った昌平が、無敗と暫定首位をキープした。

 この日、インターハイの組み合わせが決まり、初戦で生駒高(奈良)、2回戦でシードの星稜高(石川)と戦うブロックに入った。その優勝候補の一角、昌平は19日のインターハイ予選決勝から先発4人を入れ替えながらも浦和ユースに快勝。選手層の厚さや粘り強さ、長の存在で色が変わったように出場メンバーに応じて戦い方を変えられる強みも示した。

 篠田は「県大会で優勝してインターハイも日本一狙えるし、プレミア昇格も狙うし、選手権も日本一を狙っているし、去年の青森山田じゃないですけれども3冠、プリンス1位で抜けることを考えている」。中断までのプリンスリーグ3試合、そしてインターハイも強みを発揮しながら一つずつ勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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