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「最小最強のドリブラー」静岡学園MF高橋隆大が高校ラストマッチで圧倒的なドリブル。決定力磨いて仲間が「自慢できるような存在に」

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静岡学園高の10番、157cmMF高橋隆大は抜群の突破力を披露。G大阪での飛躍を誓った

[12.4 高円宮杯プレミアリーグWEST第22節 静岡学園高 1-3 神戸U-18 エスプラットフジスパーク]

「最小最強のドリブラー」は圧倒的なドリブルと、課題の両方を見せて静岡学園高でのラストマッチを終えた。登録157cmのG大阪内定MF高橋隆大(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)は、10番を背負って右サイドでプレー。前半は周囲を活用しながらチャンスにも絡んでいたが、特に1点を追う後半は中央、サイドで止まらない存在となっていた。

 前に立ちはだかれても、並走されても、それをかわして前進。時に囲まれ、潰されかけてもターンしたり、DF間へ身体をねじ込んでまた前進していく。自陣からでも1人で大きく持ち上がるなど、神戸U-18の脅威になり続けた。それでも、ゴール前では簡単にはプレーをさせてもらえない。ドリブル、コンビネーションで振り切ろうとするも食いつかれ、シュートはブロックされたり、GK正面に打たされた。

 選手権予選で敗退し、これが今季最終戦の静岡学園はベストゲームと言えるような内容。逆転優勝のかかった神戸U-18相手に怯むことなく、各選手が個人技を発揮しながらボールを前進させ、その守りを切り崩していた。だが、高橋の4本をはじめ、CB行徳瑛(3年、名古屋内定)の決定的なヘッドなどシュートを連発しながらも得点を奪うことができない。

 逆に後半38分、40分に連続失点。最終節の勝利が遠のく中、足を痛めた高橋は45分にピッチを退いた。それでも、諦めずに攻め続けた静岡学園は後半45+6分にMF保竹駿斗(3年)の左クロスからCB黒澤翔太(3年)が執念のヘディング弾。最後まで静学らしさを貫いてリーグ戦を4位で終えた。

 圧倒的な突破力を示した一方、無得点の高橋は「凄い悔しいというか、最後までホンマにごめんという気持ちが強いような内容で……ホンマに自分がまだまだやなと改めて思えるような、そんなラストゲームやったと思います」と涙。そして、「自分の良さは出せていたんですけれども、そこまで行けるという過程の部分は正直ホンマどうでも良いので、それは当たり前なので、あとは結果にこだわっていかないといけないなと思いました」とその突破力をゴールへ結びつける決意を口にしていた。

 静岡学園の仲間たちへの思いは特別なようだ。3年間を思い返しながら、また涙。そして、「(静岡学園は)みんなびっくりするくらい上手くて、どこのチームとやっても、俺らのボランチとかCB、SBとかFWとかが一番上手いと自信を持って言える子たちやったし、プレミアのどこよりも足元あると言えるところやったし、一人一人上手いし、そんなやつらとやれてホンマに幸せやったし、そのみんなに負けないように、プロのステージでもっともっとずば抜けてやっていかないといけないと思いました」。G大阪からスタートするプロ生活で、同級生たちが誇りに思ってくれるような選手になる。

「メンバーに入っていない子とか、寮の子とかもホンマに仲良くしてくれたので……クラスの子とかもホンマに自慢できるような存在になって、みんなが憧れになってくれるような選手になりたい」。試合後、川口修監督から「素晴らしかった。オマエの武器は絶対に通用するから」とエールを受けていた「最小最強のドリブラー」がプロの世界で羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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