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“東京ナンバー1決定戦”。選手権代表校対決は國學院久我山が成立学園に3-2で勝利!

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國學院久我山高MF中山織斗(右)は勝負どころでの縦突破で決勝点を演出

[11.27 高円宮杯U-18リーグ東京1部第17節 成立学園高 2-3 國學院久我山高 成立学園鷲宮G]

 27日、高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ2022東京1部第17節で首位の成立学園高と2位の國學院久我山高が対戦し、國學院久我山が3-2で勝った。

 選手権東京都予選を制した2校による“東京ナンバー1決定戦”。勝てばリーグ制覇とプリンスリーグ関東参入戦進出の決まる成立学園を國學院久我山が破り、勝ち点3と自力優勝のチャンスを勝ち取った。

 立ち上がり、國學院久我山は李済華監督がサッカーの「上手さ」を絶賛するMF高橋作和(3年)や競り合いでマイボールに変える力を持つ1年生MF近藤侑璃らが高い位置でのインターセプトに成功。MF中山織斗(3年)の突破からシュートシーンを作り出す。成立学園もFW菅野芳帆(3年)のミドルシュートなどで攻め返したが、國學院久我山は14分に先制点。高い位置での奪い返しから左のスペースを突いたMF山脇舞斗(2年)が折り返すと注目エースFW塩貝健人主将(3年)が右足で決めた。

 國學院久我山は塩貝が前線で圧倒的な動き。ボールが入ると1対1、1対2でも止まらずにボールを前進させる。先制直後にも塩貝のスルーパスから中山がゴール前へ。だが、ビルドアップに苦戦していた成立学園が相手の守備網を突破し、敵陣にボールを運ぶ回数を増やす。

 そして、34分、MF渡辺弦(3年)の左クロスをファーサイドのMF横地亮太(2年)が右足ボレー。豊富な運動量でボールに係わり続けていた2年生MFのペナルティアーク付近からの一撃が、ゴール左隅に決まった。

 國學院久我山は44分、敵陣中央で前を向いた塩貝の斜めのスルーパスから中山が左足で勝ち越し点。だが、成立学園は後半8分、パスを繋いで押し込むと、横地がアウトサイドでのループパスをゴール前へ入れる。このこぼれ球を拾った渡辺が同点ゴールを流し込んだ。

 國學院久我山は2点目を挙げた後も破壊力のある攻撃を続けていた。塩貝が個で持ち上がり、シュートで終えるが、成立学園はCB佐藤由空(3年)が最後まで食い下がってそれをブロックする。

 國學院久我山はこの日、思うような攻撃ができた訳では無い。選手たちは十分な質を発揮できかったことを反省し、特に後半追いつかれた後はMF陣田成琉(3年)や横地中心攻める成立学園に握られていた主導権。だが、李監督が「私たちよりも図太いかもしれない」と微笑んだように、苦しい展開でも選手たちは折れなかった。

 後半38分、國學院久我山は左サイドでボールを持った中山が果敢に縦突破。苦しい時間帯に打開力を示した背番号7が一気にエンドライン際まで切れ込み、マイナスの折り返しを通す。これを受けた塩貝がコントロールから左足シュートを決めた。「成立も選手権出るということで自分の中で“東京都ナンバー1決定戦”という気持ちで臨みました」というエースが決勝点。國學院久我山が選手権代表校対決を制し、目標のリーグ制覇、プリンスリーグ関東昇格へ大きな勝ち点3奪取した。

「美しく勝て」の國學院久我山は今年も賢さ、上手さを備えた選手たちが並ぶが、強度の高さも強みとしている。塩貝は「綺麗さに泥臭さは上に行くために必要だと思う。この代は泥臭さだけでも東京でナンバー1じゃないかと。そこの融合が期待されている理由なんじゃないかと思います」という。右SB井料成輝(3年)や塩貝が泥臭くキープする力、奪う力を示し、勝ち切る強さを発揮し、強敵から白星をもぎ取った。

 この日、成立学園は主将のMF八木玲(3年)や左SB清水冬真(3年)ら主軸を大学受験で欠く陣容。山本健二監督はそれを敗因にはせず、選手たちがどこか人任せにしてしまった部分があったことを指摘する。「一個一個のプレーを責任持ってできるかできないか、彼らが次にステップするのに必要」。選手権出場校は、相手の状況によって速さ、出力を変えられるか、そして「らしさを出したい」(山本監督)ということも選手権で活躍するために必要な要素だ。

 一方、代表校対決で勝利した國學院久我山の李監督は選手権について、「私たち(スタッフ)は、正直楽しみですよね」とコメント。そして、コンディション面や交代選手たちの活躍、そして登録30人、部員全員の和を重視した。「心と身体のコンディションを整えられるか。それに尽きると思う。彼らがどういう気持ちを作ってくれるか」。選手権予選でインターハイ準優勝の帝京高を破るなど力はある。ベンチ含めてムードの良かったこの日のように、紙一重の勝負をチーム力で上回り、目標の日本一に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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