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[MOM3985]静岡ユースGK石坂地央(藤枝東高3年)_冷静に戦ったPK戦。大舞台で「得意」を1つ増やす

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PK戦4人目、静岡ユースGK石坂地央(藤枝東高)がストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.26 SBS杯第2節 U-18日本代表 1-1(PK3-4)静岡ユース 草薙陸]

「止めた瞬間は、チームの仲間の顔が浮かんできていて一目散に駆け寄りました。得意なことが今日、1個増えたと思います」

 静岡ユースはPK戦でGK石坂地央(藤枝東高3年=京都U-15出身)が2本を止める大活躍。「PKはあまり得意な方ではないんですけれども……」という石坂だが、「技術よりもメンタル」と冷静な状況判断、プレーでU-18日本代表からの白星をもぎ取った。

 PK戦の1、2本目はタイミングが合わず、ゴール。「相手も代表で、GKの動きとか見ていると思う」と感じた石坂は、「上手く修正してギリギリまでしっかり止まってから、ボールに合わせるというように変えることができた」と説明する。

 リードされて迎えた4人目、石坂は左への跳躍でストップ。拳を握りしめたまま雄叫びを上げると、続く5人目も止めて見せる。キッカーは間合いを長く取っていたが、「間が長い方が自分としては得意だったので、ありがたかったです」。冷静に相手のキックに対応。右への跳躍から、阿部宏紀GKコーチの下でしっかりと練習してきたというワンハンドでのパンチングでボールを外へはじき出した。

 U-18日本代表相手に、得意ではなかったというPKストップを2本。「こういう大舞台で経験できることは少ないので、苦手なところをどんどん得意な方に変えていきたい」という石坂はこの日、得意とする武器を1つ増やすことに成功した。

 前後半80分間も納得のパフォーマンスを見せた。後半29分にゴール前のこぼれ球を押し込まれる形で1失点。だが、自陣での時間が長い展開の中、DF陣と声を掛け合いながら最少失点で切り抜けた。石坂自身も枠へのシュートに対応するなど安定した動き。インターハイ予選敗退の悔しさを晴らす活躍だった。

 石坂が所属する藤枝東は、静岡を代表する名門校。今年は充実の戦力で日本一を目指したが、静岡県予選準決勝でPK戦の末に敗れている。「インターハイは自分の成長としても、進路としても、凄く大事な大会で不完全燃焼に終わったというのが悔しかったし、SBSに選ばれた時にインハイの分もやり返してやろうと。インハイで活躍していた人が代表にもいて、試合にも出ていたので、『そいつらよりもオレの方が上手いんだぞ』と見せたいというのが強くあったので、こういう舞台で活躍することができて良かったです」。そして、「(U-18日本代表GKコーチの川口)能活さんに見せられたので良かった。顔だけでも覚えてもらえれば」と微笑んだ。

 SBSカップは残り1試合。182cmの守護神はU-18ウルグアイ代表との最終節も強豪との真剣勝負の中で得意なことを増やし、再び静岡に白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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