beacon

1ゴール、勝ち点3の重みを学んだ帝京が流経大柏Bに1-0勝利。プレミアプレーオフ圏内キープし、次は選手権予選へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

帝京高右SB並木雄飛(左)は攻守で貢献度の高いプレー

[10.8 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第15節 帝京高 1-0 流通経済大柏高B 帝京大学グループ千住総合G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関東1部は8日、第15節を行い、2位・帝京高(東京)が流通経済大柏高B(千葉)に1-0で勝利。帝京はプレミアリーグプレーオフ圏内の2位をキープしたまま、11月20日以降の残り3試合を迎えることになった。

 帝京の日比威監督は「(選手たちが)1点の重み、勝ち点3の重みを理解して、緊張感を持ってやっている」と評す。対戦した流経大柏Bは1、2年生のみのチーム。序盤は帝京が主導権を握っていたが、前線からのアグレッシブなプレス、奪い返しから速攻を繰り出してくる相手に気持ち良くプレーさせてしまうような時間帯があった。

 流経柏は1年生FW粕谷悠が前線で良くボールを収め、MF笠松良緒(2年)とMF新保柊祐(2年)の両翼がサイドから仕掛けるなど、クロス、シュートの本数を増加。だが、帝京は34分、一際技巧を発揮していたMF押川優希(3年)のパスからMF田中遥稀(3年)が左足ダイレクトでミドルシュートを放つ。緩やかな孤を描いたボールがGKの頭上を突いてそのままゴールイン。やや流れの悪かった帝京が先制点を奪った。

 その後、帝京はスルーパスやワンツーなど連動した崩しから相手ゴールへ迫る。特に後半はFW齊藤慈斗(3年)の強さを活かして相手を押し下げ、セカンドボールを回収。右SB並木雄飛(3年)、左SB島貫琢土(3年)の攻め上がりを交えて多彩な攻撃を繰り出した。

 流経大柏Bは右SB佐藤笙真(2年)のシュートブロックやCB佐藤夢真(1年)のカバーリングなど1点差を継続。ゴール前で際の強さを発揮していたが、インターハイ準優勝の帝京も守備はより安定していた。

 CB大田知輝(3年)が高さを発揮し、CB梅木怜(2年)、左SB島貫はスピードや運動量を活かして的確なカバーリング。また、攻撃的な右SB並木も「チームに少しでも貢献できるようにドリブルも守備も全力でやっていきたい。自分のところが弱いと思われたくないから、1対1やCBのカバーとかで自分のスピードを活かしてアプローチに行って、『ここから攻めたくないな』と思われるようにしたいので、なるべく攻撃よりも守備の方に意識をおいてプレーしている」という守備を見せる。

 流経大柏Bのカウンター攻撃、また190cmFW柳裕晋(2年)の高さを活かした攻撃に対応し、決定的なシーンを作らせない。帝京は終盤、全治5か月の大怪我から復帰してきているU-19日本代表候補左SB入江羚介(3年)を加え、その入江や並木のクロスから決定機を作り出した。日比監督は「勝ち点3を意識しすぎちゃっている。空回りしていた」と指摘したが、最後まで無失点を継続。しっかりと勝ち点3を獲得した。

 帝京は9月25日の鹿島ユース戦で3-1から追いつかれて痛いドロー。選手たちは「強いチームとやると失点してしまっているので改善していきたい」(並木)と感じ、その後は隙を見せずに2試合連続無失点勝利を果たしている。

 帝京はインターハイでも準決勝、決勝でシュートブロックや失点すれすれでのクリアを連発。FW伊藤聡太主将(3年)や齊藤、押川、田中を軸とした多彩な攻撃に注目されがちだが、1点を守ることへの執念も非常に印象的だった。昨年、一昨年は上手さ、強さを評価される一方で勝ち切れない試合も多かったが、今年はプリンスリーグ関東、インターハイで光る勝負強さと堅守。昨年、一昨年から学び、際の守りの強さや1点の重みを忘れずに戦う姿勢は、これから始まる選手権予選やプレミアリーグ昇格へ向けた戦いで他との差を生み出す武器になる。

 この日、守備での貢献度も高かった並木は、10月15日初戦の選手権へ向けて「最後なんで緊張している暇はないと思うし、全力で自分たちがやってきたことを出して全力でやれれば勝てると思います」ときっぱり。09年度以来遠ざかっている選手権の舞台に立つために、1点にこだわって戦い、勝ち抜いて、日本一への挑戦権を獲得する。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集

TOP