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「何か一つ足りなかった」。2年連続プレーオフ敗退の長崎U-18MF安部大晴は悔しさを糧にプロ、代表での活躍へ

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V・ファーレン長崎U-18のMF安部大晴(3年=V・ファーレン長崎U-15出身)はトップチームでの活躍を誓う

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 愛媛U-18 1-0 長崎U-18 エディオン]

 舞台は昨年のプレーオフ2回戦で前橋育英高(群馬)に0‐2で敗れた時と同じエディオンスタジアム広島。U-19日本代表候補にも選ばれるV・ファーレン長崎U-18のMF安部大晴(3年=V・ファーレン長崎U-15出身)は試合後、「昨年もこの舞台で悔しい想いをしたのに、今年も同じ舞台で同じ想いをしてしまった後輩たちに、1個上のリーグでやらせたいという気持ちは強かったけど、何か一つ足りなかった」と唇を噛んだ。

 5月のレノファ山口戦で、高校2年生でのJリーグデビューを果たした昨年に続き、今年もトップチームに主戦場を置いた。6月に行なわれた天皇杯3回戦のFC東京戦では、スタメン出場を果たし、プロ初ゴールもマーク。直後に左膝を負傷し、実戦から離れていたが、1か月前に復帰し、プリンスリーグでコンディションを上げて、この試合に挑んだ。

「昨年はゴールに直結するプレーが圧倒的に少なかったので、そこをプラスしてやっていきたいと思っていた」。そう振り返る安部だったが、相手の警戒があったためか、自陣でのビルドアップに関与するのが精いっぱいで、なかなか高い位置でボールに関わるプレーが見せられない。

 試合後には悔しさを滲ませた。「マークされている中でも、違いを出したかった。プロ契約していて、肩書があるからこそ、やらないといけない。これがプロかってなるぐらいやらないと、周りから認めて貰えない。そこを意識してやったけど、いざ試合になるとできなかった」。

 チームとしても、ビルドアップで前に運んではいけたが、相手エリアに入ってからの崩しが上手く機能しなかった。チャンスを作れても、最後の質が足りず、1点が奪えないまま0‐1でタイムアップ。「自分がもっとサポートすべきだった。チームメイトを動かすのもそうだし、自分が受けて、いつどう出すタイミングあるかを伺うのもそう。サポートやチームを動かすのが足りなかった」。

 U-18ラストゲームとなった一戦で、こみ上げるのは昨年以上の悔しさだ。「長い人だと小学校から一緒にやってきた人もいる。この3年間、U-18でする機会は少なかったけど、少なかったからこそ想う所はある。“もっとやっておけば良かった”と思わないように後輩たちにはやって欲しい。後輩には自分たちがやってきたこと以上のことをやらないと勝てないぞと言いたい。最後、出ていなかった3年生の分までプレミアに連れて行きたかった」。

 学校生活と両立しながら、プロでの練習に励んだこれまでとは違い、来年からは本格的にプロサッカー選手としてのキャリアを歩み始める。「来年からはサッカーだけに集中できる。上に行くためだけを集中してやりたい」と口にする安部が描くのは、将来の日本代表入りだ。

「ここで終わりではなく、ワールドカップを目指してやっている。そのためには、V・ファーレンのJ1昇格に目を向けて、成長していけなければと思う」。利き足でボールを持った時のプレーや、ボールへの関わりはトップチームでもやれる手応えを掴んでいる。守備でのアグレッシブさも売りで、U-12から長崎のアカデミーでプレーしてきた安部に対する期待は大きい。プレーオフでの2度敗れた悔しさを無駄にせず、プロでのステージに必ず繋げるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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