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1年前は流経大柏撃破。経験も力に進化した近大和歌山は選手権で「また騒がせられるように」

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昨年度の経験者、近大和歌山高CB澤一翔はプリンスリーグ関西2部最終節で1ゴール

[12.3 高円宮杯プリンスリーグ関西2部第18節 初芝橋本高 0-3 近大和歌山高 J-GREEN堺 S4]

「ちょっと守備の部分は大きくなると思いますけれども、集中力と粘り強さで勝ち抜きたい。一戦必勝でまた騒がせられるように」。藪真啓監督が意気込みを口にしたように、近大和歌山高は選手権で再びインパクトを残す。

 1年前、12年ぶりに選手権出場を果たした近大和歌山は1回戦で名門・流通経済大柏高(千葉)を撃破。ジャイアントキリングをしてのけると、2回戦でも優勝候補の一角、静岡学園高と1点差の好勝負を演じて見せた。

 主将のMF畑下葵(3年)をはじめ、CB澤一翔(3年)、右SB長瀬雄飛(3年)、左SB森本一平(3年)と経験者を残すチームは守備の粘り強さを継続、レベルアップしながら、攻撃でよりボールを握ることができるチームを目指してきた。

 畑下は「守備の面では去年も良かったので継続して、よりレベルを上げて、攻撃のところはビルドアップで持てる人が今年は多いので、自分たちの時間をつくろうと。その中で粘り強い守備から素早い攻撃で仕留めるというのは意識してやってきています」と口にする。

 この日の序盤はあまり流れが良くなかったが、得意とするセットプレーから「良いところにボールが来たのでそれを決めれて流れを変えられたので良かった。去年は(主将の)荒木(宏心)君がいたんで引っ張ってもらっていたんですけれども、今年は自分らの代なので自分が引っ張らなければとその影響が良い形で出ている」という澤が先制点。さらに先発のチャンスを得たFW木村憲慎(1年)が決めて2-0と突き放す。

 この日は主軸にけが人が出ていたが、1、2年生たちが奮闘。後半にも長瀬が決め、選手権予選決勝のリベンジを目指す初芝橋本高を返り討ちにした。畑下は「自分たち3年生が引っ張って1年間やってきたので、逞しくなった1年生がついて来てくれるのは凄く嬉しいですし、全国大会で途中から出てくる選手たちがこのような活躍をしてくれると凄く心強いなと思います」とモチベーション高く戦った下級生たちに感謝していた。

 昨年以上のチームになって、選手権に挑戦。やはり、1年前の経験は大きいという。畑下は「去年、全国で流経を倒して、負けはしたんですけれども静学とも良い試合をして、自分たち、あれで一つ自信が持てましたし、全国優勝という目標が少し曖昧やったところが1年間はっきりとトレーニングできました。それはプラスでしかなくて、今年も全国優勝と言って夏もシンドい練習を耐えてやってきたので、挑める機会があるので、挑みたいなと思います」と力を込めた。

 また、澤も「去年、(流経大柏には)FWに(川畑優翔という)代表候補がいて結構収められたので、その経験があるからこそ(努力して)今できているので、去年みたいに勝てるように頑張りたいです」。できなかった部分を改善。成長させてきた力を強力FW塩貝健人(3年)擁する國學院久我山高(東京)との初戦からぶつける意気込みだ。

 澤は「まずは一つひとつ勝つことなんですけれども、学校の最高成績がベスト16なのでベスト8を目指したい」と語り、畑下は「全国制覇」を掲げた。31日の初戦までの期間で少しでも力を積み上げて選手権に臨む。

 和歌山県勢10連敗中だった前回大会と、流経大柏を倒して迎える今大会とでは周囲からの見られ方、期待感も異なる。藪監督は「去年よりはちょっと、『何かやるんちゃうか』と思われていると思うので。去年の経験と、(攻撃面など)できんかったことが分かっていると思うので、守備の強度をここから上げて行って、やり切りたいなと思います」。また、畑下も「去年は強いところの引き立て役やと思われていたんですけれども、今年は僕らが主役という気持ちで全員が挑めている」。自信を持って選手権を戦い、今冬は自分たちが「主役」になる。

(取材・文 吉田太郎)
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