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トップが毎年感じる緊張感、重圧を高校生で経験中。首位・川崎F U-18は昇格1年目でのプレミア制覇へ「チャレンジ」

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来季トップチーム昇格の川崎フロンターレU-18MF大関友翔主将はチャレンジし、結果を残して優勝へ

[10.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 市立船橋 1-1 川崎F U-18 船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]

 高校生の間に、トップ同様の緊張感ある試合を経験できている。川崎フロンターレU-18は今季、“高校年代最高峰のリーグ戦”であるプレミアリーグEASTに初参戦。4月の開幕から7月まで、10勝2分という驚異的な成績を残し、首位を快走してきた。

 だが、中断明けの9月に開催された流通経済大柏高戦で初黒星を喫すると、続くJFAアカデミー福島U-18戦も敗戦。今月2日に開催された前橋育英高戦は前半の得点によって1-0で勝ったものの、いつ追いつかれてもおかしくないような展開だったという。

 迎えた市立船橋高戦では終始ボールを保持して攻め続け、後半にセットプレーから先制。だが、2点目を奪うことができない。その中で守備陣は相手の鋭いカウンター攻撃、セットプレーを集中して跳ね返していたものの、終了間際に警戒していたロングスローから決められ、勝ち点を落とす結果となった。

 前期と比べ、対戦相手の首位撃破への気迫も、自分たちに対する戦い方も明らかに変わってきている。その中で受けに回ってしまったところもあった。長橋康弘監督は、「流経戦0-1で負けて、アカデミーのところも0-1で負けて、気持ちの上でチャレンジしようと入っていた1巡目から、どこか『首位を守ろう』という感じが見て取れる内容だった」と振り返る。

 主将のU-17日本代表MF大関友翔(3年)も、「(市立船橋戦を含めて)会場のアウェーということもありますけれども、相手チームの盛り上がり方は凄く圧を感じましたし、首位なので『食ってやろう』というのは目に見えて分かったので、そこは凄くプレッシャーになったと思います」と分析する。

 ただし、この緊張感や、ライバルからターゲットにされる状況は自分たちにとって成長のチャンス。彼らは、近年常に優勝争いを演じているトップチームの選手たちが感じている緊張感や重圧を“高校年代最高峰のリーグ戦”で体感することができている。

 長橋監督は「こういう経験ができることも一つ凄く成長できると思いますし、ここでも2点、3点獲れるようにしていく。これが選手たちの成長に繋がっていくと思うし、トップに近づいていく段階を踏まないといけないのかなと思います」と期待する。

 CB松長根悠仁(3年)、CB高井幸大(3年)とともに来季からトップチームで戦う大関は、「トップチームは毎年毎年上位にいて優勝争いをしているので、こういった緊張感のある試合というのはトップチームに行っても経験すると思いますし、プレミアリーグよりももっともっと自分へのプレッシャーは強いと思います。ですから、プレミアリーグで自分が引っ張っていかないと、トップチームで引っ張っていく存在にはなれないと思うので、そこはもっともっとやっていかないといけないと思います」と力を込める。

 そして、「ポジションも(ボランチから)一個前になったので、最後の仕事や最後の精度は求められると思いますし、そういったところは自分も意識しながらやっていますけれども、もっと回数を増やさないといけないですし、目に見える結果というのを増やしていかないとトップチームでも活躍できないのかなと思っています」。この日はCKで左SB元木湊大(2年)の先制ヘッドをアシストしたが、自身の決定機を逸してしまっただけに、もっともっとアシスト、ゴール、そしてチームの勝利にこだわっていく。

 チームが再度強調しているのは、チャレンジする姿勢だ。自分たちが勝手に重圧を感じてしまっていた数試合から“フロンターレらしい”チャレンジするサッカーへ。大関は「やすさん(長橋監督)からも『自分たちはチャレンジャーだ』という話をしてもらいましたし、今日引き分けましたけれども、まだ首位は走れると思うので、ここで落ち込むんじゃなくて、チャレンジャーということをもっと意識していかないといけないなと思います」と誓った。

 目標が優勝ということに変わりはない。長橋監督は、「トップチームがああいう成績を残してくれてから、アカデミーも『トップに続け』とやってきましたので、今年初めての参戦の中でよくやってくれていると思うんですけれども、今年優勝することで一つ歴史を作れるのかなと。これを継続していくというところで新たな進歩が望めるのかなと思います」。トップチーム同様、日本を代表する強いアカデミーチームへ。ここからの6試合、難しい戦いが続くことは間違いない。プレミアリーグを制して新たな一歩を踏み出すため、まずはトレーニング、ホーム・等々力陸上競技場で開催される次節・横浜FCユース戦(15日)から全力でチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
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