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「何もないところか全て出来る子たちに...」。“本音、本気、本当”の話し合いで主体性育む遊学館が2-0で星稜撃破!

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2点目を奪ったMF横越塁を遊学館のチームメイトが祝福

[9.23 高円宮杯プリンス北信越第16節 遊学館高 2-0 星稜高 金沢市民サッカー場]

 23日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ北信越第16節で遊学館高(石川)と星稜高(石川)が対戦し、MF津田快登(3年)とMF横越塁(3年)のゴールによって、遊学館が2-0で勝利した。

 8位・星稜と9位・遊学館の勝点差は7。「この後の選手権とかを考えず、100%の力で倒そうと想いで戦いました」。ゲームキャプテンを務めたMF多田龍心(3年)の言葉通り、県のライバルとして以上に、1試合消化試合が多い遊学館としては残留のために白星が欠かせなかった。

 意気込みの強さは試合の入り方に繋がり、前半3分には右クロスを跳ね返されたものの、DF市川直樹(3年)が拾って再びゴール前へ。ファーサイドでフリーだった津田が頭で合わせて、遊学館が先制した。

 幸先の良いスタートを切った遊学館だったが、以降の流れは星稜に傾く。エースFW山下陸(3年)が繰り出す仕掛けや、右サイドで思い切りの良い攻撃参加を繰り出したDF高橋大空(3年)によって遊学館陣内へと切り込んでいく。

 24分には左を抜け出したMF福島元基(3年)がゴール前に速いボールを入れると、反対サイドのMF山本陽大(3年)が足を伸ばして合わせたが、遊学館の守備陣がブロック。36分には高橋の右クロスから、山下がヘディングシュートを狙ったが、枠を捉えられない。

 遊学館は星稜に押し込まれても、DF宅島空雅(3年)らDF陣が身体を張って、アタッカー陣に自由を与えず、1点リードのまま試合の折り返しに成功。「夏に選手で粘り強く行こうと話していた。一人ひとりが責任を持って、自分のマークだけでなく抜かれた所ものカバーも全員で守備をやっていこうとやってきた結果なのかなと思います」(多田)。

 我慢の時間を乗り切った遊学館に2度目の決定機が訪れたのは、後半3分。クリアボールを自陣で拾った津田が右前方に展開し、フリーで抜け出したMF小竹銀蔵(3年)がゴール前にパスを送る。反応した多田のコントロールは乱れたが、「自分でターンして打てたけど、確実に点が獲れる方に出した」と左へ流し、最後は横越が決めて2-0に。そのまま逃げ切った遊学館が5試合ぶりの白星を掴んだ。

 6年ぶりのプリンスリーグに挑んだ前期の遊学館は、チームがバラバラで黒星が先行。インターハイ予選も準決勝で涙を飲んだ。敗戦以降は、「1回チームをぶっ壊した」(岸玲衣監督)。チームを再び作り直す中で本気でフットサルと向き合った結果、8月上旬に行われた全日本U-18フットサル選手権で日本一を達成した。

 並行して進めたのは、“本音、本気、本当”をテーマにした選手同士の話し合い。サボらない選手を作るため、年下であってもプレーに緩みが見られた時には厳しく指摘をする。星稜戦でも試合中に選手同士が話し合う姿が印象的だった。

 指揮官が成長を感じたのは、セットプレーの対応だ。前節の日本文理高(新潟)戦は、ロングスローから2失点。今節に向けた改善が必要だったが、選手の主体性を育むためにあえて岸監督が口出しをせず見守ったところ、選手が練習終わりに集まって練習に励んだ。

「自分が何も言わなくてもやってくれたのは大きかったし、嬉しかった。言われたことだけでなく、主体的にやらなければいけない。これをやっとけと言った事は全て出来る。そういう子たちはいますが、何もないところか全て出来る子たちにしたい」(岸監督)。

 一方の星稜も、確かな成長の跡は伺える。初の選手権出場に向けた準備は着実に進んでいる。だが、「今年、自分たちが公式戦で県内の高校に負けたのは新人戦決勝に続き、これで2回目。3回目は絶対に負けられない。ここで気持ちを切り替えて、チャレンジャーとして頑張っていきます」と山下が口にする通り、星稜にとってもこの試合は大きな節目になったのは間違いない。両校共に選手権予選で決勝まで勝ち上がれば、三度対戦する。実現すれば、今回以上に熱い戦いになるのは間違いない。

(取材・文 森田将義)
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