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京都橘vs大阪桐蔭は0-0ドロー。夏を経て逞しくなった両校は公式戦でも戦い方、力を発揮するチームへ

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京都橘高FW久保翔大の抜け出しを大阪桐蔭高の1年生CB小門楯(1年)が阻止する

[8.27 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第10節 京都橘高 0-0 大阪桐蔭高 京都サンガF.C.東城陽G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関西1部が27日、約1月半ぶりに再開。3位・京都橘高(京都)と5位・大阪桐蔭高(大阪)が対戦し、0-0で引き分けた。

 ともに多くの夏遠征を経てこの日を迎えた両校。中断期間に目指す戦い方を追求してきたが、公式戦のピッチでは簡単に発揮させてもらえない。ボールを保持して攻略を狙うよりも、勢いのある攻防に。思うような展開ではなかったものの、その中で互いに身に付けてきた逞しさも表現し、勝ち点1を分け合った。

 12年度の選手権全国2位をはじめ、ここ10年京都、関西の高校サッカーの牽引役となってきた京都橘は京都タイトル奪還、全国大会での活躍を目指す。この日は主将のGK田中萌誠(3年)、2年生エースのMF西川桂太がともに怪我で不在。GK中浦悠大(2年)、右SB林禮蒼(3年)、CB池戸柊宇(2年)、CB園田優翔(2年)、台頭してきた左SB片平隼翔(3年)の4バック、ゲーム主将の上西剛史(3年)と松本海音(2年)のダブルボランチ、2列目に右から山岡立樹(3年)、福永裕也(2年)、丸山大輝(3年)、最前線に久保翔大(2年)が入った。

 一方の大阪桐蔭は継続して大阪、関西の上位で戦う強豪校。昨年はインターハイ16強、今年は17年度以来となる選手権出場、全国上位を目指している。この日はU-17日本代表CB尾崎凱琉(2年)や左SB金城笙(2年)を欠く中でのゲーム。GK須田遥斗(3年)、右SB矢野集雅(3年)、CB神ガブリエル(3年)、CB小門楯(1年)、左SB植木晴大(3年)の4バック、宮地稀竜(3年)、山内創生(3年)のダブルボランチ、右SH柳秀聖主将(3年)、左SH田中裕翔(3年)、前線に近田大空(3年)と坂口創史太(3年)が入る形で試合をスタートした。

 立ち上がりは縦に速い展開。京都橘の米澤一成監督が「どうしても公式戦ぽくなったなとゆっくりやらせてもらえないなと」と振り返ったように、スピード感の高い中でなかなか落ち着くことができず、互いにミスも増えてしまっていた。

 その中で京都橘は久保のポストワーク、2列目の飛び出しを交えた攻撃でゴールへ迫る。俊足MF丸山と福永がクロスする形からチャンスを作り出すシーンもあった。徐々に勢いを増した京都橘はハイプレスでボールを取り切るが、その後の攻撃が単調になってしまう。

 一方の大阪桐蔭は、左サイドのエース田中が縦への仕掛けからシュートを放つなど存在感のある動き。前半半ばから徐々にポゼッションする時間を増やす。だが、まずはボールを奪うことに注力。それがチャンスにも結びついた。

 28分には近田の縦パスで坂口が抜け出し、ループシュート。矢野とFW大木康右(3年)を入れ替え、柳を右SBへ下げた後の44分には自陣から的確なパスとランニングで見事なカウンター攻撃を繰り出し、最後は近田のラストパスを大木がスライディングで合わせた。

 大阪桐蔭は意図した組み立てはなかなかできずにいたが、永野悦次郎監督から「まずはしっかりボールを奪うという戦術をみんなで持って、そこからみんなの特長を出せるように組み立てるサッカーをやろうなと」と言葉掛けされた通り、味方をカバーしあいながら守り、攻める時間を増やそうとする。

 一方の京都橘は後半、より迫力のある攻守。大黒柱の上西が広範囲をカバーし、台頭する2年生が多い中で光る動きを見せていた園田が対人守備の強さを発揮していた。久保の身体を張ったポストプレーから丸山が抜け出すなどラインを破るシーンも。だが、指揮官が指摘したように、攻撃の角度を変えるなどもうひと工夫あっても良かったかもしれない。

 大阪桐蔭は1年生CB小門が堂々の動き。身体を投げ出してのタックル、カバーリングなど要所を封じ続けていた。また尾崎に代わってCBを務めた神が空中戦で相手を上回り続ける。後半半ばに足を攣らせたが、その後も自らを奮い立たせながら3本、4本と跳躍。CB山崎暢也(2年)と交代するまでゴールを死守した。

 京都橘は左SB道倉悠聖(2年)、MF前田尚吾(3年)、FW吉野歩夢(1年)、FW奥村真弘(3年)が交代出場。大阪桐蔭もMF弥栄勇吾(2年)、MF荒木大和(3年)、MF中村歩夢(2年)を投入し、相手の背後を突く攻撃で決定機も作った。だが、「逞しくはなった。耐えれるようにはなった」(米澤監督)という京都橘から1点を奪うことができない。

 一方の京都橘もショートコーナーから園田がヘッドを狙い、福永のスルーパスから吉野が左足を振り抜くが、ゴールを奪うには至らず。京都橘の米澤監督は「後ろのやつがバテるゲームになってしまっている。もっと前の選手がバテるようなゲームにしないといけない」。大阪桐蔭の永野監督も「組み立てるのが桐蔭のサッカーだけど、なかなかできない。打ち合いのようなサッカーになってしまった」と指摘するが、両指揮官は夏を経て成長してきた選手の存在や選手層に厚みが出てきたこと、配置の変更による新たな可能性などをそれぞれ口にしていた。インターハイ出場を逃した両校にとって大目標は選手権。公式戦で上手くいかない中でも発揮できるように攻守の力を高めて秋冬の歓喜に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
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