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帝京長岡が“初の日本一!” 5戦20発、決勝も4-0でMIZUNO CHAMPIONSHIP U-16を制す!

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帝京長岡高が初優勝。U-16全国大会を制した

[12.19 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16決勝 神村学園高 0-4 帝京長岡高 時之栖うさぎ島G]

 帝京長岡が“初の日本一”! 全国9地域のU-16リーグ戦上位によって争われた「2022 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16」は19日、決勝を行い、帝京長岡高(北信越2/新潟)が初優勝を果たした。決勝で神村学園高(九州2/鹿児島)と対戦した帝京長岡は、後半の4得点によって4-0で勝利。なお、大会MVPは帝京長岡のMF和田陸が受賞した。

 ともに初の決勝進出。今大会、神村学園は1試合平均3得点で、帝京長岡は同4得点と攻撃力を示してきた両校が日本一を争った。神村学園はU-16日本代表のFW名和田我空と同候補のCB鈴木悠仁が参加していないものの、堂々の決勝進出。GK古川竣也、DF前田蓮生新垣陽盛、山下和真、吉田唯竜、MF漆島幹大、主将の松下永遠、濱野心温、岡本優翔、FW向井隆心、そして得点ランキング首位・金城蓮央の11人が先発した。

 一方の帝京長岡は1週間前にトップチームのプレミアリーグプレーオフで先発を務めたGK小林脩晃のほか、主将のDF永井仁之下田蒼太朗香西大河平井琉稀、MF山本圭晋吉竹勇人、和田、柳田夢輝、FW新納大吾安野匠の11人が先発した。

 U-16日本一決定戦は序盤から帝京長岡が圧倒的にボール支配する。藤田涼輔コーチが「2年後を見据えて、試合も、ピッチ外も他のチームよりも1つ2つ上の準備ができるように」と説明したように、帝京長岡は勝つことと育成の両方にこだわった戦いを見せる。吉竹、山本のダブルボランチを中心に自陣から失うことなく1タッチ、2タッチ、ドリブルも交えてボールを繋ぎ、奪い返しも非常に速い。内側の狭い局面も崩しながら前進。相手に間を与えず、攻守でプレッシャーを掛け続けた。

 16分には右CKからファーの柳田が頭で狙うが、これは神村学園DFがゴールライン手前でクリア。なかなか攻撃機会のなかった神村学園もスーパーエースの金城が個でシュートまで持ち込んで見せる。22分に距離の長いドリブルから右足を振り抜くと、35分には右サイドでDFと巧みに入れ替わり、さらにマークを外してゴールエリアまで持ち込み、左足シュート。だが、帝京長岡GK小林が立ちはだかる。

 神村学園は前半33分、左サイドにMF中村晄を投入。前半は重心を落として向井、金城へロングボールを入れる形が多かったが、前半の終わり頃から徐々に前へ出てボールを奪う回数を増やしていく。帝京長岡は後半立ち上がり、新納、安野が強引にシュートまで持ち込むが、相手GK古川に阻まれるなど得点を奪うことができない。神村学園は新垣、山下の両CBを中心に集中力も高かった。

 逆に後半勝負だった神村学園は松下がワンツーでPAへ潜り込んだほか、9分には左サイドを抜け出した金城が決定的なシュートを打ち込む。だが、帝京長岡GK小林が再びストップ。帝京長岡はMF大國篤志をボランチに、神村学園は秋澤悠宇を前線に投入してスコアを動かそうとする。帝京長岡は後半、相手に仕掛けられる回数が増えていたが、DF陣が金城に突破されても食らいつくなど奮闘。小林の好守もあって0-0を続け、後半24分に先制点を奪った。
 
 帝京長岡は自陣左コーナー付近からビルドアップして敵陣PAへ。一度跳ね返されたものの、CB香西が奪い返して前方の和田へ繋ぐ。香西はリターンを要求したが、「自分が点数決めるという気持ちでした」という和田は思い切りよく左足ミドル。これがゴール左へ突き刺さり、1-0となった。

 神村学園はすぐにFW大成健人とFW井村知也を投入。29分には、ロングスローのこぼれ球を大成が右足ダイレクトで狙うもクロスバーに弾かれた。神村学園の柏野裕一コーチは「(後半立ち上がりなど)チャンスがあった時に刺しきれないところが、1本2本じゃなかったので。そこのところの質のところが足りない。課題ですね」と指摘する。チャンスを活かせずに失点し、追う展開に。神村学園はドリブル、コンビネーション、そしてセットプレーで相手ゴールへ迫っていたが、帝京長岡は前がかりになった相手の背後をしたたかに狙っていた。36分、直前に投入されたFW冨岡洸仁がファーストタッチで追加点。前線のこぼれ球に反応し、右足でゴールを破った。

 さらに39分、左中間へ抜け出した冨岡のラストパスを柳田が右足でねじ込み、3点目。FW横山聡、MF水川昌志、MF山口弘葵を投入した帝京長岡は40分にも左中間を抜け出した水川が左足で決める。後半飲水タイム後の4得点によって4-0。帝京長岡は全日本U-18フットサル選手権での優勝こそあるものの、サッカーの全国大会は全国高校選手権での3位が最高成績だ。それが今回はサッカーのU-16全国大会で優勝。永井主将は「率直に嬉しいです。自分たちが歴史を塗り替えたので良かったです」と胸を張った。

 藤田コーチは「選手たちが良くやってくれた」と語り、今後へ向けて「『心美しく勝つ』というのをスローガンとしてずっと言わせてもらっているので、そこは絶対にブラしたらいけない」という。この日は、選手たちの中学年代の恩師も応援に駆けつけていた。今回は藤田コーチと川上健コーチがチームをサポートしたが、この1年生は古沢徹監督が主に担当して指導した世代。その選手たちが、谷口哲朗総監督や西田勝彦ヘッドコーチ中心に作り上げてきた帝京長岡の歴史に新たな1ページを加えた。藤田コーチは「色々な人たちが育ててきた選手たちを預かっているので、また2年後に日本一をやっていけるように鍛えていきたい」。この優勝で満足することなく、チームをアップデートして2年後の選手権日本一を目指す。

 永井も「選手権ベスト4までしか行ったことがないので、1位は取りたいですね」と誓った。高校1年生にとっては貴重な経験となった3日間だが、本当の勝負これから。ワールドカップ日本代表のFW上田綺世(鹿島学園高出身)やFW町野修斗(履正社高出身)は高校1年時に関東、関西の各U-16リーグ戦を経験し、そこから武器を磨き、課題を改善しながら力を積み重ねていった。今回の経験を来年や再来年、その先のステージで活かせるように、1年生たちは努力を続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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