beacon

東山は前向きな白星。8強敗退から1年間積み上げてきた力、チャレンジャー精神を発揮して選手権日本一へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

選手権の有力校、東山高DF新谷陸斗主将は「ここから3週間ほど気を引き締めてやりたい」

[12.3 高円宮杯プリンスリーグ関西2部第18節 近大附高 1-3 東山高 J-GREEN堺 S3]

 選手権有力校の一つ、東山高(京都)が好内容のゲーム、結果でリーグ戦を終えた。プリンスリーグ関西2部ですでに2位と来季の1部昇格を決めていた東山は、3日の最終節で優勝校の近大附高(大阪)と対戦。3-1で快勝した。

 福重良一監督はこの日、青森山田高(青森)を破ってU-18青森ユースフェスティバルを制すなど好調だった夏の基準をチームに求めていた。開幕まで4週間を切っている第101回全国高校サッカー選手権へ向け、ライバル校に見られることよりもチームづくりを優先。その中で選手たちは切り替えの速い守備、多彩な攻撃を表現した。

 今年度は、夏冬全国8強入りした昨年度から主将のDF新谷陸斗(3年、U-17日本高校選抜)やC大阪内定MF阪田澪哉(3年、U-18日本代表、日本高校選抜)、MF真田蓮司(3年、U-17日本高校選抜)ら主力の半数を残す。経験値はチームの強みだが、経験があるがゆえに「(チャレンジできず)安定を一時期求めてしまっていた。もう一個上げるために縦パス入れるとか、係わり増やすとか、サボっている時期があった」(福重監督)という。

 だが、この日はチャレンジする姿勢の見えるゲームに。指揮官も「ちょっとのところですけれども、ちょっとの差が選手権では出てくる。きょうはちょっと良くなったかなと思います」と評価していた。

 相手を押し込んで迎えた前半28分、MF松橋啓太(3年)が右足ミドルを突き刺して先制。松橋は「チームがしんどい時にロングシュートが入ったらチームを楽にできるので、そういうシュートは全国でも狙っていきたいと思っています」。快足MF阪田を中心としたサイド攻撃が警戒される中、セットプレーとミドルシュートのレベルアップを目指してきたが、それが一つ形となった。

 後半にもFW豊嶋蓮央(3年)と阪田の連続ゴールで加点した一方、アディショナルタイムに失点。新谷は試合終了まで落とさずに戦う必要性を口にし、また「もっと連係の部分で、後ろからでも声を出して守備の行き方とかもっと声を出していかないと苦しくなる」と指摘していた。

 選手権の前評判は高いが、新谷は「周りから『東山強い』とかそういう評価を頂いているんですけれども、それ関係なしにチャレンジャー精神をもって戦えたらなと思います」と引き締める。前回大会準々決勝で優勝校・青森山田高(青森)に1-2で敗れてから、1年後の日本一、またチーム力を少しでも積み上げることを目指してきた。

 新チームスタート後は、個々の自覚が足りず、上手くいかないことも。先輩たちに頼ってしまっていたことを実感した。夏前のプリンスリーグで2連敗を喫し、日本一を狙ったインターハイは3回戦敗退。悔しい経験もしてきたが、チームはブラさずに頂点を目指して努力を重ねてきた。

 新谷は「どこのチームよりも努力はしてきたと思う。プレッシャーはあったんですけれども、注目された分、楽しめたというか、『今の自分らじゃあかんねんぞ』と去年以上に思えた年だったので、それを糧に成長できた部分はあります。最高学年という自覚を持って全員が取り組むことで苦しい時間帯に声を出すことを徹底して、一つ成長しているので、そこは自信を持ってやっていきたい」と頷く。

 ここからの数週間で細部まで突き詰めて選手権へ。真田とともに中盤の軸を担う松橋は「チャレンジャー精神を持って一戦一戦を戦ってきたいと思います」と語り、開会式での選手宣誓を担当する新谷は「(選手宣誓の)練習はかなりしていると思います。(選手権は負けたら引退というプレッシャーもあるが)自分は跳ね除けてプレーできている。プリンス1部昇格で一つ目標を達成できた。ここから3週間ほど気を引き締めてやりたい」と力を込めた。思うような試合展開でなくても勝ち切る力、メンタリティー、挑戦心を持って選手権に臨む。


(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集

TOP