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日本高校選抜選考合宿がスタート。選手権のヒーローたちが生き残りをかけて熱い競争

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日本高校選抜の選考合宿がスタートした

 選手権のヒーローたちの熱い競争が始まった。日本高校サッカー選抜選考合宿が20日、静岡県御殿場市の時之栖グラウンドでスタート。3チームに分かれ、巴戦形式でゲーム(20分×3本)を実施した。

 全国の高校サッカー部員の代表選手の座をかけた争いだ。昨年に続き日本高校選抜の指揮を執る仲村浩二監督(尚志高)は、トレーニング開始前のミーティングで「とにかくこの4日間、自分を出し切ってくれ」「たとえ落ちたとしてもこの経験が良かったと言える4日間にして欲しい」と選手たちに伝えたという。

 今回の合宿には第101回全国高校選手権の優秀選手を中心に39名が選出されているが、4月の海外遠征メンバーは18名。39名は今回の選考合宿で23名、最終的に半数以下にまで絞られる。選手権の活躍、実績関係なく、この4日間で力を出すことを求めた指揮官の言葉に選手たちは早速呼応。初日のゲームから見応えのある攻防戦が繰り広げられた。

 MF根津元輝(前橋育英高3年)のみ別メニューで翌日から本格合流予定。GKは上林真斗(昌平高3年)、鈴木健太郎(成立学園高3年)、デューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高3年)、佐藤瑞起(東山高3年)の4人が順番にプレーする形となった。

 3チームは黒、赤、黄のビブスをそれぞれ着用。チーム黒がDF鈴木大翔(尚志高3年)、齋藤駿(前橋育英高3年)、都築駿太(流通経済大柏高3年)、新谷陸斗(東山高3年)、MF徳永涼(前橋育英高3年)、小池直矢(前橋育英高3年)、廣井蘭人(帝京長岡高3年)、真田蓮司(東山高3年)、田原瑠衣(大津高3年)、FW小林俊瑛(大津高3年)、福田秀人(米子北高3年)の11名で、齋藤を除くと昨年のU-17日本高校選抜を経験している選手たちが名を連ねた。

 チーム赤はDF多久島良紀(青森山田高3年)、三橋春希(青森山田高3年)、山内恭輔(前橋育英高3年)、大田知輝(帝京高3年)、MF野頼駿介(桐光学園高3年)、松橋啓太(東山高3年)、木村匡吾(岡山学芸館高3年)、西丸道人(神村学園高2年)、FW 小湊絆(青森山田高3年)、古田和之介(履正社高3年)、山本颯太(前橋育英高3年)、諏訪晃大(桐生一高3年)と選手権決勝で2ゴールの木村や同準決勝、決勝で活躍した松橋、青森山田の3選手などのメンバー構成だった。

 そして、チーム黄はDF井上斗嵩(岡山学芸館高3年)、田辺幸久(大津高2年)、坂本翼(大津高3年)、碇明日麻(大津高2年)、MF吉満迅(尚志高3年)、篠田翼(昌平高3年)、山田蒼(岡山学芸館高3年)、笠置潤(神村学園高3年)、FW塩貝健人(國學院久我山高3年)、今井拓人(岡山学芸館高3年)、高足善(前橋育英高3年)と岡山学芸館の選手権優勝メンバー3人がセンターラインに入った。

 1本目はチーム黒とチーム赤が対戦。立ち上がりからチーム赤がプッシュし、小湊や古田がゴールへ迫る。昨年の経験があるチーム黒はすぐにチームとしてフィットし、ボールを保持しながら多彩な攻撃。10分には自陣からのカウンターで田原が一気に持ち上がり、廣井のスルーパスから小池が右足シュートを打ち込む。

 だが、GK上林の好守で凌いだチーム赤が12分に先制する。山内の右CKを多久島がタイミングの良い跳躍からヘディングシュート。こぼれ球にいち早く反応した多久島が、身体を投げ出してゴールへ押し込んだ。チーム黒は徳永、真田が多くボールに係わりながら反撃。だが、チーム赤は三橋らDF陣がゴール前で堅い守りを続けて1-0で20分間を終えた。

 2本目はチーム赤とチーム黄が対戦。1本目の熱量に負けじとチーム黄もアグレッシブな戦いを見せる。井上が身体を投げ出して相手の突破を阻止すれば、山田や塩貝がDFに身体を当てられても強引に前へ。一方のチーム黒は新谷が巧みにボールを奪い返すなど押し返してサイド攻撃へ結びつける。

 そして13分、廣井の展開から右の田原が持ち出してゴール前の小林へクロスを通す。これを小林が胸コントロールし、右足シュート。“大津ホットライン”で先制点を奪った。だが、チーム黄は最後まで集中した戦い。そして19分、右の吉満のドリブル、パスからインナーラップした坂本がエンドライン際まで切れ込んでゴール前へ折り返す。最後はファーの今井が右足で合わせて1-1のドローに持ち込んだ。

 3本目も各選手たちがアピール。笠置を軸にボールを前進させたチーム黄は高足のスルーパスで塩貝が抜け出してシュートへ持ち込み、チーム赤も松橋の縦パスなどから諏訪や山本が推進力のある動きを見せて攻め返す。選手権優勝校・岡山学芸館でダブルボランチを組んだ木村と山田が対戦相手として激しい奪い合いをするシーンも。互いに最後まで攻め合ったゲームはデューフ、佐藤の両GKの好守もあって0-0で引き分けた。

「絶対に残りたい」「楽しみにしていた」「海外遠征で力を試したい」という選手たちがアピールした初日。昨年、U-17日本高校選抜で主将を務めた新谷は「(仲村監督が競争で勝って)残っていかないとダメだ、結局は結果だ、と仰ってくれたので、僕も含めて39人いる中で全員が共有できたんじゃないかなと思います」と語り、この後も自分の特長、そして結果を出すことを誓っていた。
 
 上手さだけでなく、トータルで活躍する選手、タフに戦える選手を求める仲村監督は、「今日良かったです。良い選手がいっぱいいますね」とコメント。そして、流通経済大との選考試合(21日)へ向けて「大学生に勝ちに行くというところを見せて欲しい」と期待した。各選手たちはまずは全力を出し切ることに集中。そして、ピッチ内外で同世代のライバルたちと積極的にコミュニケーションを取り、学んで、次に繋がる4日間にする。

(取材・文 吉田太郎)
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