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「やり切る自信をつける」。青森山田が日体大柏をPK戦で振り切り、和倉ユース3連覇に王手

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青森山田高が和倉ユース3連覇に王手

[8.9 和倉ユース準決勝 青森山田高 2-2(PK3-2)日体大柏高 城山陸]

 ユース年代最大級のサッカーフェスティバル、石川県ユースサッカーフェスティバルが今夏も石川県を舞台に開催されている。そのトップカテゴリーに当たる和倉ユースサッカー大会は9日午後、準決勝を行い、第1試合では青森山田高(青森)と日体大柏高(千葉)が対戦。2-2で突入したPK戦の末、青森山田が3-2で勝利した。

 和倉ユース2連覇中の青森山田はこの日、午前の神戸U-18(兵庫)戦をエースFW小湊絆(3年)の2ゴールによって2-0で勝ち、準決勝進出。一方の日体大柏は浦和ユース(埼玉)の出場辞退によって準々決勝は不戦勝で、よりフレッシュな状態で王者に挑戦した。

 だが、先制点を青森山田が奪う。前半10分、インターハイ登録外からこの大会で出場機会を増やしているレフティー、MF高良幸之介(3年)が右サイドから左足FK。日体大柏守備陣がクリアしきれず、ファーへ流れたボールを左SB西脇虎太郎(3年)が左足ダイレクトでゴールへ押し込んだ。

 だが、日体大柏はすぐに追いつく。13分、MF古谷柊介(3年)が左サイドから縦へ仕掛けてラストパス。ファーでフリーのMF平野伶(3年)がコントロールし、冷静に左足でゴールへ流し込んだ。

 青森山田はこの日、立ち上がりからMF奈良岡健心(3年)が右サイドで抜群のスプリント力を発揮。また、小湊がスペースでボールを収めて、チーム全体を引き上げる。守備面でも出足が速く、日体大柏に思うような攻撃を許さない。

 日体大柏も攻守の切り替えが速く、幾度かその網を掻い潜って前進する。27分にはJ1クラブ注目の大型FWオウイエ・ウイリアム(3年)が右サイドから仕掛けてラストパス。これがファーの古谷へ通るが、シュートは青森山田GK代田昂大(3年)がストップする。

 青森山田は後半4分、右サイドの混戦を奈良岡が抜け出す。副審のフラッグが上がり、日体大柏DF陣が一瞬足を止めてしまう。だが、プレーは続行。動き続けたMF小野理竜(3年)へ折り返しが通り、右足シュートでスコアは2-1となった。

 日体大柏は失点直後にCK、クロスから攻め返したほか、後半は落ち着いてボールを繋ぐシーンも増えた。だが、攻守に迫力のある動きを続ける青森山田は、リズムの良いパス交換や速攻から小湊がポスト直撃のシュートを放つ。またCB三橋春希(3年)中心にシュートを打たせない守り。それでも、日体大柏は23分、相手のバックパスをインターセプトしたオウイエがGKをかわし、そのまま左足シュートを流し込んだ。

 追いついた日体大柏はさらにFW吉田眞翔(3年)の仕掛けが青森山田DF陣を脅かす。だが、不運な判定もあって勝ち越すまでは至らず。2-2のまま、サドンデス方式のPK戦へ突入した。その3人目、青森山田GK代田、日体大柏GK倉田竜輝(3年)がともにストップする。迎えた4人目、先攻・日体大柏のシュートが枠上。最後は青森山田のMF櫻井廉(3年)が決めて決着がついた。

 青森山田はまさかの逆転負けで初戦敗退に終わったインターハイ後、オフを挟んで走り込みやプレッシングのトレーニングを実施。小野は「夏で走れないというのが自分たちのウィークポイントだった。青森山田では考えられないようなことを2度と繰り返さないように。和倉からはもっと走って、本来の青森山田のサッカーができるように戻していければ、プレミアでも戦っていける」と力を込める。

 この日は神戸U-18とのプレミアリーグ勢対決を会心の内容・結果で終え、連戦となった準決勝でも走り切って見せた。黒田剛監督は「暑さもそうだし、苦しいコンディションの中でもやり切る自信をつける。『あの時、やったじゃん、できたじゃん』というものを探し出すためにここに来た訳だから。そういう意味では少しずつみんなも良い形でできてきている」と頷く。奈良岡は「この和倉ユース優勝して良い形でプレミア迎えること。みんな良い方向を向いて明日も挑めるかなと思っています」。昨年度の3冠など近年、全国舞台で結果を残してきた青森山田だが、自分たちはまだ、何も勝ち得ていない。日大藤沢高(神奈川)との決勝も全力で走り切り、勝ち切って自信を積み重ねる。

青森山田GK代田昂大がPK戦3人目をストップ

(取材・文 吉田太郎)

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