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今夏清水ユース加入の”大器”FW関口航汰がプレミアデビュー戦で存在感。中学生離れした動きと言葉

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清水エスパルスユースの中学3年生FW関口航汰がプレミアリーグデビュー戦で存在感

[10.8 高円宮杯プレミアリーグWEST第17節 清水ユース 3-3 鳥栖U-18 アイスタ]

 ピッチでの佇まい、試合後のコメントからは中3のデビュー戦とは感じさせない。澤登正朗監督が「まだ中学生ですけど、存在感というか、器がかなり違うなというのは感じた」と評価したのが、この夏、東急SレイエスFC U-15から清水エスパルスユースに一足早く加入したU-15日本代表のFW関口航汰(中3)だ。

 中学3年生ながら、ストライカーとしての完成度はすでに高い。「身体能力で負けるとは思わない。スピードへの自信もめちゃくちゃあります」と自信を覗かせる通り、183cmの大型ながらも、50m走の速度は6秒ジャスト。「元々は左利きだったのですが、右足の方がシュート精度や威力が出る。右はキック、左はテクニックというか、足元で収める用に使っている。右足と左足を使い分けています」。そう明かす通り、両足を苦なく扱い、パンチのあるシュートを打てるのも強みだ。

 10チーム以上が争奪戦を繰り広げたが、以前から東急SレイエスFCのOBが清水ユースに進んでいたこともあり、いち早く練習参加を経験し、「ここなら良い経験が出来るんじゃないかと思った」。当初は来春から加入するつもりだったが、夏休み前に話が一気に進み、8月からの加入が決定。「世界とかで活躍している選手たちを見ると、やっぱり早い段階からトップの試合出ている。より若いうちに経験を積んでいる選手が多い。前のチームでやるのも成長すると思うのですが、やっぱりそこだけで満足しないで、もっと自分が壁に当たるような環境が欲しかった。自分より上手い選手がいっぱいいる中でより頭を使えば、上手くなるんじゃないかと思った」。

 加入後1か月は怪我のリハビリに励んでいたが、前節の大津高戦で初のベンチ入り。迎えたこの日は2-2で迎えた後半40分からピッチへ送り出された。デビュー戦は、清水のトップチームがホームとして使用するIAIスタジアム日本平とあり、本来なら動きが硬くなってもおかしくない。ただ、関口は「初試合は緊張すると思うのですが、自分はしなかった」と振り返る。

 見せ場が訪れたのは鳥栖U-18のMF坂井駿也(3年)に3点を決められ、三度目のリードを許して迎えた90+4分。右サイドからMF加藤大也(2年)が上げたクロスのこぼれ球にゴール前で反応。シュートを打とうと切り返したところを倒され、PKとなった。メンタルはストライカー気質。自らが得たPKは自らが蹴るのが当たり前と考えているため、掴んだボールを離さない。エースのFW斉藤柚樹(3年)がボールを貰おうと近付いてきても、譲らない。突き放すような素振りも見せていた。

 結果的に斉藤がキッカーとなり、同点ゴールを叩き込んだが、試合後のコメントからは、本人も自認する“俺が俺が”という性格が伺える。「めちゃくちゃムカついていました。寄越せよ!という感じで、蹴らせろとずっと言っていました。3年生にも言えますね。でも、ゆず君(斉藤柚樹)は決めてくれる。得点ランキングも上位で、今日の試合でだいぶ上がったので、蹴らせて良かったというのは思いますね」。

 ストライカーに必要な我を感じる一方で、先輩に対するリスペクトも忘れていない。「先輩FWには特徴があり、どうやって盗もうか考えている。練習でも、ゆず君の動きを凄く見て意識している。全くボールを奪われないので、本当に凄い。真似をしようと思っています」。

 成長途中である中3の選手に過度な注目とプレッシャーを与えてはいけないと分かっているが、この日見せた言動からは期待してしまう。将来トップチームでエースとなり得るだけの素質を持つ男が、これからどんな成長曲線を描くのか、多くの人が楽しみにしているはずだ。

(取材・文 森田将義)
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