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[横山杯]帝京は堅守・横浜創英と0-0ドロー。偉大な3年生の「オマエらの代は絶対に勝ってくれ」に応える一年へ

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帝京高MF土本瑶留(右)と横浜創英高MF尾毛駿介が競り合う

[12.27 横山杯決勝リーグ第2節 帝京高 0-0 横浜創英高 ジャーニィー若松グラウンドC面]

 強豪校の1、2年生が冬の「サッカータウン波崎」(茨城)で力を磨く「横山杯 第23回全国ユース招待サッカー大会」1st Division Topは27日、決勝リーグへ突入。第2グループ第2節の帝京高(東京)対横浜創英高(神奈川)戦は0-0で引き分けた。

 帝京は22年、インターハイ準優勝、プリンスリーグ関東1部2位の成績。夏の日本一、またプレミアリーグ昇格まであと1勝と迫ったが、いずれも“決定戦”で敗れている。だが、山下高明コーチが「3年生が新しい基盤を作ってくれた」と評したように、彼らが低迷の続いていた名門の目線を引き上げたことは確かだ。

 そのチームのレギュラーから残ったのは、GK川瀬隼慎(2年)とCB梅木怜(2年)の2人だけ。強烈な個性が揃っていた先輩たちと特長は異なる。だが、MF山崎湘太(2年)、MF土本瑶留(2年)、この日は欠場したエース候補のFW横山夢樹(2年)を中心に質の高い選手たちが並び、クオリティの高い新たな“帝京らしさ”をより表現できそうな世代だ。

 この試合では短い準備期間で取り組んできた守備が効果を発揮。後方から丁寧にビルドアップする横浜創英の攻撃を封鎖し、山崎、土本らがコンビネーションでの崩しへ持ち込む。前半15分には敵陣でのインターセプトからショートカウンター。MF大貫慶斗(2年)が決定的な左足シュートを放った。

 好守から鋭い攻撃を見せていた帝京だが、得点を奪うことができない。山下コーチは「(守備は)トレーニングしてきたことが出た。でも、奪う、崩すから先。点を取って初めて成功」と指摘する。

 横浜創英は今大会、ここまで4試合中3試合で無失点。GK横尾蒼也(2年)は後半、弾いていれば失点していただろうシーンで帝京MF竹下律(1年)のシュートをキャッチするなど安定した守りが光った。

 また、横浜創英は前半を3バック、後半は4バックで戦ったが、的確なインターセプトを見せるDF今井翔太(2年)や横尾を中心に帝京の攻撃を封じ切って4度目の無失点。大黒柱のMF飯島雄聖(2年)を怪我で欠く中の戦いだったが、攻撃面が改善された後半はMF福田裕翔(1年)が決定機を迎えるなど相手ゴール前のシーンも増やした。

 横浜創英はコーチ陣から特別な指示を与えず、現在は選手たちの自発性を促している段階。前橋育英高(群馬)に3-2で撃ち勝つなど今大会は好結果を残しているが、“創英モデル”のポゼッションスタイルを身につけるのはこれからだ。帝京戦ではビルドアップでの連動性など発揮できていなかっただけに、宮澤崇史監督は「(今後は)もっとコンビネーションのところを合わせていきたい」と求めていた。

 帝京は3年生の代を超える一年を目指す。梅木は「去年の先輩たちが引退する時に『オマエらの代は絶対に勝ってくれ』と言われたので、そこで自分たちの代で全国に出れるようにしたいです。プリンスでしっかりと良い成績を残して、インターハイで全国出て、選手権でも全国出てしっかりと結果を残して、良いところで負けるのではなく、最後まで勝ち切っていきたいです」と意気込む。クオリティの部分で勝負するチームは、より規律の部分からこだわっていく考えだ。

「ホテルとかの使い方だったり、そこもプレーに出ていると思うので、やらないといけないと思います。ピッチ外もまだまだですね。去年は一人ひとり上手かった。自分たち、個々はたぶん下なんですけれども、チーム力で言ったら勝てるかなと思っているので、そこで自分たちの新しいチームを作っていかないといけない」と梅木。偉大な先輩たちができなかった“あと1勝”を勝ち取るため、日常から全力で取り組む。

(取材・文 吉田太郎)
●横山杯第23回全国ユース招待サッカー大会特設ページ

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