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「高校入ってから何も残せていない」悔しさ吹き飛ばす活躍。FW福田師王が2戦3発で神村学園をプレミアへ導く!

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後半20分、神村学園高FW福田師王(3年=神村学園中出身)が左足シュートで決勝点

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 C大阪U-18 1-2 神村学園高 広島一球]

“高校最強ストライカー”にとって、この勝利は格別なものだったようだ。神村学園高(鹿児島)FW福田師王(3年=神村学園中出身)は、特別な注目を集めてきた一方、「高校入ってから何も残せていないので」悔しい日々を過ごしてきた。

 日本高校選抜や年代別日本代表でゴールを連発して“半端ない”と評され、注目された進路はドイツのボルシアMGを選択。その一方、大舞台で思うような結果を残せていなかったが、2戦3発という活躍によってプレミアリーグ昇格という財産を後輩たちに残した。

 この日、福田の下に良い形でボールが入った回数はほとんど無かった。浮き球を胸トラップで収め、空中戦で競り勝つなど会場を沸かせていた福田だが、ゴール前では相手DFにうまく対応されて思うようにボールを触ることができていなかった。

 それならば、自分で奪えばいい。後半20分の決勝点はチャンスがあると感じていたという相手DFからのインターセプトで決めたもの。連動したプレスで相手CBに襲いかかってボールを奪い取ると、そのまま反転して左足シュートを叩き込んだ。

「一回前半、(相手DFが)遅いな、奪えたらいいなと思っていたので、しっかりと奪えて得点に繋がって、チームの勝利に貢献できたので良かったです。(シュートはゴールを)見ていないです。感覚です」。初戦の2ゴールに続いて1ゴール。水戸内定のU-19日本代表GK春名竜聖(3年)から決めた1点は価値のある決勝点となった。

 プレミアリーグプレーオフに備えて休養十分だった。この1年は怪我が続いていたが、しっかり休んで身体が動かせるようになったことで、より鋭く守備に行けるようになっている。自らのボール奪取で勝ち越し点を決めた後も、守備で存在感。中盤までプレスバックしてマイボールに変えるシーンもあった。「何かを残す」ために必死に戦った福田は勝利が決まると、一度ピッチへ突っ伏して歓喜、その後、仲間たちや相手GK春名と抱擁して健闘を称え合っていた。

「FWとしての仕事、チームとしての仕事ができてよかった。(そして、)一つの目標であったプレミア昇格ができて良かったんですけれども、まだまだ決めれるシーンだったり、決定力を上げていかないと上の舞台では戦っていけないと思うので、そこが反省だと思います」。神村学園の選手たちは会場を出る際にファンのサイン、写真に応えていたが、誰よりも多く対応していたのが福田。“高校最強ストライカー”は、自分の活躍でそのサインや写真の価値を高めてあげたいという思いも口にしていた。

「プレッシャーに応えられるようにシュート練習しています」と微笑み、「きちっと日本で結果を残して、あっちでも活躍できるように今を大事にしていきたいと思っています。この勢いで選手権もしっかり勝てるようにしていきたい。期待に応えられるように頑張っていきたいです」。プレミアリーグ昇格という置き土産を神村学園に残したストライカーが、選手権でも結果を残してドイツへ旅立つ。


(取材・文 吉田太郎)
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