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前を向き全力プレー続ける市立船橋、選手権予選敗退後2勝1分でプレミア残留圏浮上

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雨中で気迫溢れる戦いを見せた市立船橋高

[11.23 高円宮杯プレミアリーグEAST第13節 市立船橋高 1-1 前橋育英高 グラスポ]

 惜しくも白星には繋がらなかったものの、雨中で伝統の青いユニフォームが心を動かすような戦いを見せた。ホームの市立船橋高(千葉)は立ち上がりから試合終了までハードワークを貫徹。各選手がよく走り、良く戦った。また、ゲーム主将のMF北川礁(3年)やGK佐々木海翔(3年)をはじめ、各選手が声を発し続けていたことも印象的だった。

 シーズン後半になって台頭してきたCB大塚清瑚(3年)やCB藤田大登(3年)が、身体を投げ出して相手ボールを奪おうとする。個々の技術力で勝る前橋育英高(群馬)は、市立船橋のプレッシャーを受ける中でもボールを繋ぎ、チャンスを作り出してきた。

 だが、市立船橋はセットプレーを含めて各選手が相手選手と身体をぶつけること、また先にボールへ触れることを継続。回数は少なかったものの、FW芦沢颯太(3年)やMF内川遼(2年)が力強く前進し、前半33分にはMF太田隼剛(2年)のループパスで抜け出したエースFW郡司璃来(2年)がGKをかわして先制点を奪う。

 このゴールにピッチ、ベンチ外の選手も喜びを爆発させていた。後半立ち上がりに追いつかれ、PKのチャンスを逸するなど勝ち切れなかったことは確か。だが、試合終盤もセットプレーやサイドからの攻撃で諦めずにゴールを目指し続け、守備陣も同点後は集中した守りを続けて決定的なシュートを打たせなかった。

 選手権は千葉県予選決勝で敗れ、日本一の夢が断たれた。直後にピッチ外での問題が報道によって明るみに。様々な立場の選手、それぞれの思いがある中で、「全員が苦しい思いをしたのだから、全員が切り替えて、前を見て先のことだけ考えてやろうと」(波多秀吾監督)。苦境の中で選手たちは前を見て、プレミアリーグ残留を目指して歩み始めた。

 チームが崩れてしまうことも予想されたが、選手権予選決勝4日後のプレミアリーグEAST2位・横浜FMユース戦(16日)を5-2で快勝。今季一番という内容で白星を勝ち取ると、続く20日の大宮U18戦では2度追いつかれながらも後半アディショナルタイムにFW渡邉慎和ムセマ(3年)が決勝点を決め、3-2で劇的勝利を果たした。そして、この日はインターハイ優勝校の前橋育英相手に1-1ドロー。降格圏から残留圏9位まで順位を上げている。

 残り2試合も一体感を持って部員全員で戦う。ピッチに立った選手は球際・切り替え・運動量の三原則をはじめ、自分たちがやるべきことを全力でやるだけだ。指揮官は「この一件が選手たちを大人にしてくれているなと思いますし、(チームが一つになる)一つのきっかけだったのかなと。選手はやるべきことが分かっていますし、プレミア残留というところへ向けて気持ちが一つになっているところがあるので、(残り試合へ向けて)色々な環境をこちらが整えていくだけかなと。特別何かをするとか、戦術的にどうするとかではなくて、持っている力を発揮できれば」と語った。支えてくれている人たちのため、自分たちのために、目標の残留を勝ち取って、来年以降に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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