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後半45+3分の劇弾で柏U-18とドロー。初のプレミアで「逞しく」なった前橋育英がインハイ日本一に挑戦

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後半45+3分、前橋育英高MF堀川直人が劇的な同点ゴール

[7.10 高円宮杯プレミアリーグEAST第12節 前橋育英高 1-1 柏U-18 前橋育英高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EASTは10日、第12節2日目を行い、前橋育英高(群馬)対柏レイソルU-18(千葉)戦は1-1で引き分けた。前橋育英は5勝3分4敗の暫定4位、柏U-18は3勝3分4敗の同9位につけている。

 6月8日に開催された柏U-18ホームの第1戦は2-2でドロー。前半に柏U-18が2点を先取したが、後半に巻き返した前橋育英が2点を奪い返して引き分けに持ち込んでいる。今回の第2戦も同じような展開となり、試合最終盤に劇的ゴールが生まれた。

 4-4-2システムの前橋育英はGK雨野颯真(2年)、右SB杉山陽太(3年)、CB齋藤駿(3年)、CB山田佳(1年)、左SB山内恭輔(3年)、中盤はU-18代表候補のMF徳永涼主将(3年)と青柳龍次郎(3年)のダブルボランチ、右SH大久保帆人(3年)、左SH井上駿也真(3年)、2トップはU-17代表の小池直矢(3年)とU-17高校選抜候補の高足善(3年)が務めた。

 一方の柏U-18は4-3-3システムでGKがタイガ・オリバー・ハーパー(2年)、右SB足立凱(3年)、CB大槻豪(3年)、CB花松隆之祐(3年)、左SB西村龍留主将(3年)、アンカーがU-17代表の田村心太郎(2年)でインサイドに大橋斗唯(3年)とモハマドファルザン佐名(3年)、前線は山本桜大(3年)、近野伸大(2年)、中村拓夢(3年)の3人が並んだ。

 前半は互いにボールを奪うとDFライン、GKからビルドアップ。前橋育英は徳永のインターセプトなどから山内らがスピーディーにボールを動かし、クロスへ持ち込む。また、高足がDF前に潜り込んで右足を振るようなシーンもあった。

 前半、よりゴールへ近づく回数を増やしていたのは柏U-18の方だった。188cmFW近野とその近い位置に構える山本が、相手DFラインとの攻防で主導権。2人が高い確率でボールを収め、右SB足立が空いたスペースへ攻め上がる。特に山本が前を向くと簡単には止まらない。26分には右中間から縦へ割って入った山本が右足シュート。こぼれ球に反応したファルザンが押し込もうとする。

 また、高い位置での奪い返しからチャンスに結びつける柏U-18は、28分に近野の右足シュートが右ポストをヒット。そして33分、前線で近野が競り勝つと、相手の隙を突く形で抜け出した山本が左足シュートを叩き込んだ。

 柏U-18の酒井直樹監督も「前半は良かったですね。縦の段差の距離が良かったと思う。飛ばしながら前進出来ていた」と頷く展開。攻守両面で存在感のあった田村のインターセプトや大橋のシュートブロックなど球際での守備も光った。

 一方の前橋育英は失点直後、山田佳と右SH山田皓生(3年)を入れ替え、大久保を左SH、井上を右SB、杉山をCBへシフトする。38分には中央PAやや外側でボールを持った大久保が切り返して斜めのスルーパス。これに走り込んだ徳永が左足を振り抜くが、ボールは右外へ外れた。柏U-18も39分、前線で競り合いを制した山本がシュートへ持ち込んだが、GK雨野に阻まれ、追加点を奪うことができない。

 拮抗した展開だった前半から一転、後半は前橋育英が圧倒的にボールを支配する。柏U-18はハーフタイムに酒井監督から「奪ってからの精度だよ」と助言されていたが、奪った後のビルドアップ、また「押し込まれる中からカウンターを打つ準備もしてきた」(酒井監督)速攻ともに精度を欠いてしまう。

