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[MOM4006]阪南大高DF今西一志(3年)_川崎F U-18や青森山田を“基準”に携える右SBが高精度キックで3ゴールに絡む!

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阪南大高の高精度キッカー、DF今西一志

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.18 高円宮杯プリンスリーグ関西第13節 阪南大高 4-1 大阪産大附高 J-GREEN堺 S5]

 この日もチームが挙げた4つのゴールのうち、3点に絡む活躍を披露してみせたが、自己採点は50点ぐらいだという。“基準”はあくまで実際に肌を合わせて、その力を痛感させられた川崎フロンターレU-18や青森山田高。そのためにはまだまだ立ち止まってなんていられない。

「去年から試合に出ていて、中心選手という立ち位置にいながら、チームを引っ張っていけずにこのような結果なので、凄く責任は感じています。ただ、まだシーズンは終わっていないので、今日は3点に絡めるプレーができたのは良かったですけど、まだまだ求められているところは高いはずなので、最後は良い形で終われるように、自分が引っ張ってやっていきたいなと思います」。

 昨シーズンから全国レベルの場数を踏み続けてきた、大阪屈指の右サイドバック。阪南大高(大阪)が誇る高精度キッカー。DF今西一志(3年=千里丘FC出身)が振るう右足に、間違いなくチームの浮沈が懸かっている。

 7戦未勝利で迎えたプリンスリーグの大阪産大附高(大阪)戦。「お互いに下位同士で、向こうも自分たちと同じ気持ちで来ると思ったので、技術というよりは何とか気持ちで勝とうという話は全員でしていました」と話す今西のキックが、この大事な試合でことごとくゴールに直結する。

 開始早々に1点をリードして迎えた前半9分。右サイドで得たFK。スポットに立った今西が右足で蹴り込んだ軌道は、中央のFW福井旺(2年)にピタリ。「チームとして『右からの“イン巻き”はファーを狙っていこう』と話していて、そこにしっかり蹴って、味方がしっかり合わせてくれたので、そこは狙い通りでした」。まずは1アシスト。

 39分。今度は右サイドを単騎で切り裂くと、中央をしっかり見て正確なクロス。「タイミングをずらして縦に仕掛けたらクロスを上げられるなという狙いはずっとあって、しっかり剥がせたので、『中で何か起きるかな』という感じでちょっとふんわり上げました」。合わせたMF茅野裕太(2年)のボレーはヒットしなかったが、FW上山蓮太(2年)が押し込み、大きな3点目が阪南大高に記録される。

 最後は1点を返され、嫌なムードが漂った終盤の後半41分。左CKのチャンスに、今西の狙いは明確だった。「一番ヘディングが強い保田のところをブロックして、僕がニアにしっかり蹴り込むのは練習からしっかりやっていた形で、アレは綺麗に決まったので本当に良かったと思います」。飛び込んだDF保田成琉(3年)が豪快に合わせたヘディングを導く、完璧なキック。3ゴールを演出した今西のパフォーマンスが、実に5か月ぶりとなるリーグ戦勝利を鮮やかに引き寄せた。

 昨年から右サイドバックのレギュラーとして大舞台を経験してきた今西にとって、確かな手応えと悔しさが残ったのは選手権の3回戦、青森山田高と対峙した一戦だったという。

「結果的には負けているんですけど、内容を見たら全然やり合えていたなという想いが凄くありました。正直もっとやられるかなと思って、気持ち的には退けていた部分もあったんですけど、やってみたら全然そんなこともなくて、楽しかったですし、悔しかったので、今年も選手権に行って、あの舞台でもう1回やりたいですね」。

 インターハイでは神村学園高と、プレミアプレーオフでは川崎F U-18とも対戦しており、とりわけ後者の試合ではトップ昇格が決まった、当時は2年生のMF大関友翔に衝撃を受けたという。「最初は知らなかったんですけど、凄く上手かったですし、『ああいう選手になれたらもっとサッカー楽しいんかな』と思ったぐらい、印象に残っています。自分はそんなに能力に自信はないので、ああいう上手さをもっと付けられたなと思っています。凄く注目していますね」。知ってしまった“基準”を胸に、選手としての成長欲も人一倍携えてきた。

 チームはここまでは思うような結果を残せていないが、だからこそ、ここからの逆襲へと意欲を高めている。「今日勝てたことでここから乗っていって、しっかりプリンス1部に残留して、選手権に持っていけたらいいなと思いますね。自分は1年生から試合に使ってもらって、凄く良い経験をさせてもらったのに、自分の代になった今年は何も返せていないので、残りの3か月ぐらいで監督を含めてスタッフを喜ばせたい気持ちもありますし、しっかり恩返しできるようにやっていきたいなと思っています」。

 高い志を抱えた右サイドの仕事人。再びハイレベルなライバルとの対峙を希求する今西のキックが、きっと阪南大高をより高いステージへと導く道標になるはずだ。



(取材・文 土屋雅史)
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