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得意とする守備だけじゃない。昌平の1年生右SB上原悠都が変えた「見える景色」

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昌平高の1年生右SB上原悠都は積極的な攻め上がりも

[8.13 ユースワールドチャレンジ・ プレ大会第1節 昌平高 1-0 興國高 J-GREEN堺]

 ブレイク中の1年生が、「見える景色」を変えようとしている。昌平高(埼玉)の1年生右SB上原悠都(FC LAVIDA出身)は今季のプリンスリーグ関東1部開幕戦から先発を務める注目ルーキー。ボールを奪う力に加え、空中戦でも強さを発揮するSBは追加招集ながらも7月にU-16日本代表候補へ初選出された。

 この日対戦した興國高(大阪)は、非常に質の高いビルドアップ。また、前線にはテクニックや、スピード、パワーという強烈な特長を持つ選手が揃っていた。危ないシーンも作られていたが、昌平は1-0で勝利。中でも藤島崇之監督は「アイツ(上原)じゃなかったら多分やられていた」と分析する。

 上原は身長171cm、体重は60kgほど。特別な身体を持っている訳では無い。だからこそ、こまめに首を振って自分のサイドと逆サイドの状況を確認。そして、鋭くしなやかな動きで相手のボールを奪い取った。

 この日はMF千葉大舞(3年)やFW宮原勇太(2年)といった注目アタッカーたちと対峙。「インハイで経験した大津の田原(瑠衣、U-17日本高校選抜)君とかとやれたのも良い経験になった。自分の相手に勝つことを目標にして試合をしています」。これまでプリンスリーグ関東やインターハイで全国レベルのアタッカーたちと戦ってきた経験と自信。この日も高い守備力を発揮し、完封勝利に大きく貢献した。

 これまでチームでも、年代別日本代表候補合宿でも目立っていたのは、守備だった。だが、興國戦でその武器以上に印象的だったのが前へ出る姿勢。前半7分にMF荒井悠汰(3年)が決めた先制点は、攻め上がった上原が獲得したFKから生まれたものだった。

 上原はその後もドリブルからのラストパスなどにチャレンジ。慣れたという後半にはより積極的な攻め上がりを見せ、36分、37分と連続で決定的なラストパスを通した。アシストこそ付かなかったが、印象が変わるような80分間。インターハイ時に感じていた課題と向き合い、藤島監督の助言もあってその姿勢は変化してきている。

「インターハイ終わってチーム内で紅白戦とか試合形式とか多かったんですけれども1回、(藤島)監督から『そこ一歩だけでも前行ってみると景色が変わるぞ』と言われて、そこから。インターハイで、攻撃面であまりできなくてという課題だったので、意識も変わって、(興國戦がインターハイ後)初めての試合でしたが、思ったより走れたので攻撃もできたし、自信になりました」

 U-16代表候補合宿では、「キックとかトラップが元々下手で、代表行ったら一番下手だった」と振り返るが、FC LAVIDA、昌平で技術力の向上を目指してきたプレーヤー。攻撃への意識が高まり、技術面でもレベルアップを見せている1年生SBはこれから、攻守を兼ね備えたタレントへ成長していくことが期待される。

 得意とする守備もまだまだやらなければならないことがある。「1対1全部勝てていないし、1対2も止めれるようにならないと、まだ完璧じゃないと思います。守備も意識しつつ、今日よりも攻撃参加して走れるような選手になりたい」。今年10月にはAFC U17アジアカップバーレーン2023予選が開催される。U-16代表への招集はまだ1度だけだが、上原もメンバー入りの資格が十分にある一人。攻守両面で成長を続け、世界と戦うチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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