beacon

高まってきた勝利へのこだわり。尚志が岡山学芸館を振り切り、目標のプレミア・プリンス同時昇格へ前進

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半28分、尚志高MF吉満迅が追加点を決める

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 尚志高 2-0 岡山学芸館高 エディオン]

 尚志が目標のプレミア・プリンス同時昇格へ前進――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023に参入する権利をかけた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 プレーオフ(広島)が9日、開幕。1回戦6試合が行われた。Dブロックの尚志高(東北/福島)対岡山学芸館高(中国2/岡山)戦は、尚志が2-0で勝利。尚志は11日の2回戦で昇格をかけて帝京長岡高(北信越1/新潟)と戦う。

 ともに選手権出場を決めている高体連対決は前半、尚志が入り良く試合をスタートする。3分、MF安齋悠人(2年)の右クロスからFW網代陽勇(2年)が決定的なヘッド。10分にも立ち上がりからキレキレの動きを見せていた安斎が右サイドを抜け出し、切り返して左足を振り抜く。

 尚志の仲村浩二監督は「(岡山学芸館は)縦に速いとか、何となく情報が入っていて、弾いたボールから一気にショートカウンターに行けるという話をしていた。あと2トップの収まりが良かったし、高さでも勝っていた」と振り返る。網代とMF鈴木虎太郎(3年)が起点となり、またスペースを作り出す動きでも貢献。そして前半26分、連動した動きから空いた中央をドリブルで突いたMF岡野楽央(3年)が、左足シュートを決めて先制した。

 尚志はさらに28分、岡野の左CKに鈴木が飛び込み、中央へ流れたボールをMF吉満迅(3年)がプッシュ。リードを2点へ広げる。岡山学芸館はビルドアップからCB井上斗嵩主将(3年)らが素早く縦に入れ、また相手の守りを広げてギャップを突くという意図を持った攻撃で対抗。そして、高原良明監督から「負けているし、行くしか無いので前がかりに行けと。後半できるだけ早い時間にとりあえず1点返すぞと話していた」という後半は攻撃の迫力が増す。

 尚志は前半34分に網代が負傷交代するアクシデントがあったが、後半も安斎のクロスなどからチャンスを創出。また、仲村監督が「夏はふわっとしたところが多かった。(それに比べて)勝負へのこだわりがちょっとつきましたよね。きょうも点取ったあとにゼロで行くぞと、伝わってきていた」と説明したように、と日本高校選抜GK鮎澤太陽(3年)らがチームを引き締めながら集中して戦っていた。

 そして、CB山田一景主将(3年)、CB市川和弥(2年)の両DFが高さを発揮して相手の攻撃を跳ね返すなど2-0を維持。だが、後半15分に山田がピッチを退くと、その後はなかなか落ち着くことができなくなってしまう。

 奪ったボールを繋げず、カウンターも不発。岡山学芸館ペースの終盤となった。岡山学芸館は32分、右サイドからMF岡本温叶(3年)が素晴らしい斜めのパスを前線へ通し、45分には岡本がカットインから左足シュート。また10番MF山田蒼(3年)とMF木村匡吾(3年)から安定してボールが配給されていたが、高原監督が「まだまだ精度が低い」と指摘したように最後のクオリティを上げることができなかった。

 尚志はU-17日本高校選抜右SB鈴木大翔(3年)が対人守備で大きく貢献するなど無失点で勝利し、19年以来のプレミア復帰へあと1勝。怪物CBチェイス・アンリ(現シュツットガルト)を擁した昨年はインターハイ、選手権、プレミアリーグプレーオフの計4試合で1得点も奪うことができず、全て0-0でPK戦敗退を喫する悔しさを味わった。山田は「(去年に負けないチームに)なれていると思います。2点は少ないかもしれないですけれども、去年に比べたら2点は進歩だと思いますし、去年取れなかった点を今年は取れている」と頷く。

 年々、選手層が高まっている尚志の目標はプレミアリーグとプリンスリーグ東北へのダブル昇格だ。仲村監督は「まずは一つ(勝利する)というのが目的だった。ここ勝ったら、次考えようと。ウチもここ(プレーオフ)に来る回数が多いので、まずは一つ勝って、もう一回プレミアに戻りたい。(また、)セカンドは絶対にプリンスにいないといけない。だからこそ頑張りたい」。また、山田は「後輩へのプレゼントということもあるんですけれども、3年の意地。そういう気持ちもあります」と力を込めた。必ず勝って、チームのステージを1つ上げる。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP