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[関東Rookie League]Aリーグ初制覇も「まだ足りない」。西武台はU-16日本一、その先の目標達成へ積み重ねる

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西武台高が10勝1敗の成績でRookie League Aリーグ制覇

[9.3 関東Rookie LeagueAリーグ第11節 西武台高 2-0 桐光学園高 時之栖うさぎ島G]

 目指す頂きは、まだまだ先にある。関東・静岡の高校1年生が90分ゲームのリーグ戦で優勝を争う「2022 関東Rookie League」は3日、最終節を行った。すでにAリーグ初優勝とU-16全国大会であるMIZUNO CHAMPIONSHIP U-16(12月)初出場を決めている西武台高(埼玉)は、桐光学園高(神奈川)と対戦。2-0で勝った。

 今夏のインターハイ優勝校・前橋育英高(群馬)や同準優勝の帝京高(東京)など名だたる強豪校との戦いを10勝1敗という成績で駆け抜けた。西武台は初優勝を決めて迎えた最終節も、自分たちらしく目の前の一戦に集中。声を掛け合いながら全員で戦い抜き、白星で有終の美を飾った。

 入りは決して良くなく、MF吉田晃大、MF伊藤壮喬という強力な両翼を持つ桐光学園のクロスへの対応が遅れる部分もあった。だが、西武台は「自分が止めた時じゃなくて、味方が良いプレーをした時にいっぱい声を掛けるようにしようと」心掛けているという187cmGK松田聖也やゲーム主将のMF宇野大稀ら各選手が、声を掛け合いながら改善。押し返し、パワフルな左SB久保涼輔と右SB高橋宥輝の両SBも前への姿勢を強めた後半に2得点を奪った。

 20分、高橋のシュートのこぼれ球をRookie League終盤戦で台頭してきたMF佐川陽太が決めて先制。その後も前線で推進力ある動きを見せるFW遠藤秀悟やMF泉谷俊、久保の突破でゴール前のシーンを作り出し、FW緑川梗雅らがシュートを狙う。

 桐光学園もCB大嶋洋介らが弾き返すなど我慢強い守りから同点を目指す。だが、西武台はシュートセーブを強みとする松田と187cmCB田中恒太、CB中村理一や宇野、MF石井汰一ら中盤含めて献身的な守りを続ける。

 この日、西武台は1年生チームで活躍し、現在はAチームでスタメンを争うFW竹内奏海らが不在。それでも、松田が「(リーグ戦を通して)試合中にミスった時に、次行ける、大丈夫と一人のミスをみんなでカバーして落ち込まずにやって来れた」と説明するチームは、最終節でも良い雰囲気を保ち、まとまりのある戦いを見せる。そして、1-0のまま迎えた後半43分、西武台は宇野の配球で遠藤が右中間へ抜け出す。そして、空いた逆サイドへラストパス。ここへ走り込んだ佐川が右足ループシュートをゴールへ沈め、試合を決定づけた。

 西武台は19年大会の3位を超えて初優勝。当時の1年生は2年後の昨年、関東高校大会を制し、選手権にも11年ぶりに出場した。西武台の黒岩宏明コーチは「この子たちはルーキーから全国というところを本当に目指して、1試合1試合積み重ねてきた結果なのでこの子たちにとっては本当に嬉しいことだし、かと言ってビックリではなくて、(先輩たちの記録を本気で)超えていきたいというところだと思います」と目を細める。

 今年のインターハイでは関東Rookie League Aリーグに所属する前橋育英が優勝し、帝京が準優勝。U-16全国大会では同リーグに所属する静岡学園高が2連覇中だ。黒岩コーチは「(関東Rookie Leagueは)全国の中で一番熱いリーグだと思うし、その代表として全国に出る、また優勝できたことは自信にもしたい」と語った。ハイレベルなリーグ戦を制し、埼玉の強豪校の歴史を塗り替えた1年生たちだが、「まだ足りない」と言い切る。

 遠藤は「まだ足りないですね。もっと歴史を変えて、全国で優勝できて、プロも輩出して、西武台をもっと有名で強い高校にしていきたいです」と意気込み、松田も「1試合1試合に対する気持ちは持って、ここで終わりじゃなくて、次の全国に向けて練習して相手にとって脅威になれるチームになりたいです。全国でも優勝目指して頑張ります」と誓った。目線を高く持って戦い、“目標通り“に関東制覇。U-16全国大会、そして2年後のインターハイや選手権で日本一を狙う集団は一つ一つ積み重ねて次の目標達成に挑戦する。


(取材・文 吉田太郎)
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