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[MOM4129]鳥栖U-18MF坂井駿也(3年)_“仕事人”はCBでもハイアベレージ。「ベストな試合」を経てプレミアファイナルへ

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サガン鳥栖U-18の“仕事人”、MF坂井駿也(3年=ソレッソ熊本出身)はCBでも活躍を続ける

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.4 高円宮杯プレミアリーグWEST第22節 鳥栖U-18 4-0 磐田U-18 佐賀市健康運動センターサッカー・ラグビー場]

 今季の出場時間は全試合に出場したDF山本楓大(3年)、大里皇馬(3年)に続き、フィールドプレイヤー3位の21試合1877分。U-18日本代表のスペイン遠征に参加したため、不在となった第7節の名古屋U-18戦を除き、サガン鳥栖U-18の全試合に出場したのがMF坂井駿也(3年=ソレッソ熊本出身)だ。

「自分は前の選手」と自認する通り、本職はセンターハーフ。正確な散らしで攻撃のリズムを作りながら、機を見て繰り出す左右両足からロングフィードで試合の局面を一気に変えられる。トップチームへの帯同や世代別代表の活動によって、MF福井太智(3年)が不在となった際は、アンカーでもプレー。的確なポジショニングによるボールハントを見せつつも、福井の分までゲームメークの役割を担う姿が光った。この一年での成長について、坂井はこう口にする。「テンポを出すパスや、逆に散らすボールなど日に日にだんだんできることが増えてきた」。

 プレミアリーグの終盤戦では、守備力と組み立て能力を高めるため、CBとしてプレー。慣れないポジションにも関わらず、「チームが勝つためには後ろのポジションに入っても良い」と前向きに取り組んだ。「前線の選手は背中で引っ張れるけど、後ろの選手は声で引っ張るしかできないので、意識してやり続けている」とチームを鼓舞する声を出し続ける姿も印象的だった。迎えた最終節で与えられた持ち場も、これまでの2試合同様にCB。中盤よりもプレッシャーを受けづらい状況は彼にとって好都合で、最終ラインから攻撃のスイッチを入れていく。

 加えて、思い切りよくサイドを攻め上がる動きも効果的だった。前半4分には、左サイドからカットインしたMF楢原慶輝(3年)の外側を駆け上がって、クロスを上げた。28分には山本からのパスを右サイドで受けると縦のMF堺屋佳介(3年)に展開。そのままオーバーラップして、PA右でボールを貰い直すと、GKとの1対1に持ち込んだ。ゴールとはならなかったが、相手に圧力をかけるには十分なプレー。「トップの練習参加した際に、後ろから上がっていくスタイルをやっていたので、自分も身に付けた。他の選手がちゃんとカバーしてくれているので、思い切って上がれる」と口にする。

 後半は本職CBと見間違えるような落ち着いた守りを披露。後半4分には、磐田U-18FW舩橋京汰(2年)にゴール前を抜け出されそうになったが、粘り強く並走してシュートを打たせない。「後ろの4枚全員が集中していたので、押し込まれても失点する気配はなかった」と振り返る通り、以降も相手に隙を与えず、無失点で勝利。試合後の坂井は、「ここ最近は集中できていたし、身体も張れていた。チームとしても個人としても今日がベストな試合かなと思います」と笑みを浮かべた。

 最終節が特別良かったわけではない。プレーの派手さはないが、どの試合でも気の利いたプレーを見せ、高いアベレージを叩き出すのが坂井の魅力。プレミアWEST初優勝を果たした今年の鳥栖U-18の中で、彼の存在は大きかった。田中智宗監督の信頼も絶大で、「(坂井について)彼はフル稼働してくれた。誰かが抜けた中でも、しっかりリーダーシップを発揮して、前から後ろまで全てやってくれた。彼が本当に1年間支えてくれたのが大きかった」と坂井を称えた。

 高校生活の最後の舞台であるプレミアファイナルでも坂井の仕事人ぶりは変わらないだろう。「自分たちにとって最高の舞台が整った。勝ってファンやサポーター、保護者の方々に気持ちを伝えたい。最後は笑って終わって、田中さんを胴上げしたい」。そう意気込む男は、ツボを押さえた効果的なプレーで、チームに勝利をもたらすはずだ。

(取材・文 森田将義)
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