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[MOM4139]市立船橋FW郡司璃来(2年)_攻守で勝利に貢献、頼れる10番が残留に導く鮮烈ゴール

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市立船橋高FW郡司璃来は大一番で先制点を決めた

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 市立船橋高 2-0 愛媛U-18 エディオン]

 電光石火の一撃だった。開始4分。最終ラインの背後にボールが出ると、一目散にボールを目掛けて走り出す。ボールをうまく収めると、右足を振り抜いた。「ボールが出てくる予感はしていた。うまく抜け出せたので、GKは見ていない。感覚で打ったら狙ったところにいってくれた」。FW郡司璃来(2年)が放ったシュートはゴール右隅へ。値千金の先制点が決まると、市立船橋高を牽引する2年生エースの表情が緩んだ。

 以降も果敢にゴールを狙い、後半に入っても勢いは衰えない。得意のカットインから何度もシュートを放ち、最後の仕上げ役として相手の脅威になり続けた。苦手だった守備でもタスクを全う。献身的なプレスバックで相手に圧を掛け、最後まで縦横無尽にピッチを駆けた。「流れが悪いとイライラしてしまう。でも、切り替えて次のプレーに向かう。(波多秀吾)監督にもそう言われていたので、(攻撃が終わったら守備に切り替える)意識はしていた」とは郡司の言葉。試合を通じて気持ちを切らさずにプレーするのは簡単ではないが、アディショナルタイムに退くまで誰よりもハードワークを怠らなかった。

 自らのゴールで勝利に貢献し、来季もプレミアリーグで戦う権利を手に入れた。思い返せば、今季は思うようにいかず、心が折れそうになる時も少なかった。プレミアリーグでは残留争いに巻き込まれ、夏のインターハイも2回戦で丸岡高(福井)に敗北。冬の高校サッカー選手権も県予選決勝で日体大柏高に0-2で敗れた。大事な時に結果を残せない――。1年を通じ、エースとしての仕事を全うできていたわけではなかった。だからこそ、自分と向き合い続け、新たな自分と出会うために努力を重ねてきた。選手権予選中も当たり負けしない身体を作るべく、食事を改善したという。

「元々、量は食べられていたけど、太らない体質。困っていたので、さらに意識して量を増やした。毎食、白米はおかわりしていたけど、お腹いっぱいになるまで食べていたわけではなかったんです。今はちょっと気持ち悪くなるぐらいまで食べたりしていて、間食の量も増やすようにした」(郡司)

 その甲斐あって、短期間で体重は3kgアップ。「自分では分からないけど、周りからゴツくなったと言われた」と本人が話すように、パワーアップしたことで当たり負けせずに局面を打開できるようになった。

 努力を重ねてきたが、まだまだ自分自身に満足していない。「もっと決められる場面があった」と波多秀吾監督が注文をつけたように、さらにゴールを奪えるシーンはあった。本人も決定力の向上は自覚しており、さらなる進化に余念がない。

「体勢が悪いなかで打つシーンもあった。もっと体幹を鍛えていけば、踏ん張れるようになってもっとたくさん点数が取れると思う」(郡司)

 来季に向け、戦いはもう始まっている。名門・市立船橋の10番として――。もっと強く逞しくなってプレミアリーグの舞台に戻ってくる。

(取材・文 松尾祐希)
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