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尚志が怒濤の5ゴールで仙台ユースとの上位対決に圧勝!! プレーオフ出場へ大きく前進

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後半開始早々ゴールを挙げたMF吉満迅(3年=6番)を祝福する尚志の選手たち

[9.17 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北第15節 仙台ユース 0-5 尚志 マイナビ泉PT]

 17日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北第15節の各試合が東北各地で行われた。宮城県仙台市のマイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場では3位のベガルタ仙台ユースと2位の尚志高が対戦した。

 今年東北はプレミアリーグプレーオフの出場枠が1つしかない。プリンスリーグ東北は試合前の段階では首位が青森山田高セカンドで勝ち点33(12試合消化)、2位の尚志が勝ち点29(12試合消化)、3位の仙台ユースが勝ち点26(11試合消化)という状況。上位3チームが4位の聖和学園高以下を引き離しているため、プレミアリーグプレーオフ出場権争いは尚志と仙台ユースに絞られた格好だ。この試合で勝利した方がプレーオフ出場に大きく前進できる大一番となった。

 前半は互いに決定機をつくる拮抗した展開だった。仙台ユースはトップ2種登録のDF山田泰樹(3年)を起点に多くの決定機をつくり、尚志はボランチのMF岡野楽央(3年)からの展開やセットプレーで決定機をつくる。前半40分過ぎからはやや尚志に流れが傾き、DF鈴木大翔(3年)のクロスから何度か決定機を迎える。そして尚志は45+1分にCKのチャンスを迎える。DF白石蓮(2年)が蹴り出したボールのこぼれ球を仙台ユースの選手が誤ってゴール方向へヘディングしてしまい、これが入って尚志がラッキーな形で先制点を奪い、1-0とリードで折り返した。

 そして後半に入ってわずか1分、勢い良く攻め込んだ尚志は「FW網代(陽勇、2年)が競り合ったこぼれに反応できて、ドライブシュートみたいなイメージで打ったら綺麗に決まって良かったです」と語る右サイドハーフMF吉満迅(3年)のコントロールショットがゴール右上隅に突き刺さり、リードを2点に広げた。これで勢いに乗った尚志は同17分、右サイドで鈴木がボールを持つと、中央へと入り込んでいた吉満がボールを受けた。「真ん中で良い形で受けられた後、右サイドを走っていた(鈴木)大翔にパスを出して、大翔と目が合って折り返しをもらえて、落ち着いて決められた」と振り返った通り、吉満がまたもゴールを決めて3-0とし、試合の流れを決定づけた。

 後半押されっぱなしの仙台ユースだったが同33分、途中出場のMF松本康汰(2年)がゴール前に進入して倒されPKを獲得する。しかし、松本が左に蹴ったPKは尚志GK鮎澤太陽(3年)に止められ、こぼれ球に反応したFW小野獅道(3年)もゴールに押し込めなかった。そして直後の同34分、尚志は右サイドでフリーとなったFW笹生悠太(2年)が吉満と同じような角度からコントロールショットを決めて4点目。試合終盤の後半45+1分にも網代がゴールを決めて、5-0と大勝。2位を堅守し勝ち点を32に伸ばし、3位仙台ユースを勝ち点6差と突き放した尚志は、プレーオフ出場に大きく前進した

 このカードはリーグ前半戦5月3日第6節の対戦ではアウェーの仙台ユースが1-0で勝利していた。その時、尚志の仲村浩二監督は開口一番「こんなものじゃないですかね、うちの力は」と淡々とチームの力の無さを語っていた。そこから何が変わったのか。「こういう強豪チームとの試合がこの夏、インターハイの後も福島復興大会などでできて、調子も上がってきていました」と仲村監督はこの夏の選手の成長に手応えを感じていた。「5月の時は3年生がだらしなかったと言うか、覚悟が決まっていなくてあれくらいがベストでした。今は2年生が半分くらい試合に出ていて、3年生が後輩にお尻を叩かれ、覚悟が決まってレギュラー争いを本気でやっているのが今のうちの強さにつながっています。前節の帝京安積高戦からメンバーも変えていますし、今は誰を出しても良くて、簡単にはやられないチームになってきています」と3年生を精神的に成長させて、選手層も厚くなったことで、チーム力は春から飛躍的に伸びた。

 2ゴールの吉満は「前回対戦では気持ちで負けていると監督にも言われて、今日は気持ちで絶対負けないようにして、球際もバチバチ行けて良かったと思います」、キャプテンのDF山田一景(3年)も「前回の対決で負けていたので今回は最初から勢いで押そうと思いました。良い形で点が入って後半も開始早々に点が入って自分たちのペースに持って行けました」と、選手たちは気持ちを強く持ち、前回対戦のリベンジを達成した。

 プレーオフ出場へと前進したが仲村監督は「次節の聖和学園戦できちんと勝ち点を取れればホッとできます。今の目標は選手権ではなくて、一戦必勝の気持ちで戦わなきゃダメだなと思っています」とまずは目の前の試合に集中する。キャプテンの山田は「まだ甘い部分もありますし、今日はPKも与えてしまったので、もっと隙を無くしていけたら」と気を引き締めていた。

 一方今季プリンスリーグ東北2敗目がよもやの大敗となった仙台ユース。木谷公亮監督は「前半は自分たちの時間もあった中で、自分たちのプレーよりも相手に合わせて流れを持って行かれました。失点の時間帯も前半最後と後半最初の2点が大きくて、ああいう時間帯に失点していたら、こういう試合になるという典型的な試合でした」と振り返り、勝負どころの時間帯での失点を悔やんだ。前半40分くらいからピンチが増えていたことについても「自分たちのロストからピンチが始まっています。どうゲームコントロールしていくかが足りません。外から見ていても危なそうな雰囲気はあって、0-0で帰ってくるか、0-1で帰ってくるかという違いも大きかったです」と嫌な流れがあったのは感じ取っていた。そして後半は大量失点。キャプテンDF阿部駿也(3年)は「負けている中で、全体に前に意識が向いている時の後ろのリスク管理がうまくいかず、流れがつかめませんでした」と焦りから前掛かりとなり失点を重ねたことを悔やんだ。

 プレーオフ出場に向けては痛い1敗となったが、尚志より残り試合数が1試合多く、まだ可能性は残されている。木谷監督は「メンタリティが大事です。自分たちにもチャンスがあるので、1戦1戦積み上げていかないといけません。負けた経験を成長につなげられれば強い個、チームになっていけます」、阿部は「この流れをまず断ち切って、次絶対勝ってもう1回良い雰囲気を取り戻したい」と次節仙台育英高戦に向けて前を向いた。

(取材・文 小林健志)

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