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青森山田が王者撃破で選手権へ弾み、FW小湊「2人の監督に国立の空を見せたい」

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前半15分、青森山田高はFW小湊絆(左)が先制ゴール

[12.4 高円宮杯プレミアリーグEAST第22節 川崎F U-18 1-2 青森山田高 川崎F麻生グラウンド]

 プレミア王者にも引けは取らない。青森山田が意地を示し、連覇を狙う高校選手権へ弾みをつけた。プレミアリーグEASTの最終節が4日に行われ、青森山田高は2-1で川崎フロンターレU-18を破った。正木昌宣監督は「選手権前で周りに影響もある試合。この試合の重要性は伝えていた。優勝チームに負けてはいけないというプライドもある。しっかりやってくれた。良い形で選手権に入って行ける」と王者を破った手応えを語った。

 2節を残して優勝を決めた川崎F U-18に対し、昨年覇者の青森山田は持ち前の守備力で対抗。試合の前半、丁寧にパスをつなぐ相手が縦に入って来たところを狙ってボールを奪い取り、逆襲に転じた。

 前半5分、右MF小栁一斗(3年)のクロスを左MF中山竜之介(3年)が折り返してゴール前の好機を演出。10分にはFW小湊絆(3年)が左からミドルシュートを狙った。対する川崎F U-18は、敵陣への押し込みには成功したが、相手ゴール前の守備をこじ開けられずに苦戦した。

 前半15分、青森山田は、CKをしのいだ相手が前進してきたところでMF谷川勇獅(1年)がボールを奪い返し、すぐに縦パス。小湊が正面やや左寄りからミドルシュートをゴール右へ決めて先制に成功した。川崎F U-18は、前半29分に右DF江原叡志(2年)のロングパスでカウンターを仕掛け、抜け出したエースFW五木田季晋(3年)がGKに倒されてPKを獲得。しかし、五木田のシュートを青森山田のGK葛西淳(3年)が右へ跳んでセーブし、青森山田が1点リードで後半へ折り返した。

 後半もボールを保持して攻める川崎F U-18と守備で対抗する青森山田の展開が続いたが、22分、青森山田はCKのこぼれ球をMF中山がミドルシュート。途中出場のFW武田陸来(3年)がコースを変えたボールがネットを揺らしてリードを広げた。

 川崎F U-18は選手交代で3トップ気味に変更し、相手の守備を広げて中央からコンビネーションアタックを狙った。26分、ボランチからトップ下へ上がったMF大関友翔(3年)がドリブルで中央を破り、ワンツーでのパス交換から左足シュートを決め、すぐに1点差に戻した。

 終盤は、5バックにした青森山田が川崎F U-18の猛攻をしのぐ展開。何度もシュートを浴びながら身を挺してブロック。6分のアディショナルタイムも守り切り、2-1で逃げ切った。
先制点を決めた小湊は「今週の木曜日は雪がすごくて(外で)練習ができず、屋内で軽く身体を動かすくらいしかできなかった。こっち(関東)に来たら暖かくて、凍ってない芝で練習できる。こんな環境で練習できているチームには負けられないという気持ちになった」と環境との比較を反骨心に変えてアウェイゲームに挑んでいたことを明かした。

 青森山田は昨季、松木玖生(FC東京)や宇野禅斗(町田)を擁してプレミアリーグEAST、インターハイ、全国高校選手権の3冠を達成。今季は、リーグで序盤に5連敗を喫し、インターハイは全国大会の初戦で敗退。高校選手権も県大会の決勝戦は、先制するも追いつかれ、延長後半までリードを奪えずに苦しんだ。

 昨季と比較すれば、圧倒的な強さはない。しかし、プレミアEASTで4位は、力のないチームには残せない。王者を破る力を持っていることも証明した。主将のDF多久島良紀(3年)は「前半は相手に押し込まれたけど、想定内。体を張ってGKを中心に守れたことは収穫。これを選手権につなげたい」と冬の大舞台に視線を移した。

 来季、町田ゼルビアのトップチーム監督に就任する黒田剛総監督と、ヘッドコーチから昇格した正木監督に引っ張られてきたチームの集大成が、選手権の舞台だ。小湊は「優勝しか目指していない。黒田監督、正木監督が国立で(胴上げされて)宙を舞う、うっすらとしたイメージが濃くなっていくように、練習から突き詰めていく。2人に国立の空を見せたい」と躍進を誓った。夏の悔しさを胸に、闘志をたぎらせる青森山田が連覇を狙う。

(取材・文 平野貴也)
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