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横山杯躍動の桐光学園MF松田悠世、決勝でPK連続失敗も「大事なところで決められる選手に」

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桐光学園高MF松田悠世(2年)

[12.28 横山杯決勝 桐光学園 1-1(PK5-4) 習志野 若松運動場]

 PKを蹴る勇気を持つ者は、失敗しても何度でも挑み続ける。今大会で際立った個を見せつけた桐光学園高MF松田悠世(2年)だが、横山杯決勝のPKでは2度失敗。だが、心は強い。「みんなには申し訳ないですけど、別にこれからキッカーを降りる気はない。もっと質を高めて、大事なところで決められる選手になりたい」と力を込めた。

 桐光学園“背番号10”候補のレフティーは、今大会で特長を発揮した。決勝リーグ最終節の専修大北上戦では、鮮やかなドリブルシュートでゴール。「得意な形です。常に狙っているので、前を向けたら積極的に行きたい。その良さが出たゴール」。習志野との決勝でも要所で持ち味を発揮した。「自分は単独で運べるので、そこからゴールまで結びつけるプレーを見てほしい」と自信を垣間見せる。

 だが、決勝ではPKの場面が目立ってしまった。前半17分に味方が敵陣でファウルを受けてPK奪取。松田がキッカーを務めるも相手GKに阻まれた。GKがラインから動いたとしてやり直しのPKが行われたが、松田はゴール上に大きく外した。「自分がPKを外して、流れに乗れていない時間帯を作ってしまった。そこは責任を感じています」。

 試合は1-1のままPK戦に突入。優勝が懸かった大一番の1人目はプレッシャーがかかるもの。立候補したのは松田だった。「自分で言いました。自分が外してしまったので、この試合で何も残すことができていなかったので、ここは自分しかいないなと思って。挙手制だったので、絶対におれが一番に行くっていうのは決めているので挙げました」。だが、勝負は無情。松田のPKは再び相手GKにセーブされた。

 後藤直人フィジカルコーチは「松田は外したからやり返したい部分がきっとあったと思う。負けず嫌いな選手なので」とねぎらう。しかし、当の本人に落ち込む様子はない。「GKとの駆け引きの中で、絶対に自分が決め切るというのを目標にこれからも蹴っていきたい」と鋭い眼光を失っていなかった。

 来年度は最終学年になる。横山杯に手応えを掴みつつ、同タイミングで行われる選手権には引け目も。「あんまり選手権も観たくないんですけど(笑)」。最後の一年には気合いも十分だ。「自分がもっとチームを引っ張って、まずは神奈川代表の出場権を奪還する。全国でも勝ち上がっていけるという自信はおれも持っていますし、チーム全員も持っている。一致団結して、全員でやっていきたい」。本気の失敗には大きな価値がある。ラスト一年でPKのリベンジも果たすつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

●横山杯第23回全国ユース招待サッカー大会特設ページ

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