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旭川実、選手権の無念晴らすPK戦勝利で11年ぶりにプレミア復帰

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旭川実高が11年ぶりにプレミアリーグへ復帰する

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 旭川実高 0-0(PK5-4)京都U-18 バルコム]

 攻撃の軸を欠く中で、粘り強く昇格の切符を勝ち取った。高円宮杯U-18プレミアリーグ2022のプレーオフ2回戦が11日に行われ、旭川実高(北海道1)は、PK戦の末に京都サンガF.C.U-18(関西2/京都)を破り、11年ぶりのプレミアリーグ復帰を決めた。富居徹雄監督は「良かった。(降格から)10年、これを目標にやってきた」と喜んだ。

 相手は、トップ昇格2人を擁するJクラブ。厳しい戦いを覚悟していた。主力の攻撃的MF渡辺健斗(3年)が大学受験で不在の中、守勢に回ることは想定済みだった。試合開始早々、京都U-18は、トップ昇格内定の植田悠太(3年)を起点に右から攻撃。前半3分、右から中央のMF安藤友敬(3年)を経由して逆サイドへ展開すると、左DF飯田陸斗(3年)がシュート。前半15分にはDF斎藤大雅(3年)のフィードがトップ昇格内定のFW平賀大空(3年)の頭を越えてファーサイドで受けた左MF島龍之介(3年)がカットインシュート。旭川実のGK越後紀一(2年)に好守でしのがれたが、大きなチャンスだった。

 京都U-18がポゼッションで優位に立った試合だが、次第に慣れてきた旭川実が対応。富居監督は「ボールの回収にフォーカスした」と自陣から蹴るロングパスを競った後のセカンドボールに集中させ、相手の波状攻撃を避ける狙いを持っていたことを明かした。

 前半25分にFKからMF樫山一生(3年)がシュート。後半に入ると、序盤にFW安保悠輝(3年)が抜け出しを狙うなど、反撃を仕掛けた。ただし、大勢は変わらない。京都U-18は、後半16分に左CKのこぼれ球を島がミドルシュート。DF喜多壱也(2年)がコースを変えたが、ゴールを捉えず。MF松本隼和(3年)を経由して左DF飯田が縦への仕掛けからクロスを狙うパターンを連続して打開を図ったが、旭川実はクロスをブロックし、ゴール前への侵入を阻み続けた。試合は均衡。後半39分、京都U-18は左からのクロスを途中出場のFW熊谷空大(2年)が頭で合わせる決定機があったが、クロスバーに弾かれた。

 90分で決着がつかず、延長戦にもつれ込んだが、互いに決め手を欠いた。旭川実は延長前半2分にFW三上僚太(2年)が左へ展開し、DF鵜城温大(2年)のつなぎからMF樫山のミドルシュートへとつなげたが、決まらない。

 京都U-18は延長後半に3本のシュートを放ったが、これも決まらず。0-0のままPK戦にもつれ込んだ。PK戦は、京都U-18の2人目が枠外で失敗。ほかは、キックを成功させ、旭川実がPK戦5-4で勝利した。

 旭川実は、高校選手権の北海道予選3回戦で北海高にPK戦で敗れたばかり。最後のキッカーとして勝負を決めた主将のDF酒井柚稀(3年)は「選手権を負けた後は、意欲が高まらなかったけど、最後は力を合わせて戦えた。守備で粘り強く、最後の最後で勝つ。狙い通り。PK戦は、選手権で負けたので、絶対に勝ってやろうと思った」と思いを明かした。

 旭川実は、リーグ創設2年目の2012年にプレミアリーグを戦ったが、1分17敗と力の差を突き付けられて1年で降格した。以降、北海道内で勝つだけでなく、全国で勝てるチームへの成長を目指し、堅守速攻にボールを支配する攻撃を加えてきた。

 全国レベルへの再挑戦となる。超強豪チームでも残留が難しいと言われる、高校年代最高峰のプレミアリーグ。FW和嶋陽佳(2年)は「3年生に感謝しないといけないし、次の代につなげたい。前回挑戦した世代を超えてリーグに残りたい」とサバイバルマッチでの生き残りを誓った。DF庄子も「3年生が(舞台を)上げてくれた。自分たちは、実業はプレミアでやっていけるチームだと証明しないといけない代になる。苦しい戦いでも毎試合、気持ちを入れてやっていきたい」と2度目の挑戦にかける思いを語った。来季も苦戦は覚悟しているが、強かに戦い、今度は勝点を積み重ねていくつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
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