[8.13 ユースワールドチャレンジ・ プレ大会第1節 昌平高 1-0 興國高 J-GREEN堺]

　13日、「ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022」第1節でインターハイ3位、プリンスリーグ関東1部首位の昌平高(埼玉)とプリンスリーグ関西1部首位の興國高(大阪)が激突。昌平がU-19日本代表候補MF荒井悠汰(3年、FC東京内定)の決勝点によって1-0で勝った。

　実力校同士の好ゲームは、前半7分に注目レフティーのゴールでスコアが動いた。この日、得意の守備に加えて攻撃面でも存在感を放っていたU-16日本代表候補右SB上原悠都(1年)が、右エンドライン近くでFKを獲得。角度のほとんどない位置から10番が左足を振り抜くと、ボールはニアのゴールネットへ突き刺さった。

　先制された興國は、DFラインからの正確なビルドアップとパワフルなFW端野夏己(3年)への配球も交えながら攻めるが、昌平は前から引くこと無く前からプレッシャーを掛けてゲーム主将のMF佐藤海空斗(3年)らがボールを奪い取る。

　そして、止まらない存在になっていた荒井がドリブルシュートを放ち、上原のラストパスからU-17日本代表FW小田晄平(2年)が右足を振り抜く。一方の興國は序盤、攻め切ることができず、ややストレスを感じながらのパス回しに。それでも、ともに出色の出来だったMF千葉大舞(2年)とMF岡野真拓(3年)の2シャドーがボールを受ける、止める、運ぶ部分で違いを示す。

　29分に千葉がドリブルシュートを打ち込み、32分には10番FW宮原勇太(2年)がDFと入れ替わる形で左サイドを抜け出す。最後はこぼれを端野が押し込むが、オフサイドの判定。39分にはDFラインの背後を取った端野、千葉が連続シュートを放った。

　昌平も右から荒井、MF長準喜(2年)、U-17日本高校選抜MF篠田翼(3年)と並ぶ2列目がテクニックやスピード、パワーというそれぞれの持ち味も活かして突破。ゴールへ迫るが、興國もCB常藤奏(3年)の的確なカバーリングなどで追加点を許さない。

　後半は興國のペースに。幅の広い立ち位置を取って相手の守りを広げ、1タッチ中心にボールを動かして昌平のプレスを攻略。常藤、CB西川楓人(3年)やMF柳紫温(3年)から正確なパスをアタッカー陣に配球していた。

　昌平も狭い局面をパス交換と個の力で打開。荒井が積極的にシュートへ持ち込み、13分には荒井の右クロスから小田の放ったヘッドがクロスバーを叩く。興國も相手のミスから宮原と千葉のコンビで決定機を作り出すが、昌平はU-17日本代表CB石川穂高(2年)とCB佐怒賀大門(2年)、上原と武村圭悟(3年)の両SB、GK上林真斗(3年)中心に決定打を枠に打たせない。

　昌平の藤島崇之監督は「(インターハイの反省から)個とグループの融合を強調していかないといけない。相手にとって嫌なことをしていかないといけない」。ビルドアップが単調になった部分などもあったが、逆に連動したカウンターやセットプレーで相手を困らせ、惜しいシーンを作り出した。

　31分にもMF土谷飛雅(2年)の絶妙なループパスに荒井が飛び込む。このシュートが右ポストを叩くなど終盤にチャンスを量産しながら決めきれなかったことは課題。だが、主軸不在の中で強豪対決を勝ち切った。

　昌平は、インターハイ準々決勝で右足首靭帯断裂の重傷を負ったCB津久井佳祐主将(3年)が離脱中。興國も司令塔のMF宇田光史朗主将(3年)を怪我で欠いたが、タレントたちはその穴を感じさせないような戦いを見せた。

「ユースワールドチャレンジ・プレ大会2022」は、両校に静岡学園高(静岡)、神村学園高(鹿児島)を加えた4チームによるリーグ戦。勝負に固執するよりも、前からチャレンジして勝利した昌平の藤島崇之監督は、「色々な発見もできると思いますし、発見する中でチャレンジをしていかないと意味がないと思っているので有意義な大会になるんじゃないかなと思います」と語る。

　また、興國の内野智章監督は「チャンスを決めれたよね、というのが努力に繋がる。相手のスーパーの選手たちの良さを感じたと思うし、それでまた成長してもらえればと思います」。個の強化に加え、プレミアリーグ昇格、選手権日本一を目指す両校。今大会で成長を加速させて将来に繋げる。

(取材・文　吉田太郎)