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ポテンシャルは代表FW「よりある」。履正社FW古田和之介は選手権得点王と「国立で平野先生を...」

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履正社高FW古田和之介(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)はプレミアリーグWESTで得点ランク2位の14得点

[11.26 高円宮杯プレミアリーグWEST第21節 履正社高 2-3 静岡学園高 履正社茨木グラウンド]

 履正社高の平野直樹監督は、キャプテンマークを巻くFW古田和之介(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)について「大地よりポテンシャルがあるから。大地よりも足速いし、頭良いし、そういう意味では古田は伸びしろがある」とその将来性について高く評価する。

 大地とは履正社OBで、東京五輪日本代表、A代表にも選出されたFW林大地(シントトロイデン)のこと。林は決して器用なタイプの選手ではなかったが、だからこそひたむきに、がむしゃらにプレーし続けてチームに貢献し、ゴールも決めて評価を高めた。

 古田もチームへの貢献度は大きい。身長は173cmで178cmの林よりも小柄。普通に競り合いをしても180cm超のDFには届かない。だが、「勝てないんだったら負けない方法を考えれば良い」という平野監督の指導の下、競り合いで背中を当てて相手にクリアさせなかったり、一歩でも足を出して相手にプレッシャーをかけたり、浮き球を確実に胸で収めたり、動き出しを繰り返すなど、小さな身体でもできることをひたむきにやり続けている。

「一選手として、『アイツがやっているから自分もやらなあかん』って、ちょっとでも味方が思ってくれたり、ちょっとでも味方が楽をしてくれたらそれで良いんでという気持ちで別にポジション関係なく、チームのためにできることはホンマに全部やろうと思っている」

 そのFWの献身的な姿勢はボールを引き寄せ、プレミアリーグWESTで現在リーグ2位の14得点。残り1試合だが、首位と1点差で得点王のチャンスを十分に残している。「チームのために、というプレーを続けていたら自ずと結果がついてきたという感じです」。この日は得点こそなかったものの、前線で粘ってキープし、チームの2点目をアシストした。

 対峙した静岡学園高の名古屋内定CB行徳瑛主将(3年)も、「プレミアやっている中でもやりにくい。マッチアップしていて特に嫌だなという良い選手」。世代を代表するDFの言葉を伝え聞いた古田は、「(行徳は)プロ行く選手ですし、それは一つの自信になります」と素直に喜んでいた。

 一方でストライカーの仕事ができなかったことを悔しがる。「自分としてはまだまだで、今日も前半のうちに3点目取っていれば決まっていた。(後半3失点したが、)自分に矢印を向けてストライカーとしての仕事ができていない。相手CBが嫌がることはできたけれど、点獲ることができていないというのは大いに反省です」と引き締めていた。

 平野監督は四日市中央工高(三重)時代にインターハイ決勝で優勝ゴールを決め、順天堂大、松下電器、G大阪でもプレーしたストライカー。林やワールドカップ日本代表のFW町野修斗(湘南)を育て、古田の「林以上」というポテンシャルも引き出している。

 古田とって林は、「練習来てもらった時に付きっきりで教えてもらったのもありますし、人としても海外で活躍しているのに高校生とやる時も自分たちと同じ目線でずっと練習してくれて、人としても尊敬しています」という憧れの存在。先輩の選手権8強という記録超えにも挑戦だ。

「何としても。ベスト8は履正社にとって壁でありますけれども、自分としては日本一しか狙っていないので。もうこのメンバーでやれる最後の大会でもありますし、なんとしても国立で平野先生を胴上げしたい。色々迷惑もかけてきたし、育ててもらったのは平野先生なので。何としても叶えて、平野先生を日本一にしてあげたい」と強い思いを口にした。

 個人としての目標は得点王だ。「日本一に貢献するのはもちろんですけれども、プレミアリーグで得点を獲っている以上は得点王を獲らなければいけないものだと思いますし、『アイツ、リーグ戦だけや』とか言われないように、多少マークが来てもそこは差を見せないと。選手権予選であんまチームに貢献するプレーはできましたけれども、得点という部分では貢献できなかったので、プレミアリーグで得点王争いをしている以上、そこは責任感を持ってやらないといけないと思っています」。関西学院大に合格。4年後、即戦力としてプロ入りすることを掲げるストライカーが、選手権で名を上げ、憧れの先輩を超える。

(取材・文 吉田太郎)
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