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[MOM4118]大津DF坂本翼(3年)_止め続ける強力右SB。“公立の雄”の強みに

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大津高の右SB坂本翼(3年=サガン鳥栖U-15唐津出身)は守備で存在感

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.19 高円宮杯プレミアリーグWEST第20節 大津高 2-0 東福岡高 大津町運動公園球技場]

 チームの課題を強みに変えている。“公立の雄”大津高(熊本)は同じ九州の高体連チーム、東福岡高(福岡)とのライバル対決を2-0で快勝。特に光ったのが、右SB坂本翼(3年=サガン鳥栖U-15唐津出身)、左SB田辺幸久(2年=菊陽町立菊陽中出身)の対人守備の強さだった。

 山城朋大監督は、惜しくも準々決勝敗退となったインターハイで他校の試合もチェック。優勝校・前橋育英高(群馬)などの強さの要因として「良いチームは必ずSBが(相手の)SHに対しての優位性を保っている」と分析し、坂本、田辺の2人にその部分の強化を要求したという。

 この日は勝負どころで田辺がボールを奪い切って一人で大きく前進していたほか、「坂本もことごとく止めていた」(山城監督)。指揮官はこの日も含めてサイドでの1対1で「ほとんど負けない。相当強いですよ」という坂本をマン・オブ・ザ・マッチに推した。

 坂本は東福岡戦について、攻撃面で決定的な役割ができなかったことを反省。質を上げることを誓った一方で、「1対1は一回も負けなかったので、守備の面では良かった。今日は対人していて負ける感じはなかった」と頷く。

 東福岡の左サイドでプレーしたMF楫山拓磨(3年)とMF吉岡拓海(2年)はいずれもキープ力、推進力のあるプレーヤー。抜け出されるシーンや起点とされる場面があったことは確かだが、その仕掛けをストップして相手の強みを出させなかった。

 元々守備面は得意。昨年はAチームでのチャンスを得ながらも「去年最初の方は出ていて自分のプレーに自信がなかった。(攻撃も、守備も)両方ミスしたらどうしようという感じだった」と振り返る。今シーズンも序盤戦はどちらかというと相手のミスを待つような守備。だが、「自分から仕掛けていくというのを朋さん(山城監督)からずっと言われていて、夏から変わってきましたね」。元々体が強く、トレーニングでアジリティや切り返しの部分をレベルアップさせた坂本は前への姿勢が高まり、攻略困難なDFになった。

 7月の静岡学園戦でU-18日本代表候補MF寺裏剣(3年)相手に思うような守備ができて手応え。そして、インターハイ後には自信を持ってアタッカーとの1対1を止められるようになった。広島ユースMF越道草太(3年)や名古屋U-18MF鈴木陽人(2年)といった代表クラスのサイドアタッカーにも守備は通用。「サイドやられなかったらクロスとかないですし、失点とかに繋がらないので、そこは自分のところで絶対に勝つということは意識している」。自身に求めている通りの守備でチーム力の向上、5連勝にも大きく貢献している。

 推進力ある攻撃参加も魅力の右SBは、サガン鳥栖U-15唐津出身。すでにプロデビューしている鳥栖U-18のMF福井太智(3年)やMF楢原慶輝(3年)は中学時代から遠征などで一緒になり、「ボール取られなかったり、勝利への執念が違うと思っていた」。自身は怪我もあってU-18チームに昇格できず、当時は差を感じていた。だが、高いレベルのプレーを求めて進学した大津で成長。現在は彼らにも対抗できるようになったと感じている。

 坂本は今後へ向けて「攻守両方でチームの勝利に貢献できるような選手になっていきたい」。そして、選手権では「まずは守備で誰にも負けないというところと点を獲ることを意識していきたい。(全国準優勝の)去年を超えるというのが今年の目標。チャンスはあると思うので初の全国制覇行けるように」と力を込めた。兄・坂本空雅は昨年、佐賀東高の右SBとして選手権16強。兄超えを実現し、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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