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名門校同士のバチバチの攻防戦。流経大柏が先制も、“天敵”青森山田が終了間際の同点弾でドロー

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後半45+1分、青森山田高左SB西脇虎太郎が左足でゴールへ押し込み、1-1に

[10.16 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 流通経済大柏高 1-1 青森山田高 流通経済大柏高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EASTは16日、第18節2日目を行った。流通経済大柏高(千葉)と青森山田高(青森)との高体連勢対決は、後半終了間際に青森山田が追いつき、1-1で引き分けている。

 両校のプレミアリーグでの対戦成績は、青森山田が1分を挟んで11連勝中。流経大柏が最後にリーグ戦で勝利したのは3-2で勝った14年4月まで遡る。だが、今回の対戦は前半、流経大柏が優勢に試合を進めた。

 立ち上がりから強度の高い動きの応酬。球際ではファウルを怖れることなく一歩を踏み出し、自然と接触プレーが増えた。空中戦、地上戦でアツく、激しい攻防の連続。その戦いでは、青森山田に分がある。

 競り勝ち、より多くのセカンドボールを回収。試合を通して素晴らしいキックを連発していたGK葛西淳(3年)のフィードなどから相手を押し込む時間を増やし、MF谷川勇獅(1年)のミドルシュートやエースFW小湊絆(3年)が絶妙なトラップから放った右足シュートで流経大柏ゴールを脅かす。22分には、谷川の展開から右のMF小栁一斗(3年)がクロスを上げ、ニアの小湊が合わせた。

 一方の流経大柏はなかなか攻め切れずにいた。青森山田のアプローチは鋭く、また190cmCB小泉佳絃(2年)、CB三橋春希(3年)らDFラインも堅い。だが、グラウンダーでの攻撃にチャレンジ。徐々に敵陣で前を向く回数を増やすと、セットプレーや右SH大川佳風主将(3年)のドリブル突破からシュートチャンスを作り出す。

 そして32分、右のFW小西脩斗(3年)から中央へ好パスが通り、MF竹原伸(3年)が絶妙なスルーパス。抜け出したMF菅野倖生(3年)の左足シュートは右ポストを叩いたが、跳ね返りをFW大堀柊人(3年)が右足でゴールへ蹴り込んだ。

 先制した流経大柏は攻撃にリズム。先週はBチームのCBとしてプリンスリーグ関東1部で先発出場していた185cmMF塩川桜道(2年)が制空権を握り、繋ぎの部分でも存在感を放つ。また、先発チャンスを掴んでいるCB高橋力也(2年)、CB萩原聖也(3年)も競り合いで健闘。両翼が中へ絞っての攻撃も効果を発揮していた。

 これに対して青森山田は流れを変えられず、ビハインドのまま前半終了。だが、後半開始から両翼に右SH奈良岡健心(3年)と左SH川原良介(2年)、前線にFW武田陸来(3年)を投入すると、流れは一変する。交代出場した選手たちをはじめ、出足の鋭い青森山田が立ち上がりから流経大柏を凌駕。サイドアタック、奈良岡のロングスローなど迫力のある攻撃を続けて流経大柏にプレッシャーを掛ける。

 だが、流経大柏は191cmGKデューフエマニエル凛太朗(3年)が立ちはだかる。23分には右CKからCB小泉佳絃(2年)の放ったヘッドをビッグセーブ。また、ゴール前で高さを発揮し、青森山田得意のセットプレーを阻止する。加えて、DF陣もPAから相手CB三橋に放たれたシュートをブロックするなど、青森山田の攻撃によく食い下がっていた。

 流経大柏は小西の個人技、ワンツーから決定機を作るシーンもあったが、後半は攻撃の時間を増やすことができずに我慢の戦い。榎本雅大監督も「後半ああいうゲームをしているようじゃ全然ダメです。上手く相手の前がかりを剥がして時間つくれないと」と指摘する。

 相手の勢いに押され、簡単にボールを渡してしまう。そして、サイドから仕掛けられてスローイン、CKを献上。再三ゴール前にボールが入って来る中、根気強く守っていたが、各選手の跳躍する回数が増えた影響か、足を攣らせる選手が続出してしまう。

 迎えた後半43分、青森山田は右ロングスローの流れから小湊が決定機を迎えるが、流経大柏GKデューフがゴールラインすれすれで執念のセーブ。それでも45+1分、青森山田はMF芝田玲(2年)の右CKがGKのミスを誘い、最後は混戦から左SB西脇虎太郎(3年)が左足でゴールへ押し込んだ。

 畳み掛ける青森山田はさらに45+5分、交代出場で右サイドを活性化していた奈良岡が豪快な突破。そして、クロスがファーサイドでフリーの川原へ届いたが、シュートは枠を捉えず、1-1で試合終了となった。

 青森山田の黒田剛監督は「(後半開始からの選手交代によって、)勢いが出てきたし、保持する時間も増えてきたので、もっと早く1点を取ったらもっと飲み込む時間が長かったかなと」。それでも、「リーグを考えた時、(勝ち点を)1つでも積み上げられることは有効」とアウェーで勝ち点1を獲得したことを前向きに捉えていた。

 一方の流経大柏は、“天敵”青森山田とのリーグ戦で8年ぶりの白星に迫りながらも、悔しいドロー。選手、スタッフも勝ち切れなかったことを残念がったが、相手のパワフルな反撃を跳ね返し続けた経験は今後に繋がる。ともに選手権で日本一を目指す両校。この日の課題を改善し、再戦で相手を上回る。

(取材・文 吉田太郎)
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