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名門・市船の1年生、ギマラエス兄弟がU-16フィリピン代表選出!アジアで活躍し、日本の高校生に新たな可能性を

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市立船橋高のDFギマラエス・ガブリエル・ロドリゲス(左)とGKギマラエス・ニコラス・ロドリゲスがU-16フィリピン代表に選出

 U-16日本代表の前に名門・市船の才能が立ちはだかる――。AFC U17アジアカップバーレーン2023予選(10月1日~9日、ヨルダン)に出場するU-16フィリピン代表に市立船橋高(千葉)の180cmDFギマラエス・ガブリエル・ロドリゲス(JSC CHIBA出身)と183cmGKギマラエス・ニコラス・ロドリゲス(Wings出身)が初選出された。2人は代表活動のため離日。日本、ヨルダン、シリア、トルクメニスタンと戦うU17アジアカップ予選への準備をスタートしている。

 ブラジル人の父とフィリピン人の母を持つギマラエス兄弟は、日本で育ってきた双子の兄弟。選手権優勝5回、インターハイ優勝9回を誇る名門・市立船橋でプレーする2人にU-16フィリピン代表は関心を寄せ、メンバーリストに加えたという。

 練習帰りに市立船橋の波多秀吾監督から代表入りの電話連絡を受けたという2人。兄のガブリエルは、「自分は海外に挑戦してみたかったので凄く嬉しかったし、もっと努力して上手くなりたいという気持ちになりました」と振り返り、弟のニコラスは「最初は思ってもいなかったことなので、ビックリしましたし、逆に世界に出られる大きなチャンスだと感じました」と喜んだ。

 日本サッカー協会からフィリピンへ派遣され、ユース育成ダイレクターを務める平田礼次氏が、3日の「関東Rookie League」Aリーグ最終節(対帝京高)を視察。その前で先発GKニコラスはファインセーブを連発し、後方からの声でチームを鼓舞し続けた。ニコラスは当時中学生だった昨年、日本の「タウンクラブ・中体連キャンプ」メンバーに招集されている“年代別日本代表予備軍”だ。この日は得意のシュートセーブをはじめその実力を遺憾なく発揮し、交代出場で前線に入ったガブリエルもフィジカル能力の高さと特長のハードワークを披露。身体の強さを活かしてボールを収め、空中戦で競り勝って見せた。

 名門・市立船橋でまだAチームに加わっていないものの、プレーヤー、人間としても着実に成長を続ける2人は、フィリピンの戦力になるだけの実力、また“飛び級”の話題も出るほどの実力を証明。ガブリエルは弟について、「凄く自分に自信があって、リーダーシップがあって、チームを助けてくれる、引っ張ってくれるリーダー的な存在。凄くチャレンジ精神がある選手です」と紹介し、ニコラスは兄について、「ハードワークしてくれる選手で、怪我とかもあるんですけれども、それを毎回乗り越えるたびに強くなっている選手ですし、謙虚でいる選手。優しさと厳しさを使い分けられる選手です」と讃える。彼らはチームの団結力などを学んだ1年生の90分間リーグ戦、「関東Rookie League」から世界へ挑む。

 フィリピンは、U17アジアカップ予選で日本と同組。ニコラスは7月に開催されたU-16日本代表候補との練習試合に市立船橋Bの一員として出場し、相手の決定機を幾度も封じて試合終了間際まで1点差勝負を演じている。その日本との対戦へ向けて、ニコラスは「(日本代表未選出の)自分たちはフィリピンとして絶対に日本に勝ってという気持ちですね」と意気込み、ガブリエルも「自分も絶対に日本に勝ちたいという気持ちで2人分、3人分ぐらい全力でやって、点を決めて、勝ちに行きたいと思っています」と誓った。

 市立船橋の1年生ボランチMF峯野倖は、U-16日本代表のU17アジアカップ予選メンバー候補の一人。ガブリエルは「(直接対戦することになったら)特長は分かるので、チームで潰して行って絶対に勝ちたい」と微笑んだ。互いが問題なく登録されれば、アジアの舞台で市船のチームメート対決が実現する可能性も。2人は本気で日本からの白星を狙っている。

 2人を送り出す市立船橋の部長、木村直純コーチは「みんなの基準が一個上がるような活躍を凄く期待しています」と語る。全国には彼らのような才能を持っている高校生がまだまだいるだけに、「その子たちの世界を感じる距離も身近になってくれたら、彼ら2人の活躍は凄く大きい意味があると思います」。桐光学園高(神奈川)出身、現在水戸でプレーするDFタビナス・ジェファーソンがフィリピン代表としてワールドカップ2次予選に出場したが、2人の活躍が日本の高校生に新たな可能性を生み出すかもしれない。

「今まで日本でサッカーをしてきて、海外の挑戦というところで、まず変わった環境の中でどれだけ自分の実力を発揮できるか。発揮するためにも色々なことにチャレンジして積極的にアピールしていきたいと思っています。(予選で)1位とか2位とかに入った時にさらに大きな世界でプレーできるチャンスが来る。自分の夢は日本にとどまらず、海外で活躍できるプロサッカー選手になることなので、それに向けても良いチャンスになると思うので、しっかりと勝ち切って世界に行きたいです」(ニコラス)

「海外という違う環境の中で自分の実力がどう活きるのかというのを試してみたいですし、フィリピン代表として国のために全力を尽くしてアジア大会で勝てるように頑張っていきたいと思っています。フィリピンのサッカーってあまり聞いたことないと思うんですけれども、この大会でもう一個上の大会に出て、フィリピンにもサッカーがあるぞとフィリピンのみんなに分かってもらえるように頑張って行きたいですし、勝ってフィリピンのみんなに喜びを与えたいと思います。あと、自分にとって大きなチャンスなので色々な人が見ると思うんですけれども、そこで自分の目標であるプロサッカー選手になれるように頑張っていきたいです」(ガブリエル)

 2人の普段の会話は英語で、フィリピンの言語の一つであるタガログ語も理解する。新たなチームメートとのコミュニケーションを積極的に取って、信頼を勝ち取ること。今回、U-16フィリピン代表選出を両親は喜んでくれたという。母の母国のため、自分たちの将来のために――。U17アジアカップ予選を勝ち抜くのは簡単なことではないが、2人はフィリピンのチームメートと協力しながら、全力で戦い抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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