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日の丸を背負ったことで加速した成長欲。横浜FCユースDFヴァン・イヤーデン・ショーンが見据える進化のその先

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193センチの長身を誇る横浜FCユースDFヴァン・イヤーデン・ショーン

[10.2 高円宮杯プレミアリーグEAST第16節 横浜FCユース 1-1 青森山田高 横浜FC・LEOCトレーニングセンター]

 日の丸を背負ったことで確実に上がったハードルも、今は自分の力に変えるだけの決意も定まっている。もっと上手くなりたい。もっと強くなりたい。その先にある世界を、もっと知りたい。行けるところまで、どこまでも。

「代表から帰ってきてからは『アレがショーンか』みたいな感じで周りからも言われますし、もっと上に行くには周りからの評価が求められてくるので、その期待を裏切らないプレーをこれからも続けていきたいと思います」。

 横浜FCユース(神奈川)が育んだポテンシャル抜群の長身センターバック。DFヴァン・イヤーデン・ショーン(3年=横浜FCジュニアユース出身)は年代別代表の経験も大きな糧に、見据える目的地を今まで以上に遠くまで、着々と伸ばし始めている。

 9月のリーグ戦は負傷もあって2試合を欠場。前節も途中出場だったヴァン・イヤーデン・ショーンにとって、今節の試合にはどうしてもスタートから出たい理由があった。相手の青森山田高(青森)にはジュニアユース時代の3年間をともに過ごしたFW小湊絆(3年)がいるからだ。

「代表が終わってからケガをしてしまって、その間に自分の代わりに出ていた選手も奮闘していたので、自分の価値を証明し続けないと、代表に行ったからといって自分のチームで試合に出られるわけではないので、今週は練習から頑張りました」。その甲斐もあって4試合ぶりにスタメンへ復帰。“親友”とのマッチアップに臨む権利を得る。

「試合が始まる前にも絆とはお互いに連絡を取り合って、モチベーションを高めて試合に臨みました」。センターバックとフォワード。何度もマッチアップを繰り返す中で、前半にはセットプレーの流れから小湊にゴールを許してしまう。その後にチームは追い付いたものの、結果は1-1のドロー。楽しみにしていた“再会”に決着は付かなかった。

「久しぶりに同じピッチでサッカーができて、お互いに成長したなとは感じましたし、絆も中学からスピードがあったので、やっぱり速いなと思いました。自分は中学校の時はビルドアップがあまり上手くなかったんですけど、今日は絆やもう1人のフォワードの足を止めるパスや運び方は結構見せられましたし、前半で相手も結構疲れて足が止まっていたので、そこは自分たちの思うようにできたのかなと思います」。そう話したヴァン・イヤーデン・ショーンも、試合後は小湊とジュニアユース時代のチームメイトで記念写真を撮る一幕も。この日の90分間は彼らにとって、きっと勝敗を超えた忘れられない記憶になることだろう。

 父親と同じカナダ国籍も有している中で、8月には『2022 SBSカップ国際ユースサッカー』を戦うU-18日本代表に招集され、自身初となる年代別代表の活動に参加した。「最初は緊張するかなと思ったんですけど、楽しかったですね。初戦のウルグアイ戦で君が代を歌っている時に『ああ、これが代表か』と思って、結構ワクワクしました」。そんなヴァン・イヤーデン・ショーンとセンターバックでコンビを組んだ川崎フロンターレU-18のDF高井幸大(3年)とは、旧知の仲だったという。

「初招集で正直うまく行くかわからなかったんですけど、思ったより自分の武器も出せましたし、一緒にやっていた高井(幸大)も中学校から結構仲が良くて、ゴハンにも行ったりするので、フロンターレでPSGとの試合にも出ている人とプレーできて(笑)、嬉しかったですね。代表に行っても『はじめまして』ではなかったことで、特徴もわかっていてやりやすかったですし、高井は上の世代の代表にも行っていたので、経験もあって頼もしかったです」。190センチを超えるセンターバックが揃うことは、年代別代表でもそう多くはない。そんな高井の援護も受けながら、初めての代表は大きな手応えを得る時間となったようだ。



 一度経験してしまうと、やはりもっと先を知りたくなるのはサッカー選手の常。ヴァン・イヤーデン・ショーンももちろん例外ではない。「これからは自分の代だけじゃなくて、1つ上の代にも食い込んで、次の代表にも呼ばれたいです。向こうに行って帰ってきた時に、自分が上手くなっている実感もありましたし、それをもっと続けていったら、もっと上手くなるんじゃないかなって思えたので、どんどん呼ばれて、上を目指していきたいです」。

 目指すは来年のFIFA U-20ワールドカップ。そこへ辿り着くためにやるべきことも、自分の中では輪郭がおぼろげながら見えてきている。「ここからはどんな進路を取っても厳しい世界ですし、今のままでは絶対にダメだと思うので、常に練習から自分自身と厳しく向き合って、周りの選手とも高い要求をし合って、チームとしても強くなって、もっと上に行きたいなと思います。今の自分に全然満足はしていないですね。まだまだいろいろなことが始まったばかりなので」。

 193センチの体躯を誇る超大型センターバック。着実に自信を纏いつつあるヴァン・イヤーデン・ショーンという名前が、多くのサッカーファンの知るところになる日も、そう遠い先のことではなさそうだ。



(取材・文 土屋雅史)
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