 一方の前橋育英は徳永、青柳のダブルボランチが敵陣中央まで押し込んで攻撃を作り、中央、サイドから崩しを狙う。正確な繋ぎからショートコンビネーションや大久保の個人技でシュートへ。なかなか敵陣までボールを運べなかった柏U-18も、21分にカウンターからファルザンがドリブル、ワンツーで大きく前進し、最後は中村が右足で狙う。だが、前橋育英GK雨野が阻止。狙いとしていた形で仕留めることができなかった。

 柏U-18は相手のパスワークの前に走らされ続け、体力的にも苦しい時間帯に。32分に大槻をMF大嶋優斗(3年)へ、35分にはファルザンをFW大木海世(2年)と入れ替える。一方、高足や山田皓のシュートで相手ゴールを脅かしながら得点できない前橋育英も37分、大久保と高足に代えてMF堀川直人(3年)とFW山本颯太(3年)を送り出す。

 中盤の選手を最終ラインへ落とし、ゴール前を固める柏U-18に対し、前橋育英の山田耕介監督は「パワープレーやロングスローもなしで、切り裂いて行こう」と徹底して下で勝負することを指示。相手にスペースを埋められる中、各位置でトライアングルを形成して崩しにチャレンジし続けた。41分には山田皓のクロスのこぼれを堀川が狙うも枠外。前橋育英は43分、小池、井上をMF眞玉橋宏亮(3年)と右SB磯村陽軌(3年)へ代え、柏U-18も45分に中村、近野をFW逢坂スィナ(3年)と右SB伊達歩由登(2年)へスイッチする。

 柏U-18が隙を見せず、逃げ切るかと思われた45+3分、前橋育英は徳永、青柳と繋ぎ、左中間の堀川へ。一瞬の間の後、右足シュートを選択した堀川の一撃はファー上のゴールネットへ吸い込まれる。劇的な同点ゴール。前橋育英の選手たちがベンチ横で大喜びする。そして、再開直後に試合終了の笛。前橋育英が土壇場で勝ち点1をもぎ取った。

 柏U-18の酒井監督は「前期も最後の20分くらいこうなりました。彼らにボールを渡しちゃうと怖いというのがあったと思う。しっかりボール止めてきますし、運びますし、そこは学ぶべきところですね」と前橋育英を讃える。そして、「初めてトップチームのバスに乗ってきたので、高ぶった選手もいたと思いますけれども。良い経験にして欲しい」と期待。この後、中3日でプレミアリーグ2試合を戦い、クラブユース選手権へ向かう。

 一方の前橋育英・山田監督はボールを支配しながらも得点できずに連敗した過去2試合から「半歩だけでも前進しました」。今年はプレミアリーグ初挑戦。初めて高校年代最高峰のリーグ戦の経験を持ってインターハイに臨む。

 指揮官は「(プレミアリーグを戦えることを)本当に感謝しています。簡単な試合は1試合もないので、勉強させてもらって。選手たちも逞しくなって、ダメなところも発見しているし。精神的にもタフになったと思います」。もちろん課題もあるが、例年以上に成長した状態でインターハイを迎えられるという。

 また、徳永は今年のチームについて、「この代は割とサッカーに真摯に取り組んでいるというのがあって、それは去年も、1年の時の3年生も見てきた中でそれが一番思うことで、だからこそ、自分も学業にしてもアイツがこれだけやっているから自分も妥協できないなという刺激もありますし、ピッチに入れば誰よりも自主練長くやっている人だったり、学食行ってからグラウンドに戻って筋トレ少しやってから帰るやつもいたり、周りが刺激しあえているのがこのチームの凄く良いところだなと思っています」。各選手が意識高く取り組み、ピッチ内外でチームの雰囲気を変える日本高校選抜MF根津元輝(3年)ら怪我人も合流してきている。

 徳永は「本当に育英でやっているサッカー生活が楽しいし、最高のものだと思っている。だからこそ、このチームで日本一を取りたいし、取らせたい」。初のプレミアリーグで揉まれながら成長してきた“上州の虎”が、インターハイで09年以来の日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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