beacon

[MOM4034]静岡学園FW神田奏真(2年)_ストライカー覚醒?プレミア東福岡戦で1試合5ゴール!

このエントリーをはてなブックマークに追加

静岡学園高の2年生FW神田奏真が公式戦では中学時代以来という1試合5得点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.12 高円宮杯プレミアリーグWEST第8節 静岡学園高 6-3 東福岡高 時栖富士]

 躍動した舞台は、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWEST。対戦相手は5位の自分たちよりも上位の名門・東福岡高だった。加えてGKは、高校年代屈指のシュートストッパーで、この試合でも2つの超絶セーブをしていた須田純弥(3年)。その強敵相手、また2点ビハインドの状況から、静岡学園高の2年生FW神田奏真(大阪東淀川FC出身)が、1試合5ゴールの離れ業をしてのけた。

 まずは0-2の後半5分、MF寺裏剣(3年)の左クロスに頭から飛び込んで1点目。前節・G大阪ユース戦のヘディング弾に続く2試合連続ゴールを記録すると、13分にはMF高橋隆大(3年)の右FKにニアで反応し、頭でゴール左隅へ流し込む。

「2点目獲った時に、今日は3点目を獲りに行って、打ったら何かあるかもと思っていたので」と神田。そして17分、右SB森下蒼大(3年)の右クロスを左足ダイレクトでゴールネットへ沈めた。

 神田は1年生だった昨年、「2021 関東Rookie League」Aリーグで14得点を叩き出して得点王。7月にはU-16日本代表候補に選出されている。今季は先発に定着したものの、この試合前の時点で14試合に出場してわずか3ゴール。守備面の評価が高い神田は先発出場を続けていたが、必ずしもストライカーとしての力を買われての起用ではなかった。

 実際、今季はプレミアリーグの強固なDFに苦戦。チャンスでシュートをブロックされるなど決め切れず、先輩たちに迷惑を掛けたような試合が幾つもある。この日、静岡学園は2トップを採用したが、それも得点力不足を補うため。だが、「(監督の川口)修さんからずっと『ゴール』、『ゴール』って。『ゴールを決めることで評価される』と聞かされてきた」FWは、ゴール前でのトラップを自主練から磨き、チャンスで落ち着いてプレーできるようになってきていた。

 その成果も発揮してハットトリック達成。だが、神田は3得点で止まらず、その後も決定機を次々とゴールへ結びつけた。3-3に追いつかれた1分後の20分には、寺裏のループパスを胸でコントロールし、左足でゴール。そして、24分には、高橋の右クロスをファーで決めて5得点目を挙げた。

 5点目のヘッドは、この日の5得点の中で最も嬉しかったという一撃。「話し合ってやっていたので、やっと成功した」というゴールだった。この日はCKからのヘッドでチーム6点目をアシストし、5得点1アシスト。「先制点とかは(寺裏)剣君のクロスを当てるだけやったし、隆大君も凄く良いクロスを上げてくれたので本当に僕だけの点じゃなかったと思います」とチャンスを演出してくれた先輩たちに感謝していた。

 先輩のG大阪内定MF高橋は「マジで『ありがとう』というか、前期獲れていなかった分、ここで払拭できたのでこれから獲ってくれると思いますし、みんなも波に乗ってくれると思います」と期待。また、川口修監督も「なんで精度が上がったか、オレも分からない(苦笑)。今日はFWの仕事、ポストプレーも。絶対に点を獲るという誰よりも強い気持ちがあったかな。本当のストライカーのプレーをしてくれた。守備があれだけできるから、点獲れれば将来が楽しみ。素晴らしかった。本当に」と賛辞を惜しまなかった。
 
 圧倒的なプレーを演じた神田だが、「FWは点獲ってなんぼなので、今日できたのは良かったけれど、引き続き点を決めることができたら良いと思います。(今日の5得点で)これから信頼してもらえると思う。もうちょっとで選手権も始まりますし、きょうはその第一歩になったと思います」と引き締める。

 この日はJ1、J2の複数クラブのスカウトが来場。高橋や名古屋内定CB行徳瑛(3年)に続くプロ入りを狙う神田は強烈なアピールをしてのけた。「(だが)1試合だけじゃ『その日だけやったかな』と思われるので、毎試合こういうプレーができたら良い」。元々パンチのあるシュートを打つことができるほか、特に自信を持つヘッド、抜け出しなど多彩なゴールパターンの持ち主。この試合が“覚醒“のきっかけとなるか。得点を決め続けて信頼を勝ち取り、Jリーグクラブや日本代表関係者の評価を変える。

後半5分にダイビングヘッドで1点目。ゴールラッシュの口火を切った

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